摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
「摂食障害だから・・・」という言葉を、いろんな場面で使っていませんか?
カウンセリングを通してとても気になるのが、ご家族の対応です。
摂食障害だから、お金がかかっても仕方がない
摂食障害だから、暴言を吐いても仕方がない
摂食障害だから、昼夜逆転していても仕方がない
摂食障害だから、働けなくても仕方がない
摂食障害だから、職場(学校)でみんなと一緒にお昼が食べられなくても仕方がない・・・etc.
きっと、とても沢山あると思います。
「『摂食障害だから』という言葉をやめましょう」と
お伝えすると、ほぼ毎回いただく声が、
「え?摂食障害じゃなかったら、今すぐ●●するように言います!」
という、反撃とも受け取れる声です^^;;
つまり、
「摂食障害だから仕方がないんだ」と思ってすごしている日々があり、
「摂食障害だから」と思わない限り、やっていられないような辛さがあるんですよね。
でも・・・
「摂食障害だから」という言葉で、
何もかもOKにしてはダメです。
「摂食障害だから」と、なんでも買ってあげたり
「摂食障害だから」、何でも言いなりになっていたり
とてもよくある関わり方ですが、
これらは、摂食障害の慢性化につながる関わり方だと思っています。
そこで、オススメの考え方。
それは「風邪」に置き換えてみることです。
風邪なら、仕事・学校をお休みすることもあるはずです。
風邪なら、部屋の掃除などやらないことも多くあるはずです。
風邪なら、眠れる時に眠るはずです。昼間にたくさん寝たら、夜眠れないこともあるかもしれません。
風邪なら、普段のお昼ご飯が食べられない時もあるかもしれません。
つまり・・・
上記の例をもう1度記載すると、
摂食障害だから、お金がかかっても仕方がない
摂食障害だから、暴言を吐いても仕方がない
摂食障害だから、昼夜逆転していても仕方がない
摂食障害だから、働けなくても仕方がない
摂食障害だから、職場(学校)でみんなと一緒にお昼が食べられなくても仕方がない・・・etc.
これを、1つ1つ風邪に置き換えて考えてみます。
摂食障害だから、お金がかかっても仕方がない?
「風邪だから」、お金がかかっても仕方がない、とは言いませんよね???
風邪で病院に行けば、診察代と薬代と交通費くらいは必要になります。
それ以外のお金はかからないはずです。
理由は、風邪を治すために、休養するからです。
治すための休養。
休養するから、特別にお金がかからないのです。
それなのに、摂食障害だからお金がかかると言っていませんか?
特に自宅療養であれば、
治療代と交通費だけが「摂食障害だからお金がかかるモノ」なのです。
それが摂食障害を治すことに専念している状態です。
「摂食障害だからお金がかかる」という場合、
今、「言いなり」になっていないか、見直していきましょう。
摂食障害だから、暴言を吐いても仕方がない?
これも言い換えると、
「風邪だから暴言を吐いても仕方がない」とは言えません。
でも、摂食障害では、この点は難しいところがあります。
暴言の程度問題ですし、
暴言への接し方が大きく影響することです。
摂食障害の回復のために、「言いたいことが言えるようになること」は必須です。
でも、「暴言」でも何でも言えれればOkというわけではありません。
時と場合に応じて、どんな人にも「言い方」があります。
それを、身に着けていくことも、回復、そして社会に出ていくためには必要なことなのです。
何を言ってもいい、
怒ってもいい、
恨みを持ってもいい。
これは摂食障害のご本人にもご家族にも共通して言えることです。
でも、ご家族が、それらの言葉にカチンと来たら、怒ってもいいのです。
言ってはいけない言葉なんて無い。
私は、母親カウンセリングでは、いつもそうお伝えしています。
摂食障害だから、昼夜逆転していても仕方がない
風邪だったら、眠れる時に眠りますよね。
昼間よく寝ていたら、夜眠れない時があるかもしれません。
休めることが第一なら、昼でも夜でも、寝るのは問題ないですよね。
だから、摂食障害でも「休む時期」であれば、
昼夜逆転は問題ないのです。
「摂食障害だから」というよりも、
回復段階を見極めることが大事です。
摂食障害だから、働けなくても仕方がない
風邪で言い換えれば、
「風邪だから、働けなくても仕方がない」はアリですね。
でも、それは欠勤です。
摂食障害が風邪より長くかかる病気なので、
休職・退職はアリだと思っています。
ですが・・・
休職・退職は「治るための手段」にすぎません。
休職したら、「やることがない」とか、
休職して家にたら、「家にこもっても治る気がしない」とか、
見当違いのことを言っていませんか?
休職・退職で家にいる手段を取ったのなら、
「1日も早く治すこと」が「今、やること」ではないでしょうか?
風邪で休んだ時、家で過ごして、家で回復していくのと同じです。
摂食障害も、休職・退職したら、家で過ごして家で治していくのです。
摂食障害だから、職場(学校)でみんなと一緒にお昼が食べられなくても仕方がない?
風邪だから、職場(学校)でみんなと一緒にお昼が食べられない・・・ということは、
かなり一時的にあるのかもしれません。
風邪なら咳がひどくて飲み込めなかったりお腹を壊していたり・・・
でも、ほとんどの場合、風邪で食べられないほどの状態であれば、
仕事・勉強も手につかないほど病んでいると言えるのではないでしょうか?
だから・・
「摂食障害だから、職場・学校でお昼が食べられなくても仕方がない」とは思わないのです。
職場復帰・学校復帰をする段階まで回復していないのに、
無理やり復帰だけしてしまっていませんか?
それを「仕方がない」と表面的に取り繕って、
「摂食障害だから」をずーっと理由として使っていないでしょうか?
・・・
私は、基本的には、「摂食障害だから」という言葉は、慢性化につながり可能性が高いと思っています。
摂食障害だからという前に、摂食障害を治すことを、第一に考えているでしょうか?
治すための手段として
家で過ごすことを選んだのなら、
治すことを最優先にした生活に切り替える必要があるのです。
今、休む段階なのか
今、社会復帰に向けてリズムを整える段階なのか
摂食障害の回復は、一人ひとり異なります。