摂食障害と国民年金:私が働けなかった時代から「働き方」を考える

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

先日、自宅の郵便ポストにこれが届きました。

1年分の支払い。
毎年恒例ですが、金額を見てビックリ。

でも、同時に思いました。
この金額を、何年も何年も、両親が私のために支払い続けてくれたんだなぁ〜と。

しみじみ思いました。
しみじみ以上に、当時のことを振り返れば後悔ばかりです。

金額を知っていたら、変わったのかなぁ。
生きていくことが、より一層ツライものになったかなぁ。
支払ってくれて当然!なんて、どうして思っていたんだろう。。。

通院は、ずーっと続けていました。
でも、ホントに「治ろう!」と意欲的だったかどうかは定かではありません。

国民年金の支払いを知っていたか?

当時の私でも、薄々は、知っていました。
母から、代わりに払ってあげているんだよ、と聞いていました。

でも、当時の私の反応は、「ふーん。。。」といった感じで、可もなく不可もなしでした。

摂食障害で、食べる・食べないばかりに振りまされて、
体重の増減に一喜一憂して・・・

「普通の生活」に憧れる一方で、
「普通の人」が当然支払っている国民年金には、無頓着・・・。

矛盾ばかりですよね^^;;

親が払ってくれて当然!という気持ちも、
当時の私にはありました。

「私がこんなにツライのだから・・」という悲劇のヒロインに浸っていた気持ち。
さらには、「親のせいで、こんなに苦しんでいるのだから」という責任を押し付ける気持ち。

その両方が、国民年金そのものに関しても、その金額に関しても「ふ~~~ん・・・」という反応につながったのだと思います。

・・・

私のカウンセラーとしての考え方は、治すことに専念する時期として「働かないことを選ぶ」こともアリだと思っています。

治らないまま、日中仕事して、帰宅してから過食嘔吐・・・
重たい身体のまま、朝無理やり起床して、身体を引きずるように出勤・・・
といった摂食障害のままで働き、摂食障害のまま何年も過ごしてしまうことは、
回復をますます難しくさせてしまうと考えます。

ですが・・・
同じ「働いていない」であっても、中身こそ大事なところです。

1.「自分には無理・・・」という諦めと自己判断で働いていない
2.「仕事しなければ・・・」という焦りばかり募るが、実際は働いていない
3.今は治すことに専念する時期、という治療方針のもとで、働いていない

1.「自分には無理・・・」という諦めと自己判断で働いていない

自己判断・・・。
これが最大のネックです。

摂食障害の状態として、ホントに働くことが無理な状態なのかどうか。
これは、治療者に判断してもらうしかありません。

「自分には無理・・・」という諦めが強いと、
回復し始めた時に、症状が急に強くなる(ぶり返す)ことがあります。

なぜなら、「治ったら仕事しないといけない」「治ったら困る!」という気持ちが強いからです。

「自分には無理・・・」というあきらめで、働かない時期をズルズル延ばしてしまうと、今後の社会復帰が難しくなるかもしれません。

2.「仕事しなければ・・・」という焦りばかり募るが、実際は働いていない

これが非常に多いです。

休んでいるけど、休めていない状態。

身体は休んでいるけど、頭・心がずーっと動きっぱなしの状態。
家にいるけれど、心は緊張しっぱなしの状態.
ゆっくりしようとしても、頭の中は焦りでいっぱいの状態・・・etc.

これでは、心の回復は進んでいきません。
休む時は、ちゃんと休む。
ある意味、開き直りです!

開き直りが出来るまで、人によっては何年もかかります。
ホントの休養は、この開き直りが出来るようになってから、始まるのです!

3.今は治すことに専念する時期、という治療方針のもとで、働いていない

私は、症状ゼロだけではなく、安定した社会生活が送れるようになることこそ、摂食障害の回復ゴールだと考えます。

なので、まず治ること。
その上で、働き方を考えていくこと。

こうした順番で進めていくことを、私は推奨しています。

「治すことに専念」するからこそ、
上記のような「休んでいるけど、休めていない」状態からホントの休養を1日でも早く開始する必要があります。

そのため、摂食障害専門カウンセリングでは、将来の話や仕事のやり方について時間を割くことがとても多いです。

私が治りつつあった時、1番困ったこと。
それは、「働き方」の相談先が無いことでした。

・どのくらいの仕事なら、大丈夫なのか?
・自分はどんな仕事が合っているのか?
・治った人は、どんな仕事についているのか?
・どれくらいのペースで仕事を増やしていったらいいのか?

病院では、摂食障害のことだけ。
世の中では、ほとんどが新卒の就職ばかり。

どっちつかずの自分と
どこに相談したらいいのか分からない自分。

病院で聞いても「無理のない範囲で」という一般論で終わってしまいまいました。

ムリばかりして生きてきた人間に、
「無理をしない」をどうやって選べばいいのか、
どれくらいなら「無理がない」状態なのか、
無理している状態なのか、大丈夫なのかは、どうやって見極めればいいのか・・・

だれも教えてくれませんでした。

だから、摂食障害の症状が治まってきた時こそ、「働き方」「生き方」について多くの時間を割く必要があるのです!

「働き方」を考える時、ぜひオススメしたい1冊の本があります。
リアルだから厳しいけれど、ホントの話!