摂食障害カウンセリング
中村綾子です。
父と娘
摂食障害に限らず
思春期以降はなかなかむつかしい関係かもしれません。
今回のご質問をご紹介します。
*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。
綾子さんが摂食障害の時、父親の存在はどうだったのでしょうか❓
父親はあまり口出ししませんが、食べたら体重が増えて治る‼︎と思っています。
色んな進路も好きにしたらいいよ‼️といいます。
子どもの事で夫婦もギクシャクしたり、父親と娘がギクシャクすることがよくあります。
どのように言葉がけするといいですか❓
ご質問をありがとうございます。
■父がどんな存在だったのか??
蚊帳の外でした^^;;
通院に、両親と私という3人で行ったことがありますが・・・
それは、1回か2回です。
たぶん、小学校の頃から父とあまり仲良くないので、
摂食障害という病気は、さらに理解できないと思います。
ちなみに、兄(3歳上)も父とそれほど仲良しではなく、
「男2人で酒を飲む」といった場面も無いようです。
・・・
母親カウンセリングでは、お母様が1人で抱え込んでしまうリスクも感じている一方で、
お父様に協力参加を求め、時に求めすぎて上手くいかなくなってしまう印象も受けています。
「摂食障害における父親の役割」とは、
一言でいえば、「母親のサポート」です。
そのことを含め、以下の3つから考えていきます。
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1.言葉がけより、大切なこと
2.お母様に出来ること、出来ないこと
3.心の矢印、すれ違っていませんか?
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1.言葉がけより、大切なこと
母親カウンセリングで、とてもよくある声ですが・・・
「どう言ったらいいですか?」
「これは、言っていい言葉ですか?」
「どんな言葉が、娘をラクにするんでしょうか?」
私は、こうした声に、
「◯◯と言ってみてください」とお伝えしていた時期があります。
ですが、多くの場合、お母様方はセリフになってしまうのです。
心の変化が伴わない限り
思ってもいない言葉は、
娘さんの心に響かないばかりではなく、
時には傷つけてしまうことにもなりかねません。
ですから、言葉だけを変えようという考え方から、
お母様自身の心を、どんなふうに変えたらいいんだろう?という考え方に
変化していってほしいと思っています。
心が変わることで、
言葉も変わってきます。
心が安定していることで、
冷静に言葉をえらぶことが出来ます。
セリフを探すのではなく、
まずは、お母様自身の心と向き合っていきましょう。
2.お母様に出来ること、出来ないこと
摂食障害に限らず言えることですが・・・
「出来ないこと」をやろうとすると、
心にも身体にも大きな負担がかかります。
今、人を変えようとしてしまっていませんか?
もっと、協力してくれたらいいのに!
もっと、理解して!
私一人で大変なんだから!
お母様の心の中には、「人に向けた不満」が
溜まってしまっていないでしょうか?
残念ながら、「人を変えること」は、
「出来ないこと」なのです。
「出来ないこと」にエネルギーを注いでしまうと、
どんどん疲れ果ててしまうのです。
「出来ないこと」と「出来ること」。
お母様が「出来ること」とは、
・摂食障害の正しい理解
・揺らがない安定した心を作ること
・治療者と出会うこと
・快適に過ごすための工夫
・自分時間を確保すること・・・etc.
きっと沢山あるはずです。
「出来ること」をやり尽した後、
それ以外のことを考えていきませんか?
3.心の矢印、すれ違っていませんか?
ご質問の言葉を引用させていただくと、
「子どもの事で夫婦もギクシャク」
「父親と娘がギクシャク」
という2つが挙げられます。
「2」の通り、お母様自身が「今、出来ること」に
エネルギーを費やしていくと、ある程度は「夫婦ギクシャク」が
おさまってくることと思います。
そして「父親と娘がギクシャク」ですが・・・
いろんな状況・背景が考えられるかもしれません。
(1)お母様が娘さんにつきっきりになって、お父様が孤独を感じている場合
(2)娘さんがお母様に「分かってほしい」と訴えているにも関わらず、
「お父さんに話しなさい」と言ってしまっている場合
(3)元々、疎遠だったにも関わらず、急に父・娘の距離を狭めようとしている場合
決して、すべてがこの3つで説明できるとは思っていません。
ですが、多くのご家庭のお話を聴かせていただいている中で、
「心の矢印のすれ違い」を感じています。
(1)はお父様の心の矢印が行先を失っている状態
(2)は、「娘 → 母」という方向を、「娘 → 父」に変えようとしている状態
(3)「娘 父」という隔たりがある状態から、いきなり急接近を求めらている状態
と、言えるのではないでしょうか?
私が、カウンセリングを行っているのは「母・娘」なので、
直接お話の中で出てくるのは(2)と(3)です。
私自身が摂食障害だった頃を振り返ると、(2)が1番苦痛でした。
私にとっては、「母の逃げ」としか思えなかったので、
一層、「分かってもらえない」気持ちでいっぱいになりました。
「お父さんに言いなさい」
「お父さんに聞かないと分からない」
こうした言葉が本当にイヤでした。
私は、母に1番分かって欲しかったのです。
父に理解を求めていた時期もありましたが、
元々、深い話をする間柄ではなかったので、早い時期に諦めていました。
そして、摂食障害カウンセリングの中でも、かなり似た傾向を感じています。
逃げずに立ち向かうということ。
それは、お母様方にとって、並々ならぬ覚悟がいることです。
でも、お母様自身が心の安定を取り戻し
生きることを楽しめるようになれば、不可能ではないのです。
摂食障害を娘さん1人の問題ではなく、「家全体の出来事」として捉えること。
全体を見つめ直すために、じっくり時間をかけていくこと。
これは、長期的にかかわっていくカウンセリングだからこそ、
出来ることなのではないでしょうか?
摂食障害からの卒業、一緒に目指していきませんか?