先回り発言していませんか?*母娘の会話*

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

大学院生だった頃、「不登校」と「ひきこもり」をテーマにしていました。

教授からのすすめで、「
不登校児を持つ親の会」に参加するようになりました。

「学校行かなくていいって、お母さんが言ったから」
「学校行けって言われたら、行ったのに」

高校受験を前にした子供たちから出る言葉。

そんなふうに、子どもから責められたというお母様方が、
涙ながらに話す姿をたくさん見てきました。

確かにお母様としては、
「学校だけが全てじゃない」
「辛いなら、休んでもいい」というメッセージだったかもしれませんよね。

選択肢の幅を広げてあげることは、
思いつめないために、大きな支えになったことと思います。

けれど、本当は、「行く」「行かない」は、
本人だけが選択できることなのではないでしょうか?

これは、摂食障害に悩む母娘の間でも、同じような会話がたくさんあります。

・・・・・・・

「疲れたぁ」

『じゃあ、早く寝なさい』

・・・・・・・

このやり取りだけでも、実は、先回りなんですよね。

娘さんは、「疲れた」とだけ言っています。

1.何で疲れたのか。

・勉強
・人間関係
・通学・・・etc.

2.疲れた今、どう感じているのか。

・疲れて嫌になる
・疲れたけど、達成感でいっぱい
・もっと頑張らないといけないのに・・・etc.

3.疲れたから、どうしたいのか。

・甘いものが食べたい
・早くお風呂に入りたい
・明日の朝はゆっくり寝ていたい・・・etc.

「疲れた」のひとことだけでは、これらは全くわかりませんよね。

お母様としては、「いつも、早く寝るから・・・」と思うかもしれません。

けれど、
今日の疲れに対して、
今日感じていることは、
いつもと同じとは限らないのです。

そして、お母様が、先回りしていることで、失っているものは何でしょうか?

・えらぶ力
・決断する力
・自分の選択に責任をもつ力

お母様がいつも教えてくれる状況にいる限り、
娘さん自身はラクかもしれません。

けれど、本当の愛情とは、自分でえらぶ力、
自分の選択に責任をもつ力を育てていくことではないでしょうか?

いつもいつもお母様が先回りしていると、
摂食障害の娘さんからこんな言葉が出てきてしまいます。

「お母さんのせいで、私は治らない」
「お母さんが、食べても太らないって言ったのに、太ったじゃない!!」
「いつになったら、私を治してくれるの?」

母娘の会話を、もう1度見つめなおしていきませんか?