
急に冷え込みが厳しくなってきましたが、皆さん体調はいかがでしょうか?
摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。
私のカウンセリングでも、この時期になると
「なんとなく気持ちが落ち込む」
「過食衝動が強くなった」
「食欲が止まらなくて怖い」
といったご相談が増える傾向にあります。
実は冬は一年の中で最も摂食障害の症状が揺れ動きやすい季節です。
「私の意志が弱いからだ」と自分を責めてしまう方が多いのですが、決してそうではありません。そこには、冬特有の明確な理由があるのです。
今日は、なぜ冬に症状が悪化しやすいのか、その3つの主な要因についてお話しします。
【冬に過食が悪化しやすい理由1】寒さによる生理的な食欲増加

まず一つ目は、私たちの体の「防衛本能」です。
気温が下がると、私たちの体は体温を維持しようと必死に働きます。
平熱を保つために熱を作り出そうとエネルギー(カロリー)を消費するため、脳が「燃料を補給して!」と指令を出し、自然と食欲が増すのです。
これは、生き物としてごく当たり前の反応です。
しかし、摂食障害の方にとっては、この自然な食欲の波が「コントロールできない恐怖」として襲いかかり、過食や、それに対する代償行為(嘔吐や過剰な運動など)の引き金になってしまうことがあります。
【冬に過食が悪化しやすい理由2】イベントシーズンによるプレッシャー

*ホントは楽しみたいのに、楽しめなくて自己嫌悪
二つ目は、環境的な要因です。
12月から1月にかけては、
クリスマス
大晦日
お正月…etc.
食事がメインとなるイベントが目白押しです。世間が「美味しいものを食べよう」という空気に包まれる中、自分のペースで食事をすることが難しくなります。
「クリスマスのケーキを食べ過ぎてしまった」
「お正月だからと勧められて断れなかった」
という出来事が、
「失敗した」「太ってしまった」という強烈な罪悪感に変わり、そのストレスから再び症状が悪化するという悪循環に陥りやすいのです。
【冬に過食が悪化しやすい理由3】日照時間の減少とセロトニン不足

三つ目は、脳内ホルモンの影響です。
冬は日照時間が極端に短くなります。日光を浴びる時間が減ると、精神を安定させたり食欲を調整したりする脳内物質「セロトニン」の分泌が減少します。
セロトニン不足は、気分の落ち込み(冬季うつ)や、炭水化物や甘いものを欲する過食衝動に直結します。
つまり、冬の不安定さは、性格の問題ではなく、脳の科学的な反応による部分が大きいのです。
ご家族の「正しい知識」が回復の鍵
このように、冬は「身体・環境・脳」のすべての面から、摂食障害の方にとって過酷な条件が揃っています。
ここで何より大切なのが、ご家族が摂食障害(過食症)をただしく理解していることです。
ご本人が一番苦しんでいる時に、家族が「どうして我慢できないの?」と叱責してしまったり、「どうせクリスマスを一緒に楽しめない…」と最初からあきらめたり腫れ物に触れる関わりをしてしまったり…
ではなく、
過食が悪化しやすい寒い時期こそ、周囲の環境、特にご家族の正しい知識と理解が、摂食障害の回復には大きなささえになります。
この冬、まずは動画で摂食障害のただしい知識を取り入れることから始めてみませんか?
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