摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
過食は制限すると、悪化します。
自発的に「●円までにしよう」という方法は、
ご本人がやりたいのであれば、試してみる価値はあります。
でも、ご家族や治療者から「過食禁止」や
「●円までにしなさい」などは、悪化につながると考えています。
こうした前提を踏まえた上で、
過食の費用について迷っている方も多いかと思いますので、今回は過食費用をどうするか?についてお届けします。
「月々●円も過食にかかっているんです。あの子に『おこずかいの範囲でやって』というのはダメでしょうか?」
「過食を禁止したらいけないと聞いたので、無制限に買わせているんですが、エスカレートしていきそうで心配」
「お金がないと万引きしないか心配で、『お金足りている?』と聞いています」
「あの子は、何に、いくら使ったかを知られたくないというので、ノータッチにしています」
「決まった金額を毎月渡す、というのはどうですか?」
母親カウンセリングでは、こうした声は、とてもとても多いです。
迷える母たち。。。
私は、制限は悪化につながると考えます。
でも、何もかも言いなりになって、何もかもお金を負担することが、決して回復にはつながらないと考えます。
以前のブログ記事にも書いていますが・・・
我が家はレシートでの後払いでした。
レシートで後払いしてもらうことは、
当時の私でも、疑問も不満もありませんでした。
自分が働いていなかったので、お金がない。
お金がないから、母から貰う。
貰うためには、レシートが必要。
ただ、それだけでした。
でも、上記のような「過食のお金をどうすればいいか?」というお母様方にとっては、とても大きな悩みのようです。
何年も間違った方法を続けてしまうと、
修正することに、非常に大きな労力が必要になります。
修正するために、何年も必要とするかもしれません。
その後、社会復帰を考え始める・・・という非常に長い年数を必要とすると思います。
そのため、過食が始まった時点で、ハッキリさせておくことが何よりも回復に繋がっていくのです。
過食費用について考える
3つのポイントをまとめてみました。
■過食費用について考える3つのポイント
(1)お金も「言いなり」はダメです。
(2)ご両親が「養ってあげている」と思っていい。
(3)お母様が、ハッキリ言えない理由は何ですか?
(1)お金も「言いなり」はダメです。
以前のブログ記事にも書いています。
■「言いなり」より話し合い
お金も、言いなりになるのではなく、1つ1つ話し合うことがとても大切です。
話し合いを通して、ベストの方法を見つけることが大事なのではなく、
話し合うという過程そのものが、摂食障害の回復につながるのです。
摂食障害とは心の病気です。
心の病気ですが、
心のつらさを、食で訴えています。
本来は、言葉で訴え、コミュニケーションを通して、辛さと向き合ったり解消したり、しなければいけないのです。
言葉で言うことなしに、
食で訴え、身体で表現してしまっているのが摂食障害なのです。
だから、言葉で表現する方法に戻していかない限り、治っていかないのです。
ココも、お母様が本音・本心でぶつかることです。
「毎月毎月、こんなに払えない!」
「お金が、過食嘔吐に流れて行くなんて、辛い」
「沢山食べて、ホントに気持ちは発散できているの?」
こうした言葉を言ってもいいです。
何を言ってもいいです。
本音であれば、【借り物の言葉】よりも、ずっとイイです。
「言いなり」で支払い続けてきた年月が長いなら、お母様が本音でぶつかること自体、とてもハードルが高いと思います。
それでも、言ったほうがイイと思います。
お嬢様が荒れるキケンがある場合は、必ず【ほかのご家族が同席】している場面で行ってください。
これは、カウンセリングで私が必ず強調することの1つです。
身のキケンがあっては、絶対にいけないですから、
必ず事前に他のご家族と打ち合わせを行ってください。
(2)ご両親が「養ってあげている」と思っていい。
これも、ホント気がかりなことです。
「何を買ったか知られたくない」と言われれば、
「触れないようにしよう」としてしまうお母様方。。。
どうしてでしょうか?
上記のような悩み・迷いは、摂食障害のお嬢様が、学生(または自宅療養中)に限定されるとすれば、
ご両親が、「養ってあげている」のは、事実ですよね?
養ってあげているのだから、何を買っているのか知るのは当然です。
養ってあげているのだから、何にどれくらいお金がかかっているのか知るのも当然です。
私は、お母様方が「養ってあげているのだから」と堂々という場面がもっとあってもいいのではないかと思っています。
(3)お母様が、ハッキリ言えない理由は何ですか?
コレ、1番大事です。
私のレシート話をしても、上記のように「知るのは当然」という意見を読んでも、ハッキリ言えないお母様も多いのではないでしょうか?
ハッキリ言えない理由は何ですか?
言えない自分と向き合っていますか?
心の中の「恐れ」は何ですか?
私はブログ・メルマガを通して、
お母様方へのアドバイスも多く書いていますが、
その通りの言葉を、「言えばいい」とは思っていません。
「言うだけで変わる言葉」なんて、どこにもありません。
言葉とは、心から自然に湧き上がるもの。
言葉が、相手の心に響くかどうかは、2人の関係性次第です。
関係性なのだから、どちらか一方が「悪い」ことはありません。
関係性なのだから、言葉そのものは、あまり重要ではないのです。
だから、私はお母様にもカウンセリングが必要であり、
ご自身の心と向き合うことなしに、お嬢様の心に向き合うことは難しいと考えます。
あの子が摂食障害になったのは、昔ガマンさせたせいだ・・・
あの子が過食しているのは、私たちの責任だから・・・
あの子が親の言いなりになってきたのだから、
今度は、私たちがあの子の言いなりにならないと・・・
いろんな気持ちを抱いているかもしれません。
これまでの関わり方が、
摂食障害と関係しているかどうかと言えば、
どれだけかは、関係があると思います。
だからと言って、摂食障害のお嬢様の言いなりになるだけでは、回復につながらないのです。
私は、過去を振り返ること・過去を言葉に出していくことは、
回復を始めるためにも、とても重要で不可欠なことだと考えています。
過去を話すのは、
過去から何かを学び、
現在につなげていくためです。
過去について話すのは、何もかも言いなりになるためではありません。
過去の「捉えなおし」をするからこそ、
今の悩み解決につながっていくのです。
「捉えなおし」こそ、私がカウンセリングで1番大事な場面だと思うのです。
それが、本当に心が変わるカウンセリングではないでしょうか?