認知症の祖母がいる・いないで拒食・過食が変わる

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

「摂食障害だけ」と考えていると
周りからの影響を「甘え」「わがまま」と捉えていまいがちです。

ですが、人はお互いに影響しあって生きているんですよね^^;;

なので、
家族の中で動きがあると、
摂食障害にかなり影響するものなのです。

今回のご相談をご紹介します。

*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。

◆メルマガ読者さんからのご質問◆

同居している認知症の祖母がいると拒食気味になり、
祖母がショートステイでいないと過食気味というか、
避けてたり控えてる食べ物(炭水化物の量とか揚げ物、おやつなど)を食べれたり、いつもより食べる量が増えます。

祖母がショートステイから戻るとまた、控えたりしてしまいます。

そんな自分が怖いです。
こういうのはあり得るのでしょうか?

ご質問をありがとうございます。

自覚がない場合が多いですが・・・
実はとてもよくあることなのです。

ご質問の方は、「祖母」が対象ですが、
兄弟が帰省したり
姉妹・兄弟が・進学したり・結婚したり
幼い兄弟がやんちゃだったり

以前のブログにも書いていますが、
摂食障害を「家全体の問題として捉えることが大事」なのです。

そのため、家の中の関係が
摂食障害に大きな影響を及ぼすことは当然なのです。

お母様方との「母親カウンセリング」で繰り返しお伝えしているのは、

「『娘さえ治れば、、、』という考え方を辞めること」です。

今、摂食障害で悩んでいるのは、
確かに娘さんです。

大抵、家族の中で1番弱い存在の人が発症しただけであって、
他の家族メンバーが病んでもおかしくは無いのです。

1番弱いかもしれないけれど
1番家族のことを思っている人

それが、摂食障害の本人である場合がほとんどです。

私自身も、家族のあり方に大きな影響を受けてきました。

ご質問の方は、「認知症の祖母」ですが、
私の場合は、親戚の病気と祖父の他界でした。

今回は、摂食障害と家族のあり方、そして、私の2つの経験談をお伝えしていきます。

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1.摂食障害を「家の問題」として考える

2.私の拒食:身体の不自由な親戚との同居

3.過食1週間で4kg増!祖父の他界

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1.摂食障害を「家の問題」として考える

ご質問の方は、「認知症の祖母」からの影響とのことですが、

実は、これはとてもよくあることです。

家の中で1人が
病気になったり
仕事で急に不在が多くなったり
進学したり
一人暮らしを始めたり
結婚したり

一般的によい変化であっても
「家」という構造は、必ず動いているのです。

摂食障害に悩むあなたにとっては、
自分だけが置いてきぼりになっていると感じたり
バタバタ忙しく人のスピードについていけなくなったり
急に構ってもらえなくなったり、、、

「普段と同じ」だけに
安心を見出していた時から

変化に心が戸惑って
症状がひどくなるのです。

ご質問をくださった方の場合なら、
「祖母と自分の関係」を見直すことは、
思いつくかもしれません。

もちろん、直接の関わりとして、大切なことです。

ですが、「家の問題として考える」のは、
それだけでは不十分なのです。

お祖母ちゃんがいる時
家の中の雰囲気は、どんな感じがしますか?

お祖母ちゃんか居ることで、
あなたがソワソワすることはありますか?

お祖母ちゃんの認知症の症状について、
ご家族はどんなふうに言っていますか?

お祖母ちゃんが、ショートステイを利用する理由はなんですか?

ショートステイは、いつ、だれが、どれくらいの頻度で利用するか決めていますか?
その時、あなたの意見は聞き入れてもらえていますか?

ショートステイの期間、
お母様は、どんな表情をしていますか?

ショートステイの期間、
生活リズム(起床・就寝時間、食事やお風呂の順番や時間など)は変わりますか?

また、お祖母ちゃんとの同居は、あなたが生まれた時からですか?

