摂食障害カウンセリング
中村綾子です。
痩せてガリガリになりたい
痩せたら、みんな構ってくれる
ガリガリの身体なら、何も出来なくても許される・・・
意識的にも
無意識的にも
拒食症の方の中には、潜んでいる心理ではないでしょうか?
今回のご質問をご紹介します。
*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。
私は一度、体重が増えて安定し、学校や部活にも出られるようになり
イライラが減ったり心も穏やかになった時期がありました。
でも、あの時は「今より○○キロ痩せてたのに」とか、
去年の今頃は「こんな肉がついてなかったのに」等と痩せてた時期を振り替えると、
拒食に戻りたくなったことがありました。
だから、再び、低体重になった今、頑張って体重を増やしても、
素直に良かったと思えるか心配です。
中村さんは楽な生活になったのに、
痩せていた頃に戻りたくなったことはありますか!?
あと、そうに思ったと言うことはまだ本当に心が治っていなかったと言う事なのでしょうか?
ご質問をありがとうございます。
体重が増えて、イロイロな活動が出来るようになったから、
心が治った!というふうに、考えてしまっていませんか?
確かに、制限されていた運動などが自由になって
「やりたいことが出来る!」というのは嬉しいかもしれません。
ですが、摂食障害の根本をみていますか?
摂食障害
↓
やせ
↓
低体重
↓
運動禁止・行動制限
という、「痩せた後」のことだけを見てしまっていないでしょうか?
ホントは、「摂食障害」の前に、イロイロあったはずなんです。
心の不調が何年も続き
言えないことが沢山たまり
どうしようもなくなって、摂食障害の症状として表れているはずです。
だからこそ、「心の不調」に根本に何があるのか、
それをどう捉えなおしていくのか、
これらが、本当の回復には必要なことではないでしょうか?
今回は、私の経験も含め、以下の3つから考えていきます。
====================
1.「痩せ」に戻りたいと思った時
2.治った後は、「痩せない努力」
3.心を見つめる勇気
======================
1.「痩せ」に戻りたいと思った時
私にもありました。
「痩せたい」だけではなく
「痩せてガリガリになって、動けなくなったらいいのに」と思っていた時期が。
ガリガリになったら、働かなくていい。
ガリガリになったら、誰からも何も言われない。
そんな想いが何度も何度もこみ上げてきた時期が、
何年にも渡ってあります。
復学した大学院で
「ぽっちゃりしたね」と言われ続けた時
就職活動で、無職の時期を指摘された時
パン教室の経営で悩んだ時
「痩せちゃえばいいのに!!」
そんな気持ちでした。
でも、全く食べないことは、出来ませんでした。
なぜなら、反動で猛烈な過食になることが分かっていたからです。
私には、痩せて強制入院になることもイヤでしたが、
それ以上に、目の色を変えてむさぼり食べる自分がもっとイヤでした。
だから、「食べない」ことの反動が、とても怖かったのです。
・・・
「拒食の痩せに戻りたい」という気持ちは、
回復途中であれば、大抵の人に起こるのではないでしょうか?
痩せが魅力的に感じ
嫌だった入院に、逃避したくなったり
心配してもらえない身体を傷つけたくなったり・・・etc.
いろんな感情が沸くのは当たり前です。
いろんな感情が沸くのは当たり前です。
大切なのは、
⑴どんな感情も否定しない
⑵感情を話すこと
「痩せに戻りたい!」って言ってもいい。
今のあなたが、そう思うのだから。
「太るなんて、許せない」って言ってもいい。
太るのは、誰でもイヤなことなのだから。
ちゃんと出す
ちゃんと話す
その上で、今出来ることを見つけていきませんか?
それらを一緒に歩んでいくのが、治療者の役割なんです。
・・・
心が回復していくと
「体重を増やすこと」より
「増えた体重」のことを、だんだん許せるようになります。
心の器が大きくなると共に
体重への許容範囲も広がっていきます。
摂食障害カウンセリングを通して感じるのは、自分の回復を喜べるクライアント様の姿です。
「身体、ちょっとラクになったかも」
「前みたいなガリガリは、イヤなんだ」
「反動が来るのがイヤだから、ちゃんと食べる」
誰からも強制されない中で、自らこんな言葉を発していくのです。
心が回復していくって、
本当スゴイですよね。
2.治った後は、「痩せない努力」
以前から書いていますが・・・
体重は変動するものです。
個人差があると思いますが、私の場合、
この数年間は2キロ以内の幅でおさまっています。
同時に、「痩せないこと」を意識するようになったのも、治った後です。
今の私は、30キロ台になりたいとは、思いません。
ガリガリの痩せに戻りたい気持ちもありません。
誰かに心配されたいという気持ちより、「心配される状態では、いけない」と思っています。
「心配される状態」は、周りに気を遣わてしまいます。
友人との楽しい時間も、気を遣わてしまう時間になってしまいます。
心配される状態であれば、仕事は成り立ちません。
そして、ガリガリになるほど、極端な食事をすれば、
とてつもない過食が起こることが、経験上、分かっています。
だから、食を含め生活全体で極端なことをしない、無理をしないことを心がけています。
食事のラクは、心のラクから。
心のラクは、生活のラクから。
全ては、繋がっいるんですよね。
3.摂食障害の心を見つめる勇気
心の回復、忘れてしまっていませんか?
きちんと食べること
体重が普通になること
これらも、大切なことです。
けれど、
きちんと3食たべれたら、「治った」ことになるのでしょうか?
体重が普通になったら、「治った」なのでしょうか?
私は、違うと思っています。
食事と体重だけを見てしまう治療が、
あまりにも一般的になり過ぎている現状に、大きな危機感を抱いています。
心が回復すること無しに体重だけ増えてしまうと、
すぐに拒食に戻ってしまいます。
置いてきぼりになった心は、増えた体重を受け入れられず、
別の症状が出る場合もあります。
だから、心なんです。
心を見つめるということ
心の中を洗いざらい話すこと
これらは、決して、1回・2回で完結することではありません。
そして、誰にでも話せる内容では無いはずです。
だから、じっくり取り組むことが不可欠なのではないでしょうか?