拒食症から過食症へ。過食症から過食嘔吐へ。

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

こんなに食べない子が、過食になるんですか?
拒食でフラフラしているより、過食になったほうがラクなんじゃないですか?
拒食症で悩んでいる人は、必ず過食になるんですか?

お母様方から多くいただく質問です。
同時に、私が拒食だけだった時期に、同じように悩んでいました。

拒食だけだった頃、過食に対して大きな恐怖を抱いていました。

自分も大量に食べるようになるんだろうか?
大量に食べたら、一体どんな体型になるんだろうか?
そんなに食べて止まらなくなったら、どうしよう?!

さらに、「吐く」ということは、絶対にやりたくないことでした。

初めて精神科入院する際、主治医になる医師からこう聞かれました。

「吐いちゃうことは無いの?」

低体重だったので、かなり疑いの目を持って、この質問だったと思います。

でも、私はこう答えていました。


「幼い頃から吐きやすくて、吐くのはすごく辛いし苦しいし。
だから、自分で吐くなんて、絶対にやりません!」

事実、私は赤ちゃんの頃から「吐きやすい子」だったと母から言われています。
小学校2年くらいまでは、少食でした。
少しでも無理強いすれば、すぐに吐いてしまう・・・という子どもでした。

なので、拒食症の私にとって、吐くことは

嫌で
苦しくて
ツライこと。

そんなこと、自らの手でやろうなんて、絶対に思わない!
本当にそう思っていました。

けれど・・・

その言葉から半年も経たないうちに、過食嘔吐が始まっていました。
自分でも信じられませんでしたが、本当に過食嘔吐になりました。

・・・

冒頭の疑問に戻り、1個ずつ解説していきます。

(1)こんなに食べない子が、過食になるんですか?

はい。
どんな子でも、過食になる可能性はあります。

(2)拒食でフラフラしているより、過食になったほうがラクなんじゃないですか?

違います。
過食は過食の辛さがあります。
見た目の症状でどちらがイイ、どちらがラク、という言葉は、「心の病気」にありません。

(3)拒食症で悩んでいる人は、必ず過食になるんですか?

必ず、とは言えないかもしれませんが、過食になる人が多いと思います。
性格によって過食になる・ならないが決まる・・・と考える治療者もいますが・・・

私は、そうした考え方に反対です。

摂食障害になる・ならないということが発症前から分かっていた人はいないはずです。
だから、過食になる・ならないが、過食が始まる前から分かるはずがないのです。

・・・

拒食から過食に変わる時
過食から過食嘔吐に変わる時

「こういう時」と決まったものはありません。
一人ひとり違います。

ただ、言えるのは、「恐れすぎていると、引き寄せる」です。

私が嘔吐を恐れていたことは上記の通りです。
さらに、大学病院の主治医からも親からも、こう言われていました。

「過食にならないから、大丈夫!」
「過食なんて出来ないから」

こうした言葉が、より一層、過食の引き金となったのです。
私の性格上、人から「出来ない」と決めつけられることがとてもキライです。
出来るか出来ないか、まだ誰にも分からないのに・・・と思うからです。

「出来ないと言われたから、【出来る!】と証明したい!」

というなぜか分からない反発心のような気持ちが強く湧き上がりました。

ほら、過食にになったでしょ!?
「過食しない」って周りは言ったけど、それウソだったでしょ!?

*今、これを書いていても恥ずかしくなりますが・・・当時のホントの気持ちです。

そんな「見せつけ」のような気持ちで始まった過食。
その後、5年くらいは、過食・過食嘔吐に悩まされることになりました。

過食・過食嘔吐など、症状が変わることへの1番の対策。
それは、【恐れすぎないこと】です。

その恐れが、症状を引き寄せてしまうからです。

恐れすぎるより、摂食障害を正しく理解すること。
摂食障害をきちんと理解している治療者に出会うこと。
今の相談先、大丈夫ですか?