そうではない場合、同居を決める際、
どんなふうに話し合いをして、あなたはどんな気持ちになっていましたか?

もし、お祖母ちゃんが同居ではなかったら、
あなたの中で何がちがうと思いますか?

思いついた質問をざっと書いてみましたが、
これだけでも、沢山あると感じられると思います。

お祖母ちゃんがいる・いないで、拒食・過食が変化すること自体、おかしいことでは無いのです。

おかしくは無いけれど、
家の問題として
あなたの気持ちをじっくり考えていくことこそ、
向き合うことではないでしょうか?

2.私の拒食:身体の不自由な親戚との同居

ここからは、私の経験談です。

私が拒食症と診断された半年後、
我が家は、大規模な引っ越しをしています。

これは、私がまだカナダ留学をしていた時期から準備が始まっていたことで、
私がよく分からないまま、話がどんどん進んでいってしまったと感じています。

これまでの家族構成から、急に変わりました。

名古屋市内のマンションで、
両親、兄、私だった住まいから

愛知県内の不便な場所に一戸建てで、
親戚、両親、兄、義姉、私という計6人へ。

二世帯住宅の設計のため、
親戚、両親、私が1階
兄夫婦が2階

これが、ものすごいストレスと居場所の無さを生みました。

まず、この同居は、
身体の不自由な親戚の世話をしていくのが、
最大の目的でし。

だから、母の気持ちも身体も、常に親戚のほうに向いているのが、
当時の私にとっては、どうしようもない苦痛でした。

親戚の世話をしないでほしい!
バタバタしないで!
一緒に暮らしたくない!
私は、同居に賛成してない!

数え切れないほど、
こうした言葉を吐いてきました。

すでに、私の拒食が「身体を使って訴えている」という自覚がありました。

これらを何度訴えても、
両親は、受け入れてくれませんでした。

両親からは、
「バタバタしていない」
「親戚は、ほとんど自分の部屋にいるじゃない」
「こんなに綾子のことを考えているのに」
という言葉しか返ってきませんでした。

そこじゃないのです。

物理的・時間的な変化よりも
自分が大切にされているという感覚こそ、
私が手に入れたいものでした。

でも、両親には全然通じませんでした。

もちろん、当時の私にも他力本願なところは多々あります。

ですが、同居を通して、
私の摂食障害は、ますます悪化していくのでした。。。

3.過食1週間で4kg増!祖父の他界

同居2年目、高齢者施設に入っていた祖父が他界しました。

葬儀や親戚関係への対応は、母が全て担うことになりました。

祖父が住職だったこともあり、
お寺関係者とのやり取りも、全て母の役目に。。。

そのため、父や兄夫婦もバタバタ。

施設、お寺、家、、、

この3ケ所を代わる代わる行ったり来たり。

私は、完全に取り残された気持ちでした。

人が死ぬという現実が飲み込めないまま
家全体が猛烈な勢いでグラグラ揺らぐ感覚
理由の分からない恐怖
見えない不安

結果、、、
ずーっと食べ続ける過食になりました。

当時、私は大学院2年目でした。

必須の精神科実習の時期でした。

朝、出発前に過食
乗り換えの駅で売店へ
買ったばかりのおにぎりを満員電車の中でみさぼり
最寄駅についたら、さらにコンビニへ

実習中もイライラ・そわそわ

食べたはずなのに
まだまだ食べたい

食べているはずなのに
食べていないような感覚

本来の食欲も
正常な感情も崩壊していった時期でした。

結果、1週間で体重4kg増加しただけでなく、
お腹の異常なふくらみで、
服が入らなくなりました。。。

……

家族との関係で
拒食になったり
過食になったりする自分を
どうか責めないでいてください。

責めることで何も解決しないけれど、
向き合うことで、家族関係が見えてくることはあるのです。

向き合うと辛くなることがあります。
向き合う意味が分からない時があります。

そんな時、この存在を忘れていませんか?