摂食障害専門カウンセリング・中村綾子です。
さまざま拒食症の方とのカウンセリングを通して、拒食症の回復は「過食なし」「過食あり」は、その後にも大きなちがいがあるようです。
ざっくり分類すると以下の2パターンです。
(1)拒食症⇒少しずつ「許可食」を増やす⇒少しずつ体重増加⇒生理回復⇒一応、カウンセリングで過去の振り返り等⇒社会復帰(スッキリしない治り方)
(2)拒食症⇒過食⇒心と向き合う(原因の掘り下げ)⇒過食が終わる⇒生き方を見直す⇒自分に合った仕事へ(綺麗に治る)
私は決して過食を推奨しているわけではありません。
私自身も経験者として、過食に陥った時にとてもとても辛かったことを今でも鮮明に覚えています。
しかし、過食により、
・感情の爆発
・コントロールの喪失
・強制リセット
というイヤでも直面しなければいけない状況に陥ることが、結果として、これまでの「いい子」「優等生」から変わり、「自分の殻を破る」という意味で、とても重要な回復プロセスではないかと考えます。
拒食症の回復プロセス:2つの道のり
この2つの回復プロセスを、改めてその意義とともに考えてみましょう。
(1)過食を伴わない回復:穏やかな道のり、残るわだかまり
拒食症 ⇒ 少しずつ「許可食」を増やす ⇒ 少しずつ体重増加 ⇒ 生理回復 ⇒ 一応、カウンセリングで過去の振り返り等 ⇒ 社会復帰(スッキリしない治り方)
この場合は、摂食障害の回復において比較的「穏やか」に見える道のりかもしれません。
段階的に食事ができるようになり、体重も増加し、身体的な健康を取り戻していきます。
カウンセリングで過去の出来事を振り返ることも行われます。
しかし、食のルールや体型へのこだわりといった目に見える症状は改善されても、その根底にある「いい子」でいようとする心理的な問題が十分に解決されていない可能性があります。
そのため、食に対する漠然とした不安や、自分自身への不完全燃焼感が残りやすいのかもしれません。
(2)過食ありの回復:キレイに治る
拒食症 ⇒ 過食 ⇒ 心と向き合う(原因の掘り下げ) ⇒ 過食が終わる ⇒ 生き方を見直す ⇒ 自分に合った仕事へ(綺麗に治る)
一見すると「悪化」のように見える「過食」という段階を挟みます。
過食の意味とは…
感情の爆発
コントロールの喪失
強制リセット
だと考えます。
拒食症時代には完ぺきなコントロールが出来ていた食生活も体重も、過食と同時にコントロールが効かなくなり、「自分とは何!?」と大きなパニックに陥ることもあります。
この時期の体型変化こそ、文字通り「自分の殻を破る」と言えるのではないでしょうか。
こうしたプロセスが、これまでの「いい子」「優等生」という殻を破り、新しい自分をつくっていくための「強制リセット」としての役割があると考えます。
過食という「コントロールを失う」体験は、これまで抑え込んできた感情(怒り、悲しみ、不安、虚しさなど)が一気に噴き出す機会となり得ます。
感情が爆発する姿は、ご家族には、
・人が変わった
・ワガママになった
・泣き叫んでいる
・荒れている
というネガティブな印象を与えるかもしれません。
しかし、こうした感情の爆発は、ホントの意味で自由になるために必要なプロセスです。
カウンセリングを通して、拒食症の原因と向きあうことにもプラスに働きますし、
・完ぺきにはできない
・コントロールできない自分もいる
という新しい価値観が身に付くチャンスでもあります。
結果として「生き方を見直す」「自分に合った仕事をえらぶ」といった、より確実な回復(摂食障害の卒業)につながる可能性が高いと言えます。
カウンセラーとしては、こうした波乱を乗り越えて、自身と向き合い続けて卒業されたクライアント様たちは、本当に「キレイに治った」という印象が強いです。
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