【拒食】心療内科の前に、婦人科に行くべき?

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

生理が止まってしまった・・・
あれ、今月ってまだ?
そういえば、しばらく生理きてないかも・・・

こうした不調に気づいて、
今の不調と向き合うことはとてもいいことです。
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ですが、「生理がないこと」があたり前になり過ぎてしまうのも、
摂食障害の方の中には、よくあることかもしれません。

お母様の立場の方からいただきましたご質問をご紹介します。

*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。

◆メルマガ読者さんからのご質問◆
心療内科の予約を一応してはいるのですが、まだしばらく先で。

娘の5ヶ月ほど止まっている月経が心配で、
心療内科に行く前に先に婦人科にいくべきでしょうか?

学校の先生からは婦人科でホルモン治療の方法もあるが、
体がついていかず、しんどいかもしれないので、体重が戻れば自然と月経もまた始まるのでは、とのお返事いただきました。

ご質問をありがとうございます。

心療内科・精神科って、なかなか新規の予約が取れないですよね。。。
私も、生まれてはじめて心療内科に行く時、すごく驚いたことを覚えています。

ですが・・・

いつでも新患OKという病院こそ、ちょっとナゾがありますが^^;;
摂食障害やうつ病など、心の病気は、長期的な治療でじっくり関わっていくことが大切だからです。

今回のご質問には、私の経験談も併せて以下の3つで考えていきます。

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1.私が「治療できない」と言われた時

2.婦人科医の知識・対応は千差万別です

3.身体がついていかない、心がついていかない

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1.私が「治療できない」と言われた時

私も同じように、生理が止まりました。
カナダ留学中から生理が止まっていました。

一時帰国した際にホルモン治療を受け、一時的に生理がきました。
でも、その後、数年、生理が止まっていた後、
ふたたび、婦人科を受診しました。

「今の体重では、ホルモン治療できない」

これが、婦人科医から言われた言葉です。

拒食症と分かっていたけれど、認められず。
拒食症の治療は精神科・心療内科の分野だと知っていたけれど、
行く気になれず。

だから、避けて、逃げて、婦人科の先生ならなんとか
してくれるかもしれない・・・という想いから
婦人科受診していました。

でも、冒頭の言葉を言われ、トコトン傷つきました。

なぜなら、当時の私は、
「食べれなくて可哀そう」という悲劇のヒロインに
浸っていたからです。

低体重すぎると、ホルモン治療ができないことがあります。
また、低体重だから治療を断られる場合、
ある意味、良心的なのかもしれません。

2.婦人科医の知識・対応は千差万別です

体重が減ると、生理が止まるメカニズムを
理解できているでしょうか?

ざっくり説明するなら、
身体が飢餓状態に陥っているため、
命を守るために、余分なものを「節約」しているのです。

今の命がキケンなので、
生理を起こして、出血している余裕はないのです。

このメカニズムは、医療関係者であれば、確実に知っているはずですが・・・

実際の婦人科医の中には、
理解や対応に大きな差がみられるようです。

低体重なのに、積極的なホルモン治療を行ってしまったり
低多重だから、「もっと食べなさい!」と叱咤激励してしまったり

摂食障害の疑いを感じないままの対応なのか、
摂食障害を疑っていても、放置している対応なのか、
正直、私には理解に苦しむような現実があるようです。
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だからこそ、婦人科を受診されるなら、
摂食障害治療と連携があるクリニック・病院のほうが
望ましいかもしれません。

何よりも、摂食障害の娘さん自身が、「受診したい」と
ハッキリした気持ちがない限り、傷つく場面もあるかもしれません。

お母様の役割は、
将来的なリスクをきちんと話していくことです。

その上で、受診する・しないの選択は、娘さん自身に
ゆだねていきませんか?

今、生理がないのは、娘さんの身体です。
そして、身体を通して、「何か」を訴えているのですから。

お母様は、その「何か」を考えていらっしゃいますか?
目先の生理回復だけを求めてしまっていませんか?

3.身体がついていかない、心がついていかない

生理回復には、体重が必要です。
けれど、心が回復していない状態で、
体重だけが戻ると、心の状態が悪化してしまうことがあります。

ご質問のように、
無理なホルモン治療は、身体に負担をかけてしまいます。
これは、身体が、女性ホルモンを生産できない状態にあるにもかかわらず、
外側から刺激してしまうからです。

同様に、心がしんどい最中に、
体重だけが不本意に回復していくと、心がついていきません。

たしかに、命のキケンがある体重の場合は別です。

でも、どんな体重であっても、
心も気持ちも存在するのです。

「体重が回復すれば、心が変わる」と、よく言われます。
私自身も、大学病院精神科で、洗脳されてきた言葉です。

ですが、実際には、心は何も変わりませんでした。

繰り返しお伝えしていますが・・・
摂食障害とは、心の病気です。

認めたくない
認めきれないお母様も多いですが・・・

摂食障害に悩んでいる娘さんの心は、
病んでいるのです。

病んでいるからこそ、
心の治療が必要です。

でも、外側から見えない心に、
無理やり治療させることは、ほぼ不可能です。

だからこそ、「治りたい気持ちを引き出す関わり」が
何よりも重要なのではないでしょうか?

お母様をはじめとするご家族の関わり方で、
「治りたい気持ちを引き出すこと」は可能です。

ご家族は治療者ではありません。
でも、「治療を受けたい」「治りたいという気持ち」を引き出すことは
できるのです。

そのために、正しい理解をしていきませんか?

どんな病院にかかっても
どんな名医のもとに通っても

結局は、お母様自身の日常を
変えていくことなのですから。
正しい理解があれば、コレが間違いだと気づくはずです。