過食を治すために日記をつけています

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

摂食障害を治そうとするとき、
大きく二つに分かれるみたいです。

自力でなんとかしようとする人
他力本願になる人

私は、ほぼ「他力本願の人」だった時期がとても長いですが・・・

摂食障害に悩む方の声では、
自力だけで頑張り続けてしまう人が多いことに
驚いています。

私は、自力と他力の併用を1番オススメしてます。

ご質問をご紹介します。

*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。

◆メルマガ読者さんからのご質問◆

摂食障害の相談が終了して一週間が経つと、
また過食してしまうようになりました。

そこで毎日、日記をつけるようにしています。

内容は
・過食をしたかどうか
・どのような時に過食をしたくなったか
・どうして過食をしたいのか
・食べる事以外で満たす方法
・その日に食べた間食の量

日記をつけるようになってからは、過食の頻度は減りました。

このようなやり方で過食は治っていくのでしょうか?
また、このやり方は間違っていますか?

ご質問をありがとうございます。

日記が間違っているとは思いません。

私自身も「クリニック記録」として、
通院した日の内容や
日々の出来事・気持ちなどを書くようになってから、
治すことにも積極的にかかわれるようになった気がしています。

ですが・・・
治療として勘違いしてほしくないなぁと思う点も
いくつかありますので、以下にまとめてみます。

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1.自分で出来ることと、治療者ができること

2.頼る・利用することを「許す」

3.過食は今だけの問題ではありません
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1.自分で出来ることと、治療者ができること

毎日、日記をつけていることは
毎日、治ることに向き合っていることです。

その点では、本当にすばらしいと思います。
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ですが・・・
何もかも自分でやろうとしていませんか?

そして、頑張れば過食が治ると勘違いしてませんか?

あなた自身が、毎日の生活を大事にすることは
とてもイイ事です。

日常生活の中こそ、摂食障害が治っていく場所です。

ですが・・・

摂食障害とは病気なのです。

やる気・根性・努力・・・
これだけで治る病気ではありません。

たとえば・・・

虫歯が出来たとします。

出来てしまった虫歯は
歯医者さんに行って、治療してもらいますよね?!

虫歯が出来た後に、
必死に毎日ハミガキしても
虫歯自体が治っていくことはないはずです。
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もちろん、治療前後の不安を吐き出したり
治療前後に、歯を清潔にしていくことは
とても有効です。

なので・・・

歯医者さん:歯の治療(現在の虫歯の治療)
あなた:普段のハミガキ(虫歯以外の歯のため、今後の健康を守るため)

という役割分担ではないでしょうか?

これは、摂食障害でも同じです。

摂食障害になってしまったのだから、
治療は、やっぱり治療者(医師・カウンセラー)の役割なのです。

治療という大前提があってこそ、
あなたの日記が効果を発揮するのです。

あなたが出来ることは、
前後の気持ちに目を向けたり
今の生活と今後の生活を考えていくことなんです。

この役割分担、もう1度見直していきませんか?

2.頼る・利用することを「許す」

過食にお金がかかるから、
カウンセリングに行けれません!

よくこんな声をいただきます。

それはそれでOKです。

なぜなら、あなたの優先順位が過食だからです。

過食を優先したいのか
治ることを優先したいのか
まず、あなたが決めていくことなんです。

自力だけで治そうとしてしまう方の共通点に
「頼れない」があります。

こんなことくらい、自分で頑張らないとダメだ!
人に頼らず解決しないと!
頼るなんて、甘えだ・・・etc.

こうした考え方こそ
摂食障害の考え方なのです。

頼ることは甘えではありません。
頼らずに何年も摂食障害でいれば、
社会生活ができなくなることも多々あります。

長期化すれば
30代40代になっても摂食障害に振り回されている方が
とても多いのです。

今、頼ることを始めてみませんか?

「お任せ」ではなく、
「利用」しながら治っていく。

そうすれば、
日々、書いている日記も
第三者の目から客観的に見つめ直すことが出来るようになります。

あなただけでは
あなただけの思考回路にハマってしまいます。

治るためには、
あたらしい考え方を取り入れること

その1つが「頼る」ことなのかもしれません。

3.過食は今だけの問題ではありません

今、日記をつけるのは、
ごく最近の話題ですよね。

ごく最近のことであっても、
振り返りの時間を持つことは、とても大切です。

けれど、
摂食障害という病気は、今日・昨日の話でしょうか?

こちらの時間の流れで示すと・・・

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「今」より前に「発症」がありました。
「発症」より前に、「これまでの生活」がありました。

摂食障害と向き合うなら
「これまでの生活」と向き合うことが必要なのではないでしょうか?

残念ながら多くの治療者は、そこまで考えていないようです。
もしくは、考えていても、そこまでじっくり治療に取り組んでいない印象を受けます。

私自身も
転院10回してきましたが、
「これまでの生活」を積極的に取り上げる治療者は
全体の1割にも満たないと思っています。

「これまでの生活」と向き合わない治療が、
摂食障害の長期化の1つの要因になっているような気がしています。

「これまでの生活」で、あなたの心が悲鳴をあげているのです。
「これまでの生活」のまま過ごすことは出来ない!と訴えているのです。

何が、辛かったのか
何が、上手くいかなかったのか
何が、やりたかったのか・・・

もちろん、「これまでの生活」の全否定が必要なのではありません。

これまで、いろんな場面で
心が無理していたのではないでしょうか?

これまで、いろんな褒められる場面で、
頑張り続けてしまっていたのではないでしょうか?

そんな感情を洗い出して
見つめなおしていく作業。

これこそが、心の回復につながることだと思っています。

過食だけではなく、生活全体の考え方はこちらです。