【拒食症Q&A】過食になったほうが本人はラクなのでしょうか?

摂食障害専門カウンセリング・中村綾子です。

拒食症に悩む方やそのご家族からよく聞かれる質問があります。

「過食のほうが、本人はラクなのでしょうか?」

この疑問に対する答えは、一見シンプルに見えて実はとても複雑です。
今回は、この問題について深く掘り下げていきましょう。

過食の「ラク」の正体

過食が「ラク」に感じられる理由はいくつかあります:

1. 一時的な気分の改善
2. ストレス解消の手段
3. 空腹感からの解放
4. 食べることへの罪悪感の一時的な解消

しかし、これらの「ラク」は表面的なものに過ぎません。

本来の問題(摂食障害の原因)へのアプローチが先延ばしにされてしまい、ますます深刻化しがちです。

過食のウラ側にある苦しみ

過食した後には、必ず深い苦しみが待っています:

– 罪悪感と自己嫌悪
– 体重増加への恐怖
– 身体的な不快感(胃痛、吐き気など)
– 金銭的な負担
– 社会生活への影響

これらの苦しみは、過食の「ラク」をはるかに上回るものです。

本当の「ラク」とは何か

摂食障害からの回復において、本当の「ラク」とは:

– 食事に対する恐怖や強迫観念からの解放
– 自分で「ありのままの自分」を認められるようになること
– 食べることを楽しめる心の余裕
– 周りの人から「愛されている」「大事にされている」という実感

これらを得るためには、専門家のサポートを受けながら、摂食障害の根本的な問題に向き合う必要があります。

摂食障害の回復への第一歩

もし、お母様が過食のほうが「ラク」だと感じているなら、摂食障害についての知識や考え方を見直すタイミングなのかもしれません。

過食は一時的にみればラクと言えるかもしれませんが、長期的には決して「ラク」ではありません。

ご家族にとっても、摂食障害は一人で抱え込むには重すぎる問題です。

専門家のサポートを受けながら一緒に、本当の回復をめざしてきましょう。

卒業されたお母様の声はこちら
⇒【卒業の声】自分の中に蓋をしてきた辛さや悲しみに向き合い、心が楽になっていきました

*10代のお嬢様が過食症に悩まれたのをきっかけに、お母様が当オフィスの摂食障害「継続コース」を受講されて、卒業された方の声です。