摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
当オフィスは、お母様からのご相談を多く承っております。
(母親カウンセリングとは)
よくある言葉ですが、摂食障害の経験者として、ずーっと腑に落ちないままの言葉があります。
それは、
・娘が摂食障害だと、親は何もかもガマンしないといけないんですか。
・娘のせいで、イライラして頭がおかしくなりそう。
・娘をずーっと見ていないといけないんですか?
・私(母)にも、気分転換が必要なんです。
・自分の時間が持てないと、イライラする・・・etc.
という言葉の数々です。
こうした言葉、日常的に言っていませんか?
一方で、こんなお母様方もいます。
「娘のおかげで、振り返る機会をもらえた」
「摂食障害について、まだまだ理解しきれないけど、あの子がいろんなカタチで教えてくれているから、ちょっとずつ分かるようになった」
「もし、摂食障害にならなかったら、こんなに向き合った話すことなんてないまま大人になってしまったんだろうな」
といった、たくさんの感謝の言葉です。
どちらのパターンが、回復・卒業につながるか、言うまでもないですよね。
もちろん、後者です。
また、私も摂食障害の経験者として、「気分転換」「自分の時間」という言葉に、やっぱり違和感を覚えます。
そこで、「母に聞いてみましたシリーズ」です(笑)。
まずは母からのコメントを紹介し、その後、カウンセラーの立場から摂食障害について解説していきます。
母のコメント:気分転換の外出なんて考えもしなかった
娘が、過食のために夜コンビニに行ってしまう不安があり、私はおちおち寝ていられない。
当時、娘は昼夜逆転なので、昼間寝ていられるが、私(母)は家事があるので、休む余裕はないし、気分転換の外出なんて考えもしなかった。
疲れがたまって、心よりも体が保てないんじゃないかと思った。
今から思えば、ですが・・・
当時、母はホントにすごい役割を一人で担っていました。
父は、会社勤めをしていたので、7時前の出勤に合わせてお弁当作り。
同居していた身体の不自由な親戚の世話。
イライラして過食衝動の私。
施設に入所していた認知症の祖父(母方)。
自宅で介護できないから、祖父は施設にお願いしていたのですが・・・何かと施設から連絡がきたり、届け物をしたり、面会に行ったり・・・というのは、母が一手に行っていました。
ふつうは、施設とのやり取りやお見舞いに行くだけでも、結構大変だと思いますが、親戚と私という「ふたりの病人が同じ家にいること」と、それでも毎日お弁当作りをはじめ家事があること。
こうして振り返ると、私には反省しかないです・・・。
子どもが高熱をだした時、お母様は気分転換の外出をしますか?
摂食障害をシンプルに考えよう!
私が、接し方に悩むお母様方によくお伝えすることです。
幼い子どもが高熱を出した時、お母様は気分転換の外出をしますか?
そもそも、「気分転換しよう」とか「子どもを一人で家において、外出しよう」という発想自体、沸いてくるでしょうか?
どうにか熱が下がらないか。
どうしたら早く下がるんだろう?
もう1度、病院に行ったほうがいいかなぁ・・・etc.
こうしたことを、つらそうにするお子さんを前にして、必死で考えるではないでしょうか?
その時、
気分転換も
自分の時間も
何もないはずです。
とにかく、「早く治ること」だけに意識を集中しているはずです。
摂食障害をシンプルに考えるとは、こういうことです。
治ることに集中すること。
取り乱しても何でもイイから、
どうしたら1番早くなおるかを必死で考えること。
今のお母様は、そこまで必死になっていますか?
摂食障害は命にかかわる病気であり、一生続くかもしれない病気
上記のように、「自分の時間が・・・」という気持ちになってしまう理由の1つに、
命にかかわるほどの病気だと思えない
があると思います。
学校行っているし
元気そうだし
一応、食べているし
でも実際は、
キレやすかったり
無理やり元気にふるまっていたり
ウソをついていたり
元気にみえても生理が無かったり
元気に過ごしていたかと思えば、休日はどーんと落ち込んだり
ホントは何も動く気力がわかなかったり
食べても吐いたり
お弁当を捨てていたり
特別な食べ物ばかり何年も食べ続けたり
極端な低カロリー食だけを食べていたり
しているのです。
摂食障害が命にかかわる病気だと、お母様がホントに心底思っていたら、なりふり構わず治そうとしているはずです。
言葉を考えるよりも
どうしたら怒らせないかを考えるよりも
「そのうち治る」と思うよりも
「待つしかできない」と放置するよりも
今すぐ、どうにかしないと!と必死になるはずです。
さらに・・・
摂食障害とは、とても長期化しやすい病気でもあります。
一生続いてしまう方もいるようです。
摂食障害でも、学校や仕事を続けられてしまう方こそ、こうしたリスクが高いと言えます。
理由は、本人も家族も「それがフツー」になってしまっているからです。
ホントは、毎晩過食するなんて、全然フツーではないですが、帰宅途中にコンビ二よって、過食材料を買い込んで、帰宅したらバーッと食べて、吐く。
疲れ切って寝たら、また翌朝、何事もなかったように学校や仕事に行く。
昼間は、平然と過ごして、優秀な人・デキル人だと思われて、でも毎晩の過食嘔吐はずーっと続いている「ぜったい誰にもいえないこと」。。。
まだ摂食障害の診断を受けたばかりのご本人・ご家族にとっては、あまり現実味がない話かもしれません。
けれど、カウンセリングでお会いしています。
摂食障害の10年という年月は、あっという間に過ぎてしまったと語る、クライアント様たちに。
まとめ
摂食障害は命がかかわる病気と知って、ほんとうに焦って必死になってください。働き方の多様化といっても、やはり新卒一括採用の現実はそれほど変わっていませんから、就活を始める前にきちんと治っておく必要があります。
このまま摂食障害が一生続いてしまうかもしれないという危機感を持ってください。
だからこそ、ご家族が今すぐできることを見つけていきましょう。
⇒摂食障害の娘を持つ、お母様のための摂食障害のご相談
摂食障害の克服経験者カウンセラーだからこそ、できること。