摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。
「こんなに頑張ってるのに、また過食してしまった」
「こんなに頑張ってるのに、体重が増えない」
過食症でも拒食症でも、努力しているのに思うような結果が出ない…そんな声を、私は何度も耳にしてきました。
きっとこの記事を読んでいるあなたも、同じような気持ちを抱えたことがあるのではないでしょうか。
でも、本当に「頑張っているのに、結果が出ない」のでしょうか?
ここでは、「嘘か本当か」ではなく、「なぜ結果が出ないのか」という一点に焦点を当てて考えてみたいと思います。
摂食障害:頑張っているのに治らない理由は、大きく分けて2つあります
(1) まだ“途中”であるということ
摂食障害の回復は、少しずつ「変化」に慣れていく過程です。
人間は変化を本能的に怖れる生き物。だからこそ、たとえ「正しいことをしよう」としていても、新しい行動や考え方に慣れるには時間がかかるのです。
たとえば、
3食きちんと食べようと思っても、過食していた頃の習慣が戻ってきそうになる
拒食で避けていた食品を少しずつ口にするのが怖い、気持ち悪いと感じる
こうした反応は、とても自然なもの。
すぐに結果が出なくても、「まだ慣れていないだけ」である可能性は十分にあります。
だからこそ、自分の変化を焦らずに「感じて」いきましょう。
もちろん、回復には“心理的な要因”の見直しも不可欠。そこは、専門家と一緒に取り組んでいきましょう。
(2) 頑張る「方向性」が間違っている
もう一つの原因は、「努力の方向」がズレている場合です。
たとえば、
体が限界なのに、心の問題ばかりを掘り下げようとしている
逆に、体重ばかりに意識が向きすぎて、心の回復を無視している
こういった方向性のズレは、どんなに頑張っても成果につながりにくいのです。
そのうえで、もしかすると
「頑張ってる私を認めてほしい」
「こんなにやってるのに!」
という気持ばかりが先行していないでしょうか?
もちろん、専門カウンセリングを治すために頑張ることは大切です。
でも、「今の自分に合ったやり方」かどうか、冷静に見直すことが必要になります。
摂食障害の回復段階に合ったアプローチを
摂食障害の回復は、段階ごとに必要なアプローチが異なります。
体が危険な状態のときは、まず栄養と体力の回復を優先する
ある程度身体が安定してきたら、心の問題や環境との向き合いが重要になる
このように、今どの段階にいるのかを整理し、正しい方向に力を注ぐことが、回復への最短ルートです。
そのためにも、自分ひとりで抱えず、信頼できる第三者と一緒に「回復の道筋」を見直してみてくださいね。
▼拒食症のご家族にオススメ記事