体重と心
拒食症の場合
とてもよく話題になることですよね。
今回はカウンセリングと体重についてご質問をいただきました。
◆メルマガ読者さんからのご質問◆
医師からある程度体重が標準にならないと、
カウンセリングも効果がないから、今は体重を増やそうと言われていました。
綾子先生はカウンセリングを行うのに、体重は関係があると思いますか。
*ブログでは、一般論と私の経験談の範囲で回答させていただきます。
ご質問をありがとうございます。
どんな低体重の時でも、心も気持ちもあると思っています。
ですが、エネルギー不足のために、喜怒哀楽が表現できにくくなることはありますが・・・
リアクションが無いからといって、「心が無い」とは違います。
本当に「体重だけ」が原因かというのは、大いに議論の余地があると思っています。
■摂食障害の基本的理解
心の不安定・悩み・孤独など
↓
食のこだわり・体重絶対視の考え
これら全部をひっくるめて、摂食障害なのです。
「食・体重だけ」を切り離して、体重だけを増やそうというのは、無理なことではないでしょうか?
ただし、摂食障害の回復は、命があってこそです。
とても難しいことではありますが、状態によっては、
命を守ることを最優先させなければいけない時があります。
その場合であっても、心はちゃんと存在していることを、
ご家族も治療者も認識しつづけることが、とても大切なのではないでしょうか?
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1.体重か危険レベルの時
2.一時的な悪化に耐えられる心身か?
3.「心にも栄養」の意味
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1.体重か危険レベルの時
心は、身体という枠組みがあってこそ、成り立ちます。
また、体重だけで一律に決められるものではなく、
様々な事柄も一緒に検討していくのが必要と考えます。
・過活動の有無
・自傷行為の有無
・家族関係
・住環境(一人暮らし、実家、同居)
・通院状況
・血液検査結果
・これまでの治療経過…etc.
摂食障害に悩むご本人の事柄を書きましたが、
治療施設の状況や考え方によって大きく異なるとも思います。
命が守れるかどうかは、一番大切にしないといけないのです。
そのために、どこかで基準を設けないといけないのも、事実です。
ちなみに、私は、医療との連携が無いため、こちらの基準です。
2.カウンセリングによる一時的な悪化
カウンセリング適応になるかどうか、、、
正直、カウンセリングを開始して、
しばらく様子をみないと分からないことも、多々あります。
摂食障害に悩んでいるという年齢なら、
その年齢までに築いてきた価値観があるはずです。
1度や2度で、価値観の全てを話せるわけでもないです。
また、「話したいと思える信頼関係」を築いていくこと自体、時間がかかるのです。
そして、カウンセリング開始後に、
【一時的な悪化】が起こる場合もあります。
正確にいえば、悪化ではなく、好転反応みたいなものですが・・・・
過去のトラウマを思い出したり
フタをしてきた感情に気づいたり
言えなかった事が、暴言として噴火したり…etc.
こうした感情の大荒れにより、
拒食が酷くなることがあります。
その時、低体重で身体に余裕がないと、
命が危険になってしまいます。
その意味では、体重・体力に余力がある状態の時のほうが、
カウンセリングに適していると言えるかもしれません。
3.「心にも栄養」の意味
拒食と診断されたばかりの頃、
通っていた心療内科の主治医に言われた言葉があります。
「心にも栄養が必要」
当時、ものすごくムカつきました。
心を理解してくれないのに
体重のことばかり言われることが
すごく嫌でした。
けれど…
今は、それも一理あるかなと思っています。
栄養って、直接心を治すことは出来ないけれど・・
美味しいものを食べると、心がホワンとするし、
食べながらワイワイすると、心にエネルギーが沸いてくるし
ケーキの話題をしていると、心もワクワクしますよね。
食べるって、本当は楽しいこと。
カウンセリングを受ける・受けないも大事だけれど、
あなた自身で、食べることを許してあげませんか?
食べてもいい
食べても大丈夫
食べるって楽しい
安心して、自分に与えてあげてくださいね。