
*自宅療養のはずが、「ただ家に居るだけ」の摂食障害の長期化を招いていませんか?
摂食障害カウンセリング
中村綾子です。
自宅療養、とても大切です。
特に、低体重であれば命にかかわることなので、
この時期の過ごし方は回復への分岐点とも言えます。
また、摂食障害で休学・休職されている方にも言えることですが…
ホントの意味で休めているか
回復につながっているか
定期的に見直していくことが大切ではないでしょうか?
今回のご質問をご紹介します。
*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。
◆メルマガ読者さまからのご質問◆
私は低体重のせいであまり行動できず、ほぼ自宅にいるしかないので、1日が長くて仕方ありません。
自分のやっていることが、本当に自分がやりたくてやってるのか…人が喜んだり褒めてくれたりするのが嬉しくてやってるのかがよくわからない状態の場合です。
どのように自分のやりたいことを見つけていけば良いのでしょうか?
ご質問をありがとうございます。
1.拒食症から見つけるために、1番先に必要なもの
すごくイヤな言葉だと思いますが・・・
1番先に必要なものは、体力です。
拒食だけではなく、過食・過食嘔吐に悩んでいらっしゃる方にも言えることです。
拒食症の場合は、まず、体重です。
定期的に食べ物を身体の中に入れていくこと
生理をふくめ、身体の異常が無くなること
頭の中が食べ物のことでソワソワしていないこと・・・etc.
これらは、「やりたいこと」を見つけられるようになる前に、必要な状態ではないでしょうか?
一般的な健康状態の人であっても、空腹であれば、集中力が低下します。
イライラしていれば、「楽しめるエネルギー」は残っていないはずです。
だから、体力。その前に、体重。
これらを取り戻していく過程の中で、「やりたいこと」が見つかっていく可能性は充分にあると思っています。
2.なぜ、『やりたいことが無い自分』なの
まず、確認です。
心の回復は進んでいますか?
拒食症の場合、低体重すぎて、心の治療が出来ない状態もありますが…体重が回復した後は、心の回復に治療方針をシフトしていくことが必要と考えます。
心の回復の1つとして考えてみてほしいのは、「なぜ、『やりたいことが無い自分』なのか?」です。
本来であれば、いろんなものに触れたい、見たい、知りたいといった好奇心がいっぱいの子ども時代があったはずです。
その時代を、どう生きてきましたか?
習い事や
進路選択など
あなた自身が決めてきましたか?

*幼少期は楽しいだけ習い事も、思春期から体型への過剰な制限につながる場合も
摂食障害カウンセリングから感じるのは…
あまりにも早い時期から、ご家族の意思のもとにレールが敷かれてしまってきた方が、とても多いです。
「言う通りにすればいいのよ」というご家族と
「言われた通りにやればいいんだ」というお嬢様
それが、思春期に入ったり、社会に出るタイミングで、「自分って、何やってきたんだろう??」と急に分からなくなってしまうようです。
今からでも遅くないと思います。
あなた自身で「決める」ことを日常生活の中から、1つずつ増やしていきましょう。
3. 摂食障害の回復とは、「治って働く」
「やりたい」を見つける方法は、ざっくり分けて2通りあると思っています。
(1)「すごくやりたい!」が見つかってから行動
(2)簡単にできることから始める「とりあえず」の行動
きっと、「やりたいことが見つかりません」という方は、
すごくやりたいこと探し続けてしまう(1)の傾向が強い印象があります。
それもイイですし、熱意があるとも言えます。
けれど、年齢を考えていますか?
今、何歳ですか?
アルバイトという言葉の響きは、やっぱり「若い人たち」という意味合いを含んでいるのです。
体が回復した後、何年も何年も「やりたいことが見つかりません」という状態が続いてしまう場合、年齢を重ねてしまうというリスクもあります。
また、「すごくやりたいこと」を求める姿には完璧主義の表れとも感じられます。
「すごくやりたいこと」はカンタンに見つかるものではありません。
たくさんの本を読み
たくさんの人と出会い
たくさんの試行錯誤を繰り返して、
だんだん見えてくる可能性もあるのです。
なので、「とりあえず」という気持ちで近所のアルバイトを開始するもの1つの方法です。
ただし、回復が追い付いていない段階で、アルバイトを開始すると摂食障害の悪化にも繋がってしまいます。
新しい決断をする際には、事前に治療者(主治医・カウンセラー)と必ず話し合ってください。
動画でも、アルバイトについてまとめています。社会復帰に悩んでいる方にオススメです。
私の経験談:無職から、やりたいことが見つからず焦っていた時期
私も大学院をやめた直後は、「すごくやりたいこと」を見つけなければ・・・という焦りでいっぱいでした。
全く興味のない通信教育で資格を取ろうとしていました。
資格がなければ、生きていけない。
今すぐ何か始めなければ、どんどん遅れてしまう。
そんな焦りと不安だけで開始した通信教育も、すぐに挫折。
けれど、「とりあえず」という気持ちで始めた塾のアルバイトは、とても楽しかったです。
週3日勤務というスケジュールも良かったですし、
人間関係にも恵まれ、
10歳くらい年下の「先輩」から教わって、
「やっぱり、教育が好きなんだなぁ」と感じました。
私にとっては、塾のアルバイトは、「ちゃんと就職しよう!」と思えた1つのきっかけだったのかもしれません。
もちろん、その後、就活に全敗し、完全休養の時期を迎えるのですが、社会に出る、という点においては、意味のある時期だったと思います。
やはり、治るため、社会復帰のために、自分から行動していくことが何よりも大事だと考えます。
「いつか治る」と期待していると、年齢ばかり重ねてしまいますから。