摂食障害カウンセリング
中村綾子です。
支配
コントロール
束縛
摂食障害の親子関係を語る時、
よく出る言葉の数々・・・。
これらに傷つき、自暴自棄になっている声と
「あなたのためを思って!」と必死になり続けるご家族と。。。
過去を「無かったこと」にするのではなく
過去とちゃんと向き合い
過去から現在、現在から未来へのエネルギーへと変えていくこと。
気の遠くなる作業であっても、
そこから逃げずに向き合っている人が、
本当に治る人ではないでしょうか?
今回のご質問をご紹介します。
*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。
どうしても父の顔を見ると、
「もっと痩せてやる!吐いてやる!治ってたまるか!」という気持ちに駆られて。
私の中で父を拒む、食を拒むみたいになっています。
吐きすぎて低体重で仕事を失い、より親に頼る部分が大きくなってしまいました。
私はいつも父に支配されて生きてきました。
でも、何も食べない私に「なんかたべいや!」っていうときの父の顔が大好きで。
どんな手段でも見られなかった父の顔がみれた。
痩せるだけで父に勝てる、だから私は今日も食べることを受け入れられません。
どうすればラクになれますか?
ご質問をありがとうございます。
親子関係、やっぱり大きいですよね。
親から影響を受けていない子どもはいないですし、
影響がゼロの親もいないです。
ですが、力関係が上手くいかなかったり
一方的だったり
時に暴力的だったりすることは、
心に大きな負担をかけてしまう場合もおおいです。
以下の3つから考えていきます。
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1.勝ち負けって何だろう?
2.親という名の支配
3.いつまで「食べられない自分」を続けますか?
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1.勝ち負けって何だろう?
良くある話題ですが、、、
あの子より細くなりたい
あの子より可愛いって言われたい
そして、今回のご質問は、
「父に勝ちたい」
良くある話題ですが、
とても大切な話題です。
勝ち負けって、何なんでしょう?
勝って勝って勝ち続けること。
それが、あなたの「やりたいこと」でしょうか?
そして、「勝ち続けること」って、ホントに出来ることでしょうか?
一度でも負けたら、あなたはあなたでは無くなってしまうのでしょうか?
きっと、違いますよね。
あなたがあなたでいるために、
誰か勝つなんて、必要ないはずです。
勝つことも
負けることも
イロイロあっていい。
よく、勝ち組・負け組という言葉が使われることがありますが・・・
本当の意味では、
勝ち負けを決める基準は、一人ひとり異なるはずなんです。
誰かとの勝ち負けを考えている限り、あなたの心は苦しいままかもしれません。
勝ち負けだけに縛られていれば、心の回復が始まらないかもしれません。
勝つことよりも
「あなた」という「人」になること。
私は、他の誰でもない「あなた」を大切に思っています。
2.親という名の支配
これは、事実として、とてもよくあります。
ご家族が、良かれと思ってやってきたことが、
裏目に出るパターンです。
勉強さえ出来れば、いい会社に就職できるから!と
叱咤激励した結果、不登校や出社拒否になってしまったり
情操教育は、早く始めないと!と、
幼少期から習い事を詰め込んだ結果、燃え尽きてしまったり
早く自立しなさい!といい続けた結果、
甘えが満たされず、心がいつも不安定になったり・・・
自覚があってもなくても、親という存在は、
何らの誘導をしてしまうようです。
これらが強すぎる場合、「親から支配されてきた」と
感じることがあるかもしれません。
だからこそ、あなたが言葉にしていくことが大切なのではないでしょうか?
あの時、勉強なんかしたくなかった
いつもダメだって言われてきた
遊びを断わったから一人ぼっちだった・・・
痩せという症状ではなく
「食べない」という食への抵抗ではなく
「察してほしい」と願うのではなく
あなたが、あなたの想いを
言葉で語っていくことではないでしょうか?
痩せ続けても
食べないままでいても
本当に伝えたいことは、伝わっていないのではないでしょうか?
あなたが、どう感じたかは、
周りの人は分かりません。
「分かってほしい」
「親なんだから、気づいてくれて当然」と思っていても
叶わないこともあるのです。
だから、身体で訴えることよりも
もっともっと有効な手段に切り替えるタイミングに来ているのです。
上手く言えなくてもいい
言葉に詰まることがあってもいい
痩せという手段以外に
言葉という大切な手段があることを忘れないでください。
3.いつまで「食べられない自分」を続けますか?
学生の期間を終えた摂食障害の方には、
シビアな現実があります。
それは、ブランクの期間です。
いざ就職しようと思っても
面接で聞かれるのは、
「これまで何やっていたんですか?」。
心が折れてしまいがちです。
実際、私も何度も何度も心が折れていきました。
結局、就職活動自体を辞めることになりました。
だからこそ、
学生の方には、学生という立場の間に、「ほぼ完治」してほしいと思っています。
そして、学生という期間を終えた摂食障害の方には、
ブランク期間を最小限にすることと、
そして、手に職をつけて「雇われない生き方」を目指すことをオススメしています。
こうした現実、今のあなたは、どれほど真剣に直視しているでしょうか?
今、「食べられません」と言っているあなた。
今、「どーせ治らないもん!」と諦めているあなた。
今、「病気なんだから、仕方がないでしょ!」となぜか強気にふるまっているあなた。
あなたは、いつまで摂食障害をやり続けてきますか?
私の母がよく言っていた言葉があります。
「親はいつまでも元気で生きていないんだからね!
ちゃんと自分で考えなさいよ」
当時はなんて冷たい親なんだろう?って思いました。
私がこんなに苦しいのに
こんなにツライのに
突き放す言葉ばかり言って。。。
働きたくないんじゃない。
働けないのに。
好きで摂食障害をやってるんじゃない。
親のせいで、こんなふうになった被害者なのに。。。
当時の私はいつも、そう思っていました。
だから、働けない自分・治らない自分をどこか正当化していたように思います。
だから、今なら分かります。
母の言葉は、本当の愛だったことを。
ずっと養ってもらうことは出来ない
ずっと親が元気で生きていることも無い
ずっと仕事しないわけにはいかない
ずっと摂食障害でいるわけにもいかない・・・etc.
だから、ちゃんと治ろう。
そのために、ちゃんと休もう。
・・・
摂食障害カウンセリングにお越しになるお母様方の中には、
とてもとても優しくなってしまう方もいらっしゃいます。
なんでも、「いいよ、いいよ」という接し方です。
何でも買ってあげる
何でも代わりにやってあげる
いつも一緒に居てあげる・・・etc.
一見、とても理想的な関わり方ですが・・・
近い将来やってくる現実を、見ないようにしているのではないでしょうか?
ご家族がずーっと
摂食障害の娘さんを面倒見ることは出来ないはずです。
ご家族が病気になることもあり得ます。
定年退職する年齢もあることと思います。
それでも、「いいよ、いいよ」という関わりは、
私は大きな疑問を抱くのです。
摂食障害に悩むあなたも
摂食障害の娘さんを持つご家族も
ちゃんと現実をみてほしいのです。
現実をみた上で、
現実から逃げることなく
「今、できること」を一緒に見つけていきませんか?