摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
拒食の時は、
「もっと食べてくれたらいいのに」
「若いんだから、ぽっちゃりしたほうが可愛い」
「ガリガリに痩せているより、元気なら太っていてもいい」
ご家族は、ガリガリに痩せた拒食症のお嬢様を前に、そんなふうに考えがちです。
けれど、一旦過食・過食嘔吐が始まりそうになると、
「うちの子は、過食症にならないとおもっていたのに!」
「こんなに食べ続ける姿、私はみていられません」
「食べて太ったら絶対後悔するから、止めないと!」
と、態度を一転してしまうご家族が、とても多くいらっしゃいます。
急に態度を変えてしまうのは、お嬢様の摂食障害をますます悪化させてしまいます。
そこで、拒食症から過食・過食嘔吐が「はじまる時」のために、事前にご家族が知っておいてほしい事をお伝えいたします。
拒食・過食・過食嘔吐の「心の根っこ」は同じです。
拒食症だけだったお嬢様が、過食・過食嘔吐になってしまうんじゃないか?と恐れている理由。
それは、過食・過食嘔吐を、まったく別物だと考えているからではないでしょうか?
拒食・過食・過食嘔吐は、同じです。
見えている症状がことなるだけです。
「心の根っこ」が同じなのですから、「ちがう表れ方になったんだな」と思う程度にしておきましょう。
ご家族が、過食・過食嘔吐を恐れると、過食・過食嘔吐を引き寄せてしまう。
拒食・過食・過食嘔吐のお嬢様の共通点。
それは、「感じやすいこと」です。
よくカウンセリングでお伝えすることですが、一般的な人の「感じやすさ」を測定できるとしたら、摂食障害のお嬢様の「感じやすさ」は、一般的な人の100倍です。
場所時に離れているところに居ても、お母様の考えていること・思っていること・感じていることは、すべてお嬢様が感じ取っていると思ってください。
つまり、
お母様が「うちの娘、過食になったらどうしよう!?」と思っているだけで、その気持ちがお嬢様につたわっているのです。
上記のとおり、拒食も過食も過食嘔吐も、「根っこ」は同じなのですから、恐れないことです。
恐れてビクビクし続けるよりも、お母様が「今、できること」を見つけていきましょう。
ふつうの食事・ふつうの生活を守り続けることが大切。
拒食でも過食でも過食嘔吐でも言えることですが・・・
摂食障害のお嬢様の異常ともいえる食行動は、家族全体の生活を変えてしまいがちです。
わざわざ家族のために料理したり
台所を長時間占領したり
お嬢様が買い置きを辞めて!と言い出したり
ご家族が食べるものを制限したり
ご家族に無理やりたくさん食べさせたり
こうしたいろんな「異常ともいえる食行動」がみられることと思います。
だからこそ、ご家族が「ふつうの食事・ふつうの生活」を守り続けることが、とてもとても大切です。
摂食障害の発症前と同じような内容・時間帯に食事をする。
パンやお菓子などの買い置きも、これまで同様にしておく。
家族用の食べ物を、摂食障害のお嬢様が食べてしまったら、毅然とした態度で叱る。
つまり、
「言いなり」にならない! です。
「言いなり」になってしまうと、摂食障害はほぼ確実に慢性化します。
「言いなり」になることは、摂食障害の回復サポートではなく、摂食障害でいつづけることをサポートしてしまっている状態です。
家族の役割を見直すからこそ、回復の全体像が見えてくる
家族の役割:ふつうに接すること
病院の役割:身体を診ること
カウンセリングの役割:心の問題と向き合うこと。
3つが重なった中央、星印で示してあるところが、摂食障害のお嬢様の場所です。
それぞれの役割があります。摂食障害の回復には、これら3つを持ち続けることで、ご家族とお嬢様の共依存を防ぐことにも役立ちます。
「過食を止めて!」というお嬢さんが時々いらっしゃいます。
私は、ご家族がお嬢様の過食を止めるのはオススメしません。
誰にも止められないこと。
過食の治療の場は、家族・家庭ではないこと。
これを、ご家族が、摂食障害のお嬢様自身に伝えるタイミングだと思うからです。
だからこそ、ご家族が、どんな要求も言いなりになってはいけません。
家族が出来ること
家族ができないこと。
家族が取り組むこと
お嬢様が取り組むこと
どこからどこまでが摂食障害で、
どこからどこまでが甘え・わがままで。。。。
毎日の生活で、判断がつかず悩むことが多いと思います。
だからこそ、ご家族も専門家のサポートを受けていただくことを強くオススメしています。