摂食障害の入院は「逃げ」でしょうか?

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

受験の季節ですよね。
高校受験、大学受験、そして就職・・・。

「治ったつもり」で進学・就職を決めてしまったり
「行けば治る!」という思い込みで動いてしまったり

そして、1年以内にダウン・・・

カウンセリングにお越しくださる方は、
こうしたダウンを経験されている方がとても多いです。
maple-leaves-690233_640
だからこそ、摂食障害が治る方法を確認し、
摂食障害から社会適応のタイミングを
見極めていくことが大切なのではないでしょうか?

今回のご質問をご紹介します。

*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。

◆メルマガ読者さんからのご質問◆

社会復帰して、また状態を悪くして、休養が必要だと自分で気づきました。
そして、食生活と生活リズムの改善のために入院するのはどうだろうかと考えました。一時しのぎで、身体的のダメージを早めに対処する意味で、です。

しかし、入院はいつまでも病気に留まろうとする「逃げ」なのだろうか、先生は、どう思われますか。

ご質問をありがとうございます。

入院が根本的な解決にならないことを
自覚されているのは、イイ事だと思います。

身体の状態も含め、
確認していきたいことはたくさんあります。

以下の3つ、じっくり考えてみましょう。

1.基準を下回ったら入院をオススメします。

体重だけで決めつけられること
体重だけで判断されてしまうこと

私が拒食だった頃、
1番イヤなことでした。

だからこそ、カウンセリング基準を提示することもものすごい抵抗があります。

ですが、絶対に譲れないことが1つあります。

それは、あなたの命です。

あなたに生きていてほしい

ただ、それだけです。

生きていれば、治る方法がみつかるかもしれません。
生きていれば、相性のいい治療者と出会うチャンスがあります。
生きていれば、もう1度たのしく生活できる可能性があります。

だから、生きていてください。

カウンセリング基準を下回っている場合、身体の治療を優先していただきます。

2.入院に居場所を求めてしまう心

入退院を繰り返してしまう人には
ある共通点を感じています。

低体重

家族が「手に負えない!」と入院させる

「いい子」の娘さんは、
家族に反抗せず、入院に従う

病院でも「いい子」

体重が増える

退院基準の体重になる

退院する

家に居場所がない

入院していたら構ってもらえる

ふたたび、体重減少

家族が「手に負えない!」

再入院・・・延々と繰り返し

ここにあるのは、
だれからも本気で向き合ってもらえず
だれからも必要とされない虚しさではないでしょうか?

居場所を求めて
居場所を探して
居場所を欲しているのに
どこにもない。。。
maple-leaf-567986_640
家に居場所がないから
一時的に病院に求め

病院には、同じような摂食障害に人がいて
一時的な関わりの看護師さんたちがいて
一時的には心が落ち着くかもしれないけれど、
体重がふえるに従い、
家に帰るという現実が待っている。。。

家に帰っても
楽しみな退院だったはずなのに
すぐに家族と上手くいかなくなり

上手くいかないから
「食べない」で訴えてしまい
ふたたび、家族から「手に負えない!」と言われて
再入院。。。

何年も何年も
こんな繰り返しになっている方がいます。

何度も何度も
いろんな病院に入退院している摂食障害の方がいます。

たしかに、本気で関わっていない周りにも責任があります。
そして、全員が「その場しのぎ」であり、
一時的なラクに逃げていることもあります。

でも・・・

あなたの人生、あなたはそれでいいですか???

私だったら、絶対にイヤです。

あなたは、あなたが治る方法をちゃんと考えてください。
あなたは、あなた自身の治療プランをじっくり練ってください。

入院に頼るのではなく、
「一時的に利用する」のであれば、
その前後に出来ることを考えてみてください。

入院の前後に、
相談する場所を決めてみてください。

あなたは、あなたの人生と、ちゃんと向き合っていますか?

3.入院以上に大切な◯◯生活

安易な入院を選んでしまったり
退院だけがゴールになってしまったり

摂食障害の長期化につながってしまう場合も
少なくありません。

だからこそ、入院生活そのものよりも
退院後の生活を、どう組み立ていくのか、
じっくり計画してほしいと思っています。

入院中は、主治医やナースの管理下です。
だから、自由はほとんどありません。

ですが、退院したら
あなたは1人なのです。

起床時間
朝ご飯
午前中の過ごし方
お昼ご飯
午後の過ごし方
夕ご飯
就寝時間・・・

これら1つ1つがあなた自身で決めていくことなのです。

どんな生活をしたら
回復につながりますか?

どんな気持ちで退院後の生活を
つくっていきますか?

「入院中、食べれたのだから、家でも出来る!」と思い込んでしまうのは、とてもキケンです。

管理下の入院と
自由に過ごせる自宅は
まったく別物です。

通院を頻繁にしたり
頼れる場所を確保しておいたり
入院前にきめておくことは沢山あるのではないでしょうか?

そして、社会復帰の時期こそ、じっくり検討していくのことが必要です。

退院は、「命の危機を逃れた」だけです。
決して、「治った」ではありません。

社会に出る前
すごく怖くなるかもしれません。

バリバリ働いていた自分や
キャリアウーマンの友人

今の自分と比べて
落ち込むことがあるかもしれません。

でも・・・

治っても頑張らなくていいから
治っても立派な仕事をしなくてもいいから
治ってもスゴイ!と言われなくていいから

「治る」ことを、もっとラクに考えてほしいのです。

治るとこんな言葉にも、傷つかなくなるのですから^^