
過食克服のために家族みんなで取り組んでいますか?
摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。
財布を持たせなければ過食は防げる?
「買い食いが止まらないから、財布を持たせなければいいのでは?」
お母様とのカウンセリングでは、こうしたご相談をよくいただきます。たしかに一時的には行動を制限できるかもしれません。
けれど、それで過食の本当の回復につながるのでしょうか?
過食症の回復:管理し過ぎで心が閉じることも

財布を持たせなければ過食しない?
財布を持たせない…という試みによって、「過食を隠してしまう」ことにつながる場合があります。
・制服のポケットからくしゃくしゃのレシートが出てきたり
・「交通費がない」と泣き出したり(過食代として使ってしまった)
・部屋のベッドの下からお菓子が大量に出てきたり…
ご家族が、「過食をやめさせたい」という想いが強くなるあまり、お嬢様の気持ちが置き去りになってしまうこともあります。
ですが、ご家族が管理することが必ずしもイケナイとは思いません。
次に私の経験談をご紹介します。
私の過食時代:レシート管理が“普通”だった家庭
一般的にはレシートの提出や財布の管理は、プレッシャーや不信感を招くと言われています。
私は過食当事者として“レシート管理される側”でした。しかし、私の場合、この関わり方がが良かったのです。
我が家では、何かを買ったらレシートを母の作ったポケットに入れる、というルールがありました。
過食に限らず、すべての買い物が同じ扱いだったので、「過食だけが特別視されない」のが救いでした。

いつものテーブルで過食していました。
さらに、私は寝室で食べ物を食べる習慣がなく、いつも通りの食卓テーブルで過食していました。
テーブルで過食していた…という話は、カウンセリングでも非常に驚かれるのですが、私にとっても家族にとっても普通のことでした。
母の目の前で食べているので、レシートを見る前から大体の金額は把握できていたでしょうし、怒られることも否定されることもありませんでした。
過食したレシートは、他の買い物と同じように、後日まとめて清算して、母から現金をもらっていました。
私の過食は特別に見守られていたわけではなく、ただ“日常の延長線”としてそこにあったの
です。
過食症の克服:最適な「家族の接し方」を見つけるために

過食のただしい治り方を学ぼう
過食症の克服に大切なのは、「財布を持たせるか、持たせないか」ではなく、その過食の背景にある気持ちを理解することです。
摂食障害は、食行動だけを見ても解決しません。
原因や家族関係に目を向け、その家庭に合った関わり方を一緒に見つけていくことが、本当の回復につながっていきます。
「もう変われない」「治らないかも…」と諦めて書けていた方が、少しずつ変わっていく――それは、過食に悩むご本人様にとっても、支えるご家族にとっても、希望の光になります。
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