【摂食障害と家族】接し方・言葉がけの前に考えてほしいこと

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

摂食障害の人に言ってイイ言葉と、
言ってはイケナイ言葉。

安心させる言葉と
不安にさせる言葉。

こんなふうに、言葉が「分類」できると思っていませんか?

けれど・・・

どんな場面
どんな背景
どんなやり取り
どんな状況
どんな経過

これらが一人ひとり全く異なるのに、
言葉だけが「分類」できるなんて、あり得ない話です。

言葉とは・・・

心から湧きあがるものです。

図で表わすと、こんな感じです。

心があって、そこから発生した言葉がある。

心には、感情・気持ち・考え・身体の状態など、いろ~~~んなことが混ざり合っているモノのはずです。

でも、お母様方の「何て言ったらいいですか?」という声は、言葉だけで存在するように感じられます。

図で表すなら、こんな感じです。


心がない

心が無くて、
言葉だけが、単独で存在するような、、、
そんな印象を受けます。

そんな言葉って、本当に言葉なのでしょうか?
言葉ではなくて、セリフになっていないでしょうか?

セリフを求めるから、

「こう言ってもいいんですか?」
「こんな時、どう声をかけたらいいんですか?」

というセリフ選びに必死になってしまう・・・

繰り返し書いていますが、
摂食障害とは心の病気です。

心の病気が回復するには、
心が変わっていくしかありません。

心が変わっていくためには、
心に響く何かが必要です。

ご家族がセリフではなく、
心から発する言葉。

本物の言葉しか、病んだ心には響かないのではないでしょうか?

だから私はいつもお伝えしています。

  1. 言ってはダメな言葉なんて、無い!
  2. ホンネが1番!
  3. お母様が、自分の心と向き合っていますか?

(1)言ってはダメな言葉なんて、無い!

摂食障害の頃、私が大嫌いな言葉がありました。

それは、「頑張って」です。

頑張って頑張って、頑張って、それで苦しんでいるのに、もっと頑張れっていうの!?

そんなふうに追い詰められる言葉だと感じていました。

でも、これは当時の私の「捉え方」の問題でした。
「『頑張れ』という言葉」を禁止しても意味はなかったのです。

「追い詰められた」と感じた時こそ、
心と向き合うタイミングであり、

心と向き合うことが自分だけで難しいからこそ、
心の治療者が必要だったのです。

ただ、それだけ。

「摂食障害の人」だから、言ってはいけない言葉なんてありません。

何を言ってもイイ
何を話してもイイ

ただ、感じやすい心は、言葉以上にご家族の気持ちをダイレクトに感じていることを忘れないでいてください。

ご家族が恐れを抱きながら、「大丈夫だよ」と言っても、『恐れ』だけが伝わります。

ご家族がイヤイヤお金を出しながら「いいよ」と言っても、『イヤイヤ』の気持ちだけが伝わります。

ご家族が無理やり一緒に行動しても、『無理やり』だけが伝わります。

だから・・・やっぱり心なんです。

言葉でもなく
行動でもなく
心。

心から自然に湧き出た言葉
心が納得している言葉
心と一致している言葉

それなら、「何を言ってもイイ」のです。

(2)ホンネが1番!

「お母様のホンネですか?」

私が母親カウンセリング時、よくする質問です。

すると・・・大抵、こんな言葉が返ってきます。

「そんなの実際は、イヤですよ!」
「どうして私だけが我慢しないといけないんですか!?」
「この生活がいつまで続くんだろうと思うとゾッとします」

ですよね。。。。

つまり、我慢を重ね
ホンネではない言葉を言い続け

顔でニコニコ
心でモヤモヤ

この先どうなるんだろう?と
不安がいっぱい。。。

それでは、お母様の言葉が
摂食障害のお嬢様の心に響くはずがありません。

ホンネを言って親子でぶつかることは必要です。
波風を立てずして、摂食障害の回復はありません。

同時に、心と向き合うことで、ホンネそのものが変わる可能性は十分にあります。

例えば・・・

■教育一家

勉強がすべて
東大以外は大学じゃない。

そんな考えが、【当初のホンネ】だと仮定します。

でも、摂食障害について知り、
お母様自身が、幼少期から勉強を強いられてきたツライ過去を振り返り
「勉強だけが人生じゃないかなぁ~」と思えたら、

【勉強がすべて】のホンネから
【イロイロあっていい】がホンネに変わります。

ここは、考え方を変えることで、
接し方がほぼ自動的に変わる部分です。

だから、お母様自身も心と向き合うことが不可欠なのです。

(3)お母様が、自分の心と向き合っていますか?

上記の教育一家の例とも重なりますが・・・

母親カウンセリングでは「何に悩んでいるのか分からない状態」の方も
多くいらっしゃいます。

「娘が食べるのが止まらないんです」
「今日も娘は学校を休んだんです」
「食べないと、また入院になっちゃうんじゃないかと・・」

これって、ホントはお母様の悩みではないですよね。
立ち止まって、お母様自身が困っていることを挙げてみることが必要です。

すると・・・
大抵の場合こんな理由が出てくるはずです。

  • 摂食障害は親のせいだと言われるんじゃないか・・・
  • あの子が退学したら、私がはずかしい
  • 入院したら、毎日病院に顔を出すなんて大変
  • 学校に行っていない理由を、親戚に聞かれたらどうしよう

お母様を主語にして、
言い直していくと、お母様が困っていることにようやくたどり着けるはずです。

お嬢様が食べても食べなくても、
学校に行っても行かなくても

ホントのところは、お母様は困っていないはずです。

「あの子が・・・」という言葉を使って、
お母様がホントに困っていることにフタをしてしまっていませんか?

フタをしたままであれば、
やっぱりいつまでも【借り物の言葉】です。

フタを取るためにも、
お母様がご自身の心と向き合うことです。

恐れてきたこと
避けてきたこと
イヤなこと

ホントは1番避けてきたことこそ、
実は、1番の変わるきっかけになるものです。

ちゃんと考えていれば、コレを辞められるはずです。
摂食障害がエスカレートする前に!