拒食の「心の問題」が解決するまで待つだけでいいのでしょうか?

摂食障害カウンセリング
中村綾子です。

摂食障害は心の病気。

このブログでもカウンセリングでも
繰り返しお伝えしています。
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「心の病気」だから、「気持ち次第」と軽く考えてしまったり
「心の病気」だから、「精神科・心療内科に行けばいい」と思い込んでしまったり
「心の病気」だから、ぼーっとしていれば治ると勘違いしてしまったり・・・

意味を取り違えてしまう場面も少なくありません。

今回のご質問をご紹介します。

*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。

◆メルマガ読者さんからのご質問◆

心療内科の受診は予約がまだまだ先でそれまでどうしたらよいか・・・

娘の機嫌も毎日怖く、途方にくれています。

綾子さんのブログに「心の問題がなくなれば、拒食、やめられない運動も治る」とありましたが・・・

心の問題が解決するまで少ないカロリーしか食べないことや、
止まっている月経をずっと待つだけでいいのでしょうか?

ご質問をありがとうございます。

どこの心療内科も予約がいっぱいですよね。。。

10年ほど前のことですが、
私がはじめて心療内科の予約を取ろうとした時も
ずーっと初診予約ができなくて、とてもビックリしたことを思い出します。

ですが、

今、カウンセラーの立場になっていて思うのは、
「いつでも受付中」の病院やカウンセリングって、どうなんだろう?という
新たな疑問です。

なぜなら、摂食障害は年単位で取り組んでこそ、
回復が期待できる病気だからです。

「いつでも受付中」なのは、
相談に来る方が、続いていない証拠かもしれない・・・と思ってしまいますが、
いかがでしょうか?

今回は、「考え方」の視点で、以下の2つからお届けします。
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1.心療内科に「行けば治る」ですか?

2.待つことは、何もしないことではありません。

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1.心療内科に「行けば治る」ですか?

よくある勘違いですが・・・

病院に行けば、治る!と思い込んでいませんか?

話したら、気分がスッキリして食べられるようになるのかもしれない。
分かってくれる人と出会えたら、太るのが怖くなくなるかもしれない。

期待を込めて、そんなふうに考えてしまうのも無理はありません。
でも、実際は、1回で変化があることは、ほとんど無いと思っています。

そして、治るのは、摂食障害に悩んでいるあなた自身です。

摂食障害に苦しんでいるのも、あなた。
摂食障害を治していくのも、あなた。

これは、お母様も同じです。

摂食障害の娘さんを見ながら、つらくなっているのも、お母様。
摂食障害の娘さんと向き合っていくのも、お母様自身です。

病院は、身体を診るところです。

必要があれば血液検査をしたり
安定剤や睡眠薬を処方したり
命のキケンがあれば、入院を促す。

こうした身体を診る役割があります。

けれど・・

摂食障害は、心の病気なのです。

心の病気だからこそ、身体だけの治療で、
心がついていかない場面が多々あるかもしれません。

心の病気を通して訴えているものが何なのか、
それをキャッチし、向き合っていくのはご家族の役割なのです。

通院しても
入院しても
「お任せ治療」では、回復することは難しいのです。

ご家族は、ご家族に出来ることがかならずあります。

2.待つことは、何もしないことではありません。

よくある声ですが・・・

「親ができることって、何も無いですよね」
「やっぱり、本人が『治りたい』と思わない限り、どうしようも無いですよね」
「摂食障害の本人じゃないから、気持ちなんて分からないし」

母親カウンセリングでも、
こうした声がとても多くあります。
私としては、とても残念に思っています。

ホントに「何も無い」なら、このブログを読もうと思わなかったはずです。

摂食障害の娘さんの気持ちが分からなくてもいいです。
でも、「分かろう」としていますか?

だからこそ、上記のような声は、
お母様の「逃げ」「諦め」と感じています。

まずは、ご自身の気持ちに気付いてください。

「出来ることが何も無い」のではなく
「出来ることを、すべてやり尽したか?」と自分に問いただしてみてください。

「分からない」ではなく
「分からないけど、分かろうとする気持ち」を持ちつづけているか、問い直してください。

私は、どんな摂食障害の状態であっても、
ご家族が食べることを強制するのは間違いと考えています。

ご家族の役割は、「治りたい気持ちを引き出すこと」だからです。

「治りたいなぁ」
「治ってもいいかなぁ」

「食べてみようかなぁ」
「食べたいなぁ」

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こんな気持ちが沸くのは、
イライラ・ギスギスした雰囲気の中ではありません。

お母様もご家族全体も、ラクに生きられるようになった後です。

言葉だけ、変えようとしていませんか?
笑顔だけ、作ろうとしていませんか?
「言わない」だけが、イイ事だと思っていませんか?

これらは、きっと摂食障害の娘さんに伝わってしまっています。
「あ、お母さん、私が病気だから、そうやっているんだ」って。

大切なのは、
表面的な言葉や表情ではありません。

お母様自身が、心から変わることです。

お母様もまた、生きづらさに悩んでいませんか?

日々、イライラしたり
日々、周りの目が気になったり
日々、後悔したり
日々、落ち込んだり
日々、愚痴ばかり言っていたり・・・etc.

多くの場合、娘さんの摂食障害発症の前から、
こうした状態が続いているのです。

お母様自身は、気づいていないかもしれません。
それなら、まずは気づくことから始めていきましょう。

もし、気づいているなら、
ご自身の悩みの根本と向き合っていきましょう。

・・・

拒食症は、決して「食べたくない病気」ではありません。

本当は、『食べたいのに、食べられない病気』なのです。

食べられない理由が何なのか、
ハッキリ言葉に出せないことがほとんどです。

食べられない真っ最中は、
ご本人も理由が分からないことが多いです。

でも、1つだけ確かなことがあります。

命を削ってまで、訴えたい「何か」があること。

「何か」が言えるようになること
ご家族が、「何か」を言ってもいい環境作りをしていくこと。

これは、どんな名医にかかろうとも、
ご家族の役割ではないでしょうか?
心に寄り添う代わりに、こんな間違いを起こしていませんか?