目標体重とは何なんだろう、拒食症で入院した際に設定された体重が、長年つきまとった経験談。
摂食障害専門カウンセラー
中村綾子です。
摂食障害の治療でとても疑問なのが、体重設定です。
特に入院治療の場合、
・体重●㎏で外出可
・体重●㎏で外泊可
・体重●㎏で退院…etc.
と結構こまかく設定されている場合が多いようです(今も昔も)。
これは「アメとむち」を利用した方法でしかないので…多くの場合、摂食障害に悩んでいる人が前向きに喜んで取り組む方法とは言い難いです。
私自身も拒食症の時、入院・通院中に「体重38kg」という基準が設定されていました。
今回のブログでは、「体重38kg」の意味やそこにとらわれてしまった後悔などをお届け38kg
拒食症:「大学院に行くなら体重38㎏」と言われ続けて…
摂食障害と診断されたのは近所のクリニックでしたが、その後入院・通院した大学病院では「大学院に行くなら体重38㎏」と最初からずーっと言われ続けていました。
通院中も
入院中も
退院した後も
復学する時も…etc.
体重38㎏絶対説のように、わたしの中に刷り込まれていきました。
何のために体重を増やすのか分からないまま、体重を増やさないとせっかく合格し入学した大学院が続けられなくなる…という気持ちだけでした。
体重38㎏がどんな意味を持つのか
体重37㎏とどう違うのか
体重38kgになると何が変わるのか
といったことは、一切説明がないまま、「とにかく体重38㎏」でした。
あまりにも繰り返し主治医から言われていましたので、もはや体重38㎏という設定にギモンを持つ意欲さえも無くなっていきました。
私だけではなく、うちの両親も「大学病院の先生がいうなら…」とやはり鵜呑みにしてしまっていたのです。
拒食症から過食症へ:38㎏から体重増加が止まらない
拒食症から過食症になったのは、退院してスグでした。
そこから体重がどんどん増えていきました。
リアルな体重変動の記録は、こちらの本に赤裸々に記載していますので、まだお読みでない方はぜひご覧ください。
『摂食障害 太ることがコワイあなたへ』
体重が少ない状態から、体重を増やすための目標だったはずの「体重38kg」。
しかし、一旦体重が増え始めると、その後どうすればいいのか本当に分からなくなりました。
体重38kgで身体が充分なら、体重38kgからずっと増えるのはどうしてなの?
体重38kgで大学院に行けるなら、それ以上は必要ないのに、どうして体重増加が止まらないの?
体重38kgの後、身体がどうなっていくのか、どうして誰も教えてくれないの?
これが摂食障害治療の課題だと思っていますが(今は)、、、
体重を増やすことを治療の中心においてしまうと、「その先」が分からないままココロの状態がますます悪化してしまうのです。
実際、私は体重がどんどん増えていく時期のほうが(低体重の時期より)、心が辛く生きていくのが辛くなりました。
体重が回復しても、いつも頭の中に「38㎏」が呼応した時期
摂食障害の治療による影響は、その後も計り知れないほど大きかったです。
摂食障害そのものの後遺症を心配される方も多いですが、少なくとも私の場合、摂食障害の後遺症と言われるものは感じたことがありません。
(カウンセリングでお会いするクライアント様にも、後遺症を感じた方はいません)
一方で、「摂食障害の治療による後遺症」には体重が増えれば増えるほど、苦しんできました。
体重が増えても
大学院に通えても
生理が回復しても
体重38㎏でいいのに、「それ以上の体重」がある自分がいて。
「それ以上の部分」、たとえば体重40kgなら「差」の2kgが余分な体脂肪として身体にまとわりついているんじゃないか…という想いがずーっと頭の中にありました。
その後、摂食障害の治療先(病院・クリニック)を転々としたので、「体重38㎏」の医師に改めて聞いたことはありません。
しかし、一人の医師により摂食障害の治療初期に刷り込まれてしまった体重の数値というのは、別の医師のもとに通ったからといって、気持ちも考え方も変わるものではありません。
そもそも別の医師(複数ですが)は、「体重38㎏」と言っていない場合、「この気持ちで苦しい」と話したところで「それぞれの医師の考えで治療しているから」と言われてしまうだけでした。
自分の「体重38㎏にしばられてツライ心」をどうやって治せばいいのか、だれが分かってくれるのか、どこに相談すればいいのか、分からないまま、何年も過ぎていきました。
摂食障害の体重とは、何なのか
*ここから現在の私、カウンセラーとしての考えです。
体重は必要
でも、体重だけじゃない
と、思っています。
生理が自然回復する必要があります。
不眠の多くも空腹が原因です。
ですから、
朝起きて、昼間活動して、夜寝る。
同世代とほぼ同じくらいの食事を、ムリなく美味しく食べられる。
学校・仕事の活動がムリなく続けられる。
ということが必要不可欠だと思っています。
それらをクリアするために、「やっぱり体重って必要だよね」という話になるのです。
あくまで、「人生というスパン」で考えた時に、「やっぱり体重って、ある程度ふつうじゃないとイロイロできないよね」という順番です。
その後、体重38㎏にしばられた心はどうなったのか…ですが、体重増加が止まらなかった時あきらめるしかなかった、です。
元気いっぱいだった高校時代は結構ぷくぷくしていたので(お菓子の食べ過ぎ(^▽^;)
ぷくぷくしていた高校時代には、いい友達に恵まれて、楽しい学校生活がありました。
ぷくぷくしていても愛されていた自分。
ケーキバイキングが大好きだった自分。
そんな自分を何度も何度も思い出したり、ずっと仲良くしてくれている友達に「太ってイヤでたまらない気持ち」を何度も話したり、友人の体重を聞いたり…etc.
という長い時間と葛藤をかけて、体重38㎏にしばられる心はあきらめへと変化していきました。
体重にしばられて辛い方へ
私は拒食・過食・過食嘔吐の克服経験者ですから、体重に縛られてシンドイ気持ちも経験しています。
低体重でフラフラだった時より体重増加に伴い、前述のように「摂食障害の治療による後遺症」に悩んできた時期も長かったです。
摂食障害のつらさを全て分かるとはいいませんが、
・当事者の視点
・心理学の視点
・カウンセラーとしての視点
・卒業クライアント様の軌跡
などから、あなたという人の「人生というスパン」で、お話しを伺うことはできます。
ご興味がありましたら、まず克服経験の流れを動画でご覧いただければと思います。