
摂食障害はご家族もつらいもの
摂食障害のお嬢様を支えるご家族から、こんなご相談をいただきました。
ご質問:運動強迫について
摂食障害の娘が、自宅療養中です。
夜中に暗闇で、柔軟運動や筋トレ運動をしています。なんと声をかけたらいいですか?
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【Q&A】摂食障害の娘が夜中に筋トレ:家族の接し方は?
ご家族として、見ていてとても心配になる状況だと思います。
今回は、摂食障害専門カウンセラーとして、こうした「夜中の柔軟運動や筋トレ」で気をつけたいポイントと対応のコツについてお伝えします。
摂食障害:夜中の筋トレに隠された「気持ち」とは?
まず、1番知っていただきたいことは、運動強迫は「カロリー消費」だけが目的ではないことが多いです。
口先では
・食べ過ぎたから動かないと…
・太っているから外に出られない
・少しでも痩せたいから
と言う場合も多いですが、実際は「不安」から運動をやめられないことがほとんどです。
そもそも、摂食障害の「自宅療養」は大丈夫?
もちろん自宅療養がうまくいっているケースもありますが…治すための療養ができているでしょうか?
今回のご質問者様に限らず、自宅療養という「建前」で摂食障害が長くつづいてしまっている場合も少なくありません。
・家にいるだけ(特に治療を受けていない)
・何もしていないことに罪悪感(周りの人は働いているのに…)
・家族も「触れない」という接し方が続いてしまう…
自宅療養なら、自宅療養として「どのようにして治すか」を決めて実行していく必要があります。
運動強迫の矛盾した心理
「家族に知られたくない。でも気づいてほしい」という矛盾した感情も背景にあります。
知られたくない、見られたくないから「暗闇」で「夜中」に運動しているのですよね?
しかし、同居家族には音や気配で分かるはず…ということは、お嬢様自身も分かっているからこその行動だと思います。
つまり…
運動をしていることがバレたら止められそう
でも、こんなに辛いんだよ、助けてほしいんだよ…と伝えたい心。
この2つの矛盾を抱えながら運動が辞められない状態。どれほど辛いか想像できるでしょうか。
声をかけるなら「運動中」ではなく、落ち着いて話せる時間に

運動強迫の悩みも、心の悩みも。
ご家族が効果的な声掛けはタイミングが大事です。
運動している最中に声をかけても、お嬢様は怒られる・止められると思われてしまうことがありますし、「暗闇で…」ということからも「気づかれたくない」「見られたくない」と思っていることが想像できます。
昼間やご本人が落ち着いているタイミングで、「なぜ運動してしまうのか」一緒に考えてみましょう。
・運動しているの知ってるよ
・ホントは辛くない?
・今、自分の摂食障害をどう思っているの?
穏やかな時こそ話し合うチャンスです。しかしお母様方の多くは「穏やかな時にわざわざ摂食障害の話を出して、怒らせるのがこわい」と躊躇してしまう傾向があります。
でも…
そこだけは、お母様が向き合うところだと覚悟を決めて、がんばってください。
そして実際の話し方・タイミングの見極め方については、やはり個人差が大きいので個別に専門家に相談されることをオススメします。
運動強迫を「なぜ続けてしまうのか」を理解する視点を持とう
一般的に何かを「習慣化」するのはとても労力がいることで、本来は多くの人が「長続きしない悩み」を抱えています。
しかし、今回のご質問者さまのお嬢様のように、
・運動を毎日続ける
・ノルマ化された運動をきっちりこなす
・体調不良でも、夜遅くなっても続ける
といったやり方が多くみられるのが摂食障害の運動強迫です。
一方的に叱ったり禁止したりすると、運動だけではなく摂食障害やホントの悩みもどんどん「隠す」方向に向かってしまうことが少なくありません。
お嬢様は、運動・体重・カロリー以外の「ほんとうの悩み」を実は何年も前から抱えている可能性があるのではないでしょうか。
このテーマについては、詳しく解説した動画教材もご用意しています
【動画教材】運動強迫をやめる方法
夜中の強迫運動がやめられない状況は、ご家族にとっても不安が大きいものです。
ただ、行動の背景には「気持ち」があります。
無理にやめさせるのではなく、“どうしてそうなるのか”を一緒に見つめる視点がとても大切です。
当オフィスでは過去10年以上の摂食障害専門カウンセリングの経験を基に、運動強迫をやめたいのにやめられない方、接し方に悩むご家族向けて、動画で詳しく解説しています。
動画は「文章で読むだけをよりも分かりやすい」「経験者の言葉に説得力がある」と、とてもご好評いただいています。