摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
やっと治ってきたかも!?
このまま治るかも!?
ずっと過食しないで生きていけるかも!?
新生活と共に、そんな気持ちでテンションが上がっていませんか?
やる気になるという意味ではイイことかもしれません。
でも、、、ある時、一気に摂食障害の症状がバーン!と出て、あまりに動揺してしまう人が少なくありません。
まず、大前提として覚えておいて欲しいことは、以下の2つです。
・摂食障害にV字回復はありません。
・摂食障害が勢いだけで治ることもありません。
つまり・・・
摂食障害の回復とは、治療を受けながら、行きつ戻りつを何度も何度も繰り返しながら治っていくのです。
そして、新しいことを増やしたり、新しいことに挑戦する時は、同時に「新しいストレス」を抱える時期でもあります。
なので、気持ちはラクにはならないのです。
私が留学する前、こんなことを聞きました。
英語はある日突然耳に入るようになる。
英語は急に分かるようになって、それから一気に楽しくなる。
いろんな立場のいろんな人から似たような事柄を聴きましたが・・・
私の6年間のカナダ留学中、1度もこうしたことは経験できませんでした。
いつもいつも英語ができなくて、大変でした。
理由は・・・
ステージが上がったから。
交換留学
↓
カレッジ
↓
4年制大学
英語も少しずつは伸びていったのかもしれません。
けれど、求められる英語力は、年々ハードになっていきました。
だから、6年間を通じて1度も、「英語がラクラク理解できる」ことはありませんでした。
それでも、念願だった「カナダで大学を卒業すること」は手に入れることは出来たのです。
・・・
つまり、摂食障害も同じです。
超・低体重で生きることがギリギリの状態の時は、どんな食べ物でもいいかもしれません。
でも、体重がフツーになってくる頃、ある程度の栄養バランスや食事時間を、一般的な生活に近づけていく必要があります。
さらに、体型が普通、生理の回復など身体の中身もフツーに近づいた時、社会復帰という「新しいストレス」に直面するのです。
新しいストレスに直面した時、
初めてのころだらけで、感じるストレスは膨大です。
ストレスが膨大だからこそ、摂食障害の症状が一気に出て、見た目上、悪化したのかも!?と勘違いしやすい時期です。
こうしたことを何度も経験している私から見れば、「当然のこと」にすぎません。
この時期の注意点です。
■ぶり返したかも!?という時の注意点
・家族が動揺しない
・早すぎ・やり過ぎを再チェックする
・焦りからの行動か、ホントにやりたい行動か?
家族が動揺しない
これが、最重要事項です。
でも、1番できていないご家族が多い印象です。
よくあるパターンが、、、
摂食障害のお嬢様以上に、動揺してしまうご家族です。
・全然治っていきません。
・振り出しに戻ってしまったのでしょうか?
・こんなことなら、学校に行かなくていい・仕事してくていい・・・etc.
こうした言葉がどんどん出てきてしまうほど、ご家族が動揺してしまう場合がおおいです。
でも、その動揺こそ、共依存そのものであり、お嬢様が主体的に治ろうとするチカラの妨げになっているのです!
ベストな接し方は・・・
3メートル後ろから見ている です。
あくまでイメージですが、ぴったりと手と手を取り合っているのではなく、二人三脚で歩むのでもなく、何となく全体像を後ろから見ている。
3メートルですから、ちょっと走れば、すぐに追いつくはずです。
声を出せば聞こえる距離です。
見ているけれど、監視ではない状態。
近くにはいるけれど、密着ではない状態。
それが、ご家族の動揺も減らすために大事なことなのです。
早すぎ・やり過ぎを再チェックする
これは、ご本人向けのアドバイスです。
冒頭のように「このまま治っていくかも!?」と思える時、うれしさから勢いに乗って行動してしまいがちです。
だからこそ、早すぎ・やりすぎになる傾向があります。
特に、休学・休職の期間がある方の場合、「取り戻したい!」という気持ちで、次々とやることを増やしてしまうのです。
私も半年の休学から復学した頃、まさにそのパターンに陥っていました。
平日は学校
土日は講演会や勉強会に参加
バイトも始め
サークルにも入り
自主的に本も沢山読み・・・etc.
身体はフラフラになっていても、「食べたい!」が大きくなっても、ムシし続けていました。
結果・・・すぐにダウンしたのです。
いつも心療内科・精神科には通っていましたが、自分の回復がどういう段階にあるのか説明してもらえることもなく、ただただ「お薬を増やしましょう」という対応が多かったです。
このブログで繰り返し書いていることですが、相性のいい・摂食障害に理解のある治療者と出会うことは必須です。
その上で、あなたの治療者と今の生活についてじっくり振り返っていきましょう。
何がやりすぎなのか
何が早すぎたのか
何を緩めるのか
何を減らすのか
どれくらい回復したら、再び増やしてもいいのか・・・etc.
こまかくじっくり。
急がば回れなのです。
焦りからの行動か、ホントにやりたい行動か?
これもご本人向けです。
みんながやっているから
周りと同じように
コレをやっていないと恥ずかしいから・・・
そんな理由で、今の行動を決めていませんか?
結局、自分で自分のためにやりたい行動ではないと、「心と身体の不一致」から症状が出ることは多々あります。
これはぶり返しのタイミングだけではなく、いつでも意識しておくことは大事です。
今のアルバイト、ホントにやりたいと思って応募しましたか?
今の学校、本当に行きたいですか?
今の習い事、ホントに好きですか?
私がこれを強調するのは理由があります。
まさに失敗談からの話です。
進路に悩んでいた時・・・
医療系のある資格を、通信教育で取ろうとしていました。
半年間の講座でしたが、
通信教育なので、早くやろうと思えば早くできました。
早く仕事をしなければ
早く収入を得なければ
早く「働いています!」と言えるようにならなければ・・・
そんな「焦りからの行動」でした。
焦りが強い分、行動も早かったのです。
半年間の通信講座を1週間で終えました。
けれど・・・
最終試験前に、ダウン。
教科書の内容を理解しないまま、課題だけこなしていたので、何も分かっていませんでした。
そして、その資格を取って、どうするの?それがやりたいの?という疑問がフツフツ沸いていきました。
結局、最終試験を受けることもなく、資格も手に入れずに終わりました。
・・・
年齢的にも、焦ることはあると思います。
むしろ、現実的な焦りは、回復に役立つと考えています。
けれど、焦りだけで行動しても結局は上手くいきません。
摂食障害の心を変えていくためには、「じっくり」が何よりも大事なのです。
焦りとじっくりの両立。
矛盾しているように思われがちですが、実は摂食障害の回復には意味のあることなのです。
摂食障害の回復の波。こんなグラフを描きながら回復していくのです。