摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
摂食障害の考え方には、イロイロあります。
摂食障害かも!?と思った頃や診断前の段階では、
摂食障害関連の本を何冊も読むことは役立つかもしれません。
あくまで、全体像をつかむという意味で、です。
けれど、
摂食障害の本を読んで、パッと治るほどカンタンな病気ではありません。
そして、一般論が心に効くものであれば、
こんなにも多くの方が摂食障害に悩んでいるはずがないのではないでしょうか?
つまり、一般論は一般論。
目の前の情報が、本当に心に響いたり、
回復につながるものかどうか、あなたの頭で考えて欲しいのです。
私は、摂食障害の一般的な考え方に疑問を抱くことが多いです。
その一つに過食に対する考え方があります。
例えば、こんな言葉です。
ご家族の対応として、こんな言葉を言っていないでしょうか?
(1)過食は、今の●●ちゃんに必要なんだよ
(2)ツライなら、今日は食べてもいいんじゃない?
これらの言葉や考え方は、摂食障害の経験者としても、
カウンセラーという立場からも、疑問に思うことが多いです。
一つ一つ見ていきます。
(1)は、本当にそう思いますか?
本当に「この子に過食は必要!」と心底思って、ご家族は発言しているのでしょうか?
どこかで読んだから
何かで聞いたから、
とりあえず、言っていませんか?
やみくもに食べることも、
詰め込む食べ方も、
大量に食べて吐くことも、
本当に、今のお嬢様にとって「必要」ですか?
私自身の過食を振り返っても、
家族から「必要なんだよ」と言われたことはありません。
我が家の対応がすべて良かったとは思っていません。
でも、摂食障害の症状について【否定も肯定もされなかった】のは、
良かったことだと思っています。
もし、「必要なんだよ」と言われていても、
当時の私は嬉しく無かったと思います。
救われた気持ちにも、ならなかったと思います。
過食しても、特に肯定されることが無くて良かったと思っています。
【私 と 過食】
ただ、それだけになるからです。
外野がいない。
だから、向き合うしかない。
【自分 と 過食】
食べるのも
太るのも
治すのも
【ぜんぶ、自分】
だから、治るしかないと思えたのかもしれません。
摂食障害は、理解するのに難しい病気かもしれません。
難しいと感じる時こそ、病気としてシンプルに考えていくことをオススメしています。
もし、発熱だとしたら、、、
「40度の熱は、●●ちゃんに必要なんだよ」といいますか?
きっと言わないと思います。
40度の熱が出てしまった。
事実として、ただそれだけです。
発熱を責めることは無いと思います。
出てしまった熱を責めても、治らないからです。
「早く治るといいね」
「治ったら、遊びにいけるね」
そんな声かけをするのではないでしょうか?
(2)も、同じです。
「今日は、イヤなことがあったのだから、熱を出してもいいよ」と言いますか?
きっと、言わないと思います。
イヤなこと・ツライこと、
それらは、相談して解決したり
考え続けて解決策が見つかったり
愚痴を吐き出して、ちょっとスッキリしたり・・・
そういうことはあるかもしれません。
けれど、「熱を出していい」とは言いませんよね?!
熱を出したら、イヤなことが解決することもありません。
「過食してもいい」と過食を許可することは、解決ではなく、
むしろ過食パターンを強化してしまっているのではないでしょうか?
さらに、食べていい・悪いは、
他の誰かが決められることではありません。
また、誰かが許可する・しないという話でもありません。
大切なのは、【切り離して考えること】です。
摂食障害のお嬢様とご家族。
それぞれの課題・問題に、それぞれが取り組むこと。
決して、脚の引っ張り合いにならないこと。
それが、大切なことなのです。
・・・
摂食障害の症状を否定も肯定もしない。
発熱を否定も肯定もしないのと同じです。
摂食障害の回復をサポートすることが家族の役割であって、
摂食障害を継続させるサポートではないのです。
お嬢様の言いなりになっても、
摂食障害の回復サポートにはつながらない場合があります。
話を聴くことは言いなりになることではありません。
心に寄り添っても、言いなりにならない方法はあります。