摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。
医師が摂食障害を「心の病気」だとどの程度理解しているか…
結論から言うと、「概念としては知っているが、実際に深い治療ができる医師は極めて少ない」という状況のように感じています(*個人的な意見を含みます)。
1. 精神科医の視点: 「心の病」だが「厄介な疾患」
精神科医であれば、摂食障害を精神疾患だと認識しているはずですが、実際に積極的に「診たい」と思っている医師は驚くほど少ないようです。
理由
身体的なリスク(低栄養での急変など)が高いうえに、治療に数年単位の時間がかかるから。
精神科における、摂食障害の実態
「うつ」や「パニック障害」は得意でも、摂食障害は「専門外」として断る、あるいは薬を出すだけで踏み込まない医師が大多数だと感じています。
特に精神科クリニックなどのホームページには、「対象外」として摂食障害が挙げられている場合もありますし、初診予約の際に電話で「摂食障害で…」と言葉に出した途端に、「うちではちょっと…」と断られた、という経験談も、これまでカウンセリング受講されたクライアント様たちから聞いたことがあります。
専門的に向き合えるのは、精神科医の中でも1割程度という声もあるようです。
(カウンセリング経験の肌感覚では、もっと少ないかも)
2. 内科・小児科医の視点: 「数字」がすべての世界
内科医にとって、摂食障害は「栄養失調」という身体のトラブルとして、治療対象になりがちです。
実態
多くの内科医は「体重がこれだけ増えたらクリア」という、数値ベースの判断しかしない。
摂食障害の偏った見方(バイアス)
「若い女性に特有の、過度なダイエットの失敗」という偏った見方(バイアス)を持っている医師は、実際かなり多い印象です。
彼らにとって「心の問題」は、栄養が戻れば解決する「付随するもの」という認識になりがちです。
*実際は内科医だけではなく、私が入院した大学病院精神科でも、「体重が増えれば考え方は変わる」と繰り返し言われていました。
▼実際の言葉や、拒食症時代の体重制限はこちら

3. 医学教育の空白
日本の医学部のカリキュラムにおいて、摂食障害について深く学ぶ時間は驚くほど短いようです。
現実
多くの医師は、現場に出てから手探りで対応しているようです。
その結果、世間のニュースと同じレベルの「ダイエットしすぎ=摂食障害」という単純な理解で止まってしまっている医師が量産されている現実もあるみたいです。
実際、私がとある講習会に参加した際、ある男性が名刺を持ってご挨拶に来られました。
大病院●●科診療部長
え…と戸惑いつつ、お話しを伺うと、「摂食障害の患者を、当科でみることになって困っている」とのことでした。
つまり、大病院の方針で精神科が縮小(OR廃止)になり、既存の摂食障害の患者さんがあふれて、その先生のところに流れてきた…という状態でした。
その名刺を持ってこられた医師も、摂食障害は専門外なので、途方に暮れたまま、断ることもできず、摂食障害の患者さんを診察し続けている、とのことでした。
これが、現実です。
なぜ、摂食障害は、「過度なダイエット」と混同されるのか
フラットに見ると、医学界には「バイオサイコソーシャルモデル(生物・心理・社会的モデル)」という考え方があるものの、医師の多くは「バイオ(体)」と「ソーシャル(ダイエット流行などの社会背景)」だけで説明を終えてしまう傾向があるようです。
「摂食障害は生き方の問題(心理)」は、非常に個別性が高くて、効率を優先する病院では「診察範囲外」されやすいのです。
まとめ:摂食障害、医療現場の現実
「心の病気」だと知っている医師: ほぼ10割(知識として)
「心の病気」として本質に向き合える医師: おそらく1〜2割以下
「ダイエットの延長」だと心のどこかで思っている医師: かなりの割合(特に非専門医)
私自身が、摂食障害の時に10回も転院してもなお絶望したのも、この「1〜2割」に当たる確率が低すぎたからだと、今になってようやくわかります。
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