摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
急に、過食が続いてしまった!
ずっと無かった過食嘔吐をしてしまった!
平気になっていたものが「ムリ!」と食べられない!
こうした状態が、ある日突然起こる時、
「悪化した!」とパニックになっていませんか?
私は、摂食障害に悩むご本人が、パニックになってしまうのは仕方のないことだと思っています。
過食が続けば、当然体重も増えていきますし、
嘔吐が続けば、身体はしんどくなりますし、
食べれなければ、体力が落ちていくからです。
けれど・・
多くの母親カウンセリングを通して、気がかりに思うのは、
ご家族が、ご本人以上にパニックに陥ってしまうことです。
悪化した!
今すぐ、止めなければ!
早く、どうにかしなければ!
このパニックが大きければ大きいほど、
これまで回復してきたことを、忘れてしまったり
これまでの治療を批判したくなったり
治療法を求めて、ネット検索に熱中したり
相手をえらばずに、相談したり・・・etc.
回復とは逆方向に進んでしまうことです。
このタイミングこそ、ご家族の関わりとして大事なことを、
もう1度、原点に返って見直していくことが必要なのです。
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(1)症状に一喜一憂しない
(2)家族の役割と治療者の役割を混同していませんか?
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(1)症状に一喜一憂しない
「娘に、症状に振り回されないようになって欲しいです」
「体重に一喜一憂してばかりいるんです」
「一度、過食があると、何もかもダメって思ってしまうみたいで・・・」
こうした声は、母親カウンセリングでとてもよくいただきますが、
お母様自身も同じではないでしょうか?
「振り回されないようになって欲しい」と娘さんに対して願っているかもしれませんが、
実際はお母様自身も、振り回されているからパニックに陥ってしまうのです。
まずは、そこに気づくこと。
今回のタイトル通り、
「症状の悪化が、実は回復に進んでいる証拠の時もある」と考えます。
より正確に記載するなら、
症状の回数や体重だけで、回復しているかどうか分かるものではありません。
なので、過食・過食嘔吐の回数が増えていても、実はホントの悪化ではなく、
悪化しているように【見えるだけ】ということもあります。
これまで、外に出せなかった想いを、外に出していく作業。
フタをしてきた感情
「いい子」であった自分
ドロドロした感情
触れないようにしてきた過去
忘れていたトラウマ・・・etc.
出してはいけないと思っていたモノが
外に出ようとするのですから、とても大変な作業なのです。
その時、激しい葛藤を伴います。
葛藤があるから、
激しい症状が出るのです。
葛藤しているということは、
葛藤できるようになったということ。
これは、前進なのです。
私は【葛藤なくして、回復なし】と考えます。
葛藤は、当然起こるもの。
葛藤そのものは、楽しいものでは無いこと。
私自身も、摂食障害最中は、数え切れないほど経験しています。
だからこそ、ご家族がパニックになってしまったり、
「悪化した!」と捉えてしまうと、
【充分な葛藤】を経験出来なくなってしまうのです。
ご家族が冷静でいること。
今の摂食障害の状態を正しくとらえること。
そこが、回復につながるか、ホントの悪化に向かうか、分かれ道ではないでしょうか?
(2)家族の役割と治療者の役割を混同していませんか?
熱心なご家族ほど陥りやすい落とし穴と言えるかもしれません。
何もかも答えてあげて
何もかも治してあげたい!
そう願って行動してしまうお母様方が少なくありません。
でも・・・お母様には「家族としての役割」があるのです。
治療者の役割
家族の役割
それらを混同してしまっていませんか?
家族の役割とは、「摂食障害の●●ちゃん」ではなく、
「●●ちゃん」として接することだと思っています。
腫れ物に触るような関わり方もNGですし、
「言ってはいけない言葉」なんて、ホントは何もないのです。
家族として
家族の役割に専念する。
だからこそ、治療が進んでいくのです。