転院とはゼロに戻ること

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。


転院10回。

ブログやメルマガで何度も書いていますので、以前からの読者様はすでにご存じのことと思いますが・・・

私は摂食障害の通院で計10回の転院をしています。
1年も続かない病院が多かったです。

同時に、よく勘違いされることがありますので、
今回は転院についての話題です。

私は決して、どんどん転院することを勧めているわけではありません。

むしろ、転院を最小限にとどめるために、こんな記事も書いています。

■病院えらびの前に、「摂食障害の治療」を自問自答しよう

なんとなく通院していても、
診察室の中で「いい子」を演じていても
やっぱり回復は始まらないのです。

自分がどんな状態で
回復にはどんなサポートを求めていて
どれくらいの頻度で通うことが出来て
どんなふうに変化したいか。

こうしたことを【事前】に、じっくり考えてみることが、回復にはとても大切なのです。

その上で、転院を考える時、
必ず意識してほしいことがあります。

転院とは、外国に行くようなもの。

これまでの常識が覆されたり
ちがう言語を見聞きしたり

転院先で、そんな経験をするはずなのです。

私も転院のたびに、混乱することが多かったです。

体重制限の基準がちがったり
転院するたびに、違う薬が処方されたり
通院する頻度が、バラバラだったり
体重測定が毎回だったり、全く無かったり
予約方法がまちまちだったり・・・etc.

転院すること自体、大きなストレスでした。
そして、転院先でもなかなかうまくいかず、転院を繰り返してしまったのです。

摂食障害の頃の私と同様に、転院した後、うまくいかない人の共通点を感じています。

■転院先でさらに上手くいかない人の共通点

・「前の先生は、こう言った」など、以前の話ばかりする

・「どうせ分かってくれない」と転院先でも最初から諦めている

・新しい提案を「これまでのやり方」の否定と感じる・・・etc.

医師・カウンセラーも「人」ですから、
これまでの話ばかりされたり、
新しいやり方を拒否されたら、やっぱり嬉しくないはずです。

転院先の医師・カウンセラーが「嬉しくない状態」になれば、
あなたの治療に対するモチベーションも下がるのです。

さらに、転院を考えるなら、忘れないで欲しいことがあります。

転院先の医師・カウンセラーは、
以前の医師・カウンセラーと無関係です(大抵の場合)。

転院先の医師・カウンセラーは、
以前の先生が、どんな意味で、どんな言葉を言ったのか、
どんな考えのもとに、その治療をしていたのか、知らないのです。

紹介状があっても、紙一枚で、これまでの診察の様子が分かるわけではありません。

あなたが、転院先で伝えることはできるかもしれません。
でも、以前のやり方に執着している限り、新しい医師・カウンセラーと関係を築くことは難しくなります。

転院とは、【ゼロからの再スタート】。

これまで築いてきた信頼関係も、
これまで信じてきた治療法も、
これまで支えにしてきた言葉も、

一旦、【捨てる】のです。

転院を決める時、【捨てる覚悟】があるかどうか、まず自問してください。
転院した後なら、【ゼロからの再スタート】をいつも思い出してください。

ゼロだから、何もかも話さないと分かってもらえません。
ゼロだから、信頼関係を築くこと自体に時間がかかります。
ゼロだから、治療が軌道に乗るまでに時間が必要です。

新しい医師・カウンセラーのもとに通うことは、
【これまでの続き】ではなく、
【ゼロからのスタート】なのです。

一旦捨てて、ゼロになって、
だからこそ「変わる」がある。

心が変わるって、こんなに素晴らしいのですから!