摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
母親カウンセリングで、必ずお伝えしていることの1つに《食にノータッチ》があります(母親カウンセリングとは)。
カウンセリングの場面では、「はい」とおっしゃるお母様方が多いですが・・・
実際には、摂食障害の娘さんの様子を見ているだけでソワソワしたり、「はい。本人に任せています」と言いつつも、家では「食べなくてどうするの!?」と言ってしまったり、こっそり、体重計の履歴をチェックしていたり・・・etc.
本末転倒なかかわり方をしてしまうお母様も少なくありません。そのため、私が常にお伝えする「食にノータッチ」の意味を改めてお届けします。
(1)「食にノータッチ」の前に、確認してほしいこと
私が母親カウンセリングでお伝えしている「食にノータッチ」を、勘違いされる方が多いのは、摂食障害歴が長いご家庭に多くみられます。
理由は、
すでに、摂食障害のお嬢様向けの食生活が、成り立ってしまっているからです。
特別に早い時間に夕飯を食べることが当たり前だったり、
買い置きのパンなどを、一切辞めることが当たり前になっていたり。
野菜料理など、「摂食障害のお嬢様だけ」が食べるものが、かならず常備されていることが当たり前になっていたり。
こうした「摂食障害のお嬢様向けの食生活」は、すでに「タッチしている状態」と考えます。
ノータッチとは、摂食障害の発症以前の、元気に楽しく過ごしていた時代の家族の食卓から、「ノータッチ」なのです。
家族全員の夕飯のお母様が作ったり。
お菓子やパンなどの買い置きもあったり。
時には、誰かが買ってきたケーキが冷蔵庫に入っていたり。
大体、夕飯は7時頃など、決まった時間に家族で食べたり。
こうした摂食障害の発症前の「当たり前」から、タッチしない・変更しないのが、「ノータッチ」です!
「ノータッチにしよう!」と決める前に、今の食事が「摂食障害のお嬢様向け」にすでに変化したカタチになっていないかどうかを、改めて確認してみてくださいね^^
(2)「食にノータッチ」の本当の理由
よく勘違いされやすいですが・・・「食にノータッチ」とは、何も食べなくていいという意味ではありません。
また、命がキケンな状態になれば、強制的にも入院、という選択をしなければいけません。
代わりに、食は、お母様が管理する問題ではない、という意味です。
食欲って、【本能】なのです。
ホントは食べたいという欲求は自然と沸いて「おいしい!」と喜んでパクパク食べるのです。
それが出来なくなっているのは、他ではない【心】が苦しんでいるからです。
心が苦しい状態だから、一般的には理解しづらい言動が始まっているのです。
「食べ物が怖い」
「食べようとするとドキドキする」
「食べると、すぐ胃もたれするの」
きっと、お母様方には何が怖いのか分からないことと思います、
なぜ、食べ物を前にすると、ドキドキするのか意味不明だと思います。
ごく少量しか食べていないのに、「胃もたれ」なんて信じられないはずです。
けれど・・・実際に起こるのです。
摂食障害の回復のための「家族の役割」を見直そう
繰り返しますが・・
ご家族の役割は、「食」を管理することではありません。
ご家族の役割とは、安心・安全な場所を作っていくことです。
家庭という場所に、お母様自身は、「居心地がいい」と感じているでしょうか?
残念ながら、お母様自身が、「家」に対していろんな想いを抱えたまま、ガマンばかりを重ねてきたケースが多いです。
・「嫁」として何も言えないまま生きてきた
・「妻」として一人で頑張ってきた
・「母」として、いい母親になろうと、間違ってはいけないと必死だった・・・etc.
言いたいことも言わず・言えず
物理的にも精神的にも、いつも苦しかった・・・というお母様方が少なくありません。
さらに、ご夫婦の関係は、お互いにとって心地いいものになっているでしょうか?
ご夫婦の間で、言いたいことがいえない家庭がとても多いです。
言いたいことが言えない、さらに親戚からのプレッシャーによって、「我が子を優秀に育てること」が、お母様としての「成績」になっている家庭も、少なくありません。
お母様ひとりが、闘ってこられたことは、本当に大変な日々だったと思います。
けれど、お嬢様はお母様の「作品」でも「成績」でもありません。
そこから自由になるには、まずお母様自身が、ご家庭の中で居場所を取り戻し、ご夫婦の関係を作り直していくしかないのです。
お嬢様の摂食障害の回復を願うなら、お嬢様の「食」から目を離してみてください。
お嬢様の「食」ではなく、お嬢様の「心」です。
お嬢様の「心」が訴えているものは、ほぼ必ず、お母様の心が長年訴えているものと重なります。
お母様自身が、変わっていくことで、お母様も生きやすくなります。
お母様が生きやすくなった姿を見て、お嬢様も「自分」を取り戻していきます。
「自分」を取り戻すからこそ、「食べてもいいかなぁ」と思えるように変わっていきます。
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