摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
「コレ、言ってもいいですか?」
母親カウンセリングでよくいただく言葉です。
そして、私は必ずこう答えます。
「『言ってはいけない言葉』はありません。
お母様のホンネであれば、何でも言っていいです」
ホンネを言わない・言えない方が多いからです。
さらに・・・
正論だけで、説得しようとしていませんか?
ココでも、正論を「言ってはいけない」とお伝えしているのではありません。
正論が必要な時もあります。
でも、問題なのは、2つ。
・正論「だけ」になっていること
・説得しようとしてしまうこと
こうしたコミュニケーションでは、摂食障害の心に響いていきません。
響かないだけではなく、傷つけてしまう場合も少なくありません。
具体的な例とともに、説明していきます。
■例「太るのがこわい」への3つの正論・説得の言葉
「太るんじゃないよ、健康になるんだよ!」
⇒体重が、超・低体重であっても、体重が増えることが「太る」としか思えない心があります。
そんな心を見ていますか?
「体重増加は太ることではない」という意見は、「正論」です。
でも、摂食障害のお嬢様は、そう思えないのです。
「健康になるんだよ!」と言ってしまいがちですが・・・
果たして、お嬢様は健康になりたい!と思えているでしょうか?
「健康になる=イイこと」という「正論」をお持ちのはずです。
「健康になるためには!」と説得しがちです。。。
「全然太っていないじゃない!」
⇒たしかに、体重と身長で計算すれば、BMIなどで肥満度などを測定することができます。
けれど、「太っているかどうか」は数値以上に、心なのです。
計算した数値とお母様の価値観では「太っていない」が「正論」かもしれません。
でも、そう思えない「摂食障害の心」があるのです。
もしくは、そう思えていても、心が許せない、認められない等。
「体重が増えることは怖くないから、早く食べなさい」
⇒「怖い」と言っている人に、「怖くない!」と言えますか?
私が、母親カウンセリングで例としてよくお伝えするのが、高所恐怖症です。
高いところを怖いと感じる人は、他の人が怖くない場所であっても、「怖い」のです。
【その人にとっての事実】です。
「怖くない」も正論であり、説得。
「食べなさい」も説得。
だから、摂食障害の心には響かないのです。
・・・
きっと、多くのお母様は、ここまで読んでズドーンとした気分になっていることと思います。
アレもコレも当てはまる!という方も多いかもしれません。
繰り返しますが、
「正論を言ってはいけない」のではありません。
正論が必要な時もあります。
正論の伝え方が大事な時もあります。
そして、言い方・伝え方・タイミングは、一人ひとり異なるのです。
熱心なご家族ほど陥りやすいのは、
ご家族が「治してあげる!」と背負い込んでしまうことです。
熱心だからこそ、
愛しているからこそ、
一生懸命だからこそ、
そう思ってしまいがちです。
けれど・・・
摂食障害の回復におけるご家族の役割は治療者ではありません。
ご家族は、「治りたい気持ちを引き出すこと」が最大の役割なのです。
治っていくのは、摂食障害のお嬢様自身でしかありません。
お嬢様自身が、治りたい・変わりたいと思えるようになること。
心が変わっていくと、予想以上のすばらしい変化・回復を遂げていきます。
そうした回復は、本当にすばらしいものです。
「治りたい気持ち」を引き出すために、お母様ができること。
母親カウンセリングは、こちらでご案内しています。