摂食障害の人が料理した物は、先入観なしで見てもらえない??

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

摂食障害に悩んでいるはずなのに、
摂食障害があなたにとって「欠かせないもの」になっていませんか?

「摂食障害の自分」が全て
「摂食障害の自分」がホントの自分・・・
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そんなふうに、あなたが思ってしまうこともとても残念ですが、
ご家族さえも、同じように考えてしまうと、なかなか抜け出すのが難しくなってしまいます。

今回のご質問をご紹介します。

*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。

◆メルマガ読者さんからのご質問◆

私は料理が好きで、両親の夕食に手料理を振る舞うことが時々あるのですが、
母に「摂食障害の人(私のこと)が調理したものは素直に美味しく食べられない」と言われました。

味付けや出来ばえ以前の問題として、
食がらみの病気がある人間の手料理は、
普通の人の料理と同じように先入観なく見てもらうことは難しいのでしょうか。

ご質問をありがとうございます。

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1.「摂食障害の◯◯ちゃん」という家族の接し方

2.自分のために、エネルギーを使っていますか?

3.料理以外でも「摂食障害の人」という先入観

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1.「摂食障害の◯◯ちゃん」という家族の接し方

こうした考え方、とても多いです。

ご家族が、「◯◯ちゃん」と娘さん自身をみるのではなく、
「摂食障害の◯◯ちゃん」と捉えてしまう状態です。

「摂食障害だから」という言葉で、
良くも悪くもいろんなコトが理由づけされてしまう。

たとえば・・・

摂食障害だから、学校への送迎は当たり前
摂食障害だから、部屋が片付いていなくても仕方がない
摂食障害だから、料理にハマる・・・etc.

「摂食障害」という単語をつかうことで、
それ以上深く考えることを、避けてしまっているのではないでしょうか?

上記の例で考えるなら、

学校への送迎を続ければ、摂食障害は治っていくのでしょうか?
自力で通学できないほど深刻な状態で、通学することが回復にプラスになるのでしょうか?

部屋が片付けられないことと、摂食障害の結びつきをどう考えていますか?
心がどんな状態だと言えますか?

全員が料理にハマるとは限りません。
作ること、食べること、どんな意味があるのでしょうか?

こうして、深く深く考えていくこと。
これも、ご家族のサポートなのです。

そして、摂食障害に悩んでいるあなた自身も同様です。

「摂食障害」をいろんなことの理由に使っていませんか?
摂食障害という言葉以外で、あなたの気持ちを相手に伝えていきましょう。

2.自分のために、エネルギーを使っていますか?

料理に限らず言えることですが・・・
せっかく自宅療養している時期に、
間違ったエネルギーの使い方をしている方が、少なくありません。

今、自分のためにエネルギーを使っていますか?

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家族に食べてもらうためだけに、料理をしていませんか?
誉められること・喜んでもらうこと。
それだけを求めて必死になっていませんか?

家族がいない時間には、家の中をせっせと掃除したり
体力がない身体にも関わらず、ご家族の代わりに買い物に行ったり
人にプレゼントばかり買ってきたり・・・etc.

周りに気を遣い
エネルギーを注ぎこんでいませんか?

そして、あなた自身にエネルギーを使うことを
避け続けてしまっていませんか?

もしかしたら、あなたは家族から認められたい気持ちでいっぱいなのかもしれません。
特に自宅療養の間は、「何もしていない自分」としか思えなくて
しんどいのかもしれません。

心の居場所がなくて、『何かをやる』ことだけで、
自分の心を満たそうとしているのかもしれません。

でも・・・
ホントは、心がどんどん追い詰められているのではないでしょうか?

自宅療養なら、
それは、あなたが「自分」を取り戻すための大切な時間です。

摂食障害が治るためには、あなたがあなたの回復のために、
エネルギーを使う必要があるのです。

何かをやっているからあなたに価値があるのではなく、
あなたが今ここに居ることだけで、あなたは大切な存在なのです。

何もやらなくていい
何もやらなくても、あなたは大切な存在

何かやりたくなったら
自分のために、自分のことをちょっとずつやってみましょう^^

3.料理以外でも「摂食障害の人」という先入観

料理以外でも、「摂食障害の人」として
先入観を持ってみられてしまう場面があります。

私は、大学院生の時、いつもいつも痛感していました。

みんなでお昼を食べている時
授業で発言する時
打ち上げに参加する時・・・etc.

いろんな場面で、
いろんな人から
「見られている」状況がずっと続いていました。

ものすごく辛かったです。
でも、それが、社会というものなのです。

以前のブログ記事にも書いていますが・・・
世の中は、摂食障害に優しい社会ではありません。

ご家族は、摂食障害のあなたに、
「摂食障害だから」と合わせてくれるかもしれませんが、
周りの人は「摂食障害だから」「病気だから」と合わせてくれないのです。

だからこそ、まずは家の中で特別扱いを少しずつ減らしていくこと。
その上で、治っていくことが必要なのではないでしょうか?

「摂食障害の人」と見られることを卒業する唯一の方法。
それは、あなたが治ることです。

あなたが治って
やりたいことをやっている姿。
あなたが治って
「見た目フツー」で元気に過ごしている姿。

こうした状態が長期的に継続してこそ、
「摂食障害の人」として見られることも、卒業できるのではないでしょうか?

もしかしたら、あなた自身の「摂食障害の卒業」と
周りから「摂食障害の人」と見られることの卒業は、
時間差があるかもしれません。

摂食障害を卒業できてからも、
しばらくは「摂食障害の人」として見られてしまう可能性もあります。

でも、諦めないでいてください。
あなたが、あなたの生き方で示していくのですから^^