摂食障害の新生活:「ひとり暮らし」3つのリスク

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

4月といえば、新生活!
ひとり暮らしを開始する方も、多いかと思います。



摂食障害の子に、ひとり暮らしってどうなの!?

これが今回の話題です。

まずは私の経験から。

私は、摂食障害時代に2回のひとり暮らし経験があります。

公認心理師・中村綾子
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1回目

大学院在学中。

かなり自暴自棄になっている時でした。

何もかもイヤ!
こんな家だから休めない!

同居していた親戚との折り合いが悪く・・・
いつもいつもいら立って、過食して、親子喧嘩して・・・

そんな繰り返しでした。

通院していたメンタルクリニックの帰り、
母と合流し、その足で不動産屋さん『ミニミニ』に向かいました。

これも、急遽決めたことで、もちろん『ミニミニ』への予約も無しです。

大学院に近いところ、という条件だけを言って、数軒見せてもらいました。
その場で、即決。

特別に気に入った訳ではありませんでした。
でも「家から離れられる!」というだけで、前向きな気持ちはありました。

でも、実際、前向きだったのはひとり暮らし開始時だけでした。

広さだけはあるワンルームマンション。
ウォークインクローゼット。
とりあえず、という気持ちだけで揃えた家具。
雰囲気は、暗くどんより。
スーパーにも、コンビニにも遠く、実は最寄り駅までもちょっと遠い。。。

*思い出すだけでも、どんより・・・(涙)。

ひとり暮らしで、一気に過食が悪化しました。

自分だけの食事を満喫!という理想はあっという間に崩れ去りました。

絶対やらない!と決めていたのに、
ご飯3合炊いたら、一気に食べてしまう。

実家暮らしでは禁止されていた夜中のコンビニにも、
自由に行けてしまう。

眠れない時、シーンとした環境の中で、
ますます落ち込んで過食・・・etc.

結果、ほとんど実家に住んでいる状態になりました。
1年も経たずにこのアパートを正式に解約しました。

2回目

記憶が曖昧な部分がありますが・・・

1回目のひとり暮らしを辞めて、しばらく実家住まいだったと思います。
大学院を退学した後、改めてアパートを探して決めました。

実家から3駅。
1回目よりも、ぐっと近い場所になりました.

けれど・・・
この時期、人生最大の過食が連日起こっています。

この先、どうやって生きていくんだろう?
一体、何のために勉強してきたんだろう?

焦りから、全く興味のない通信講座で資格を取ろうと試みました。
でも、最終講の直前で、続かなくなりました。

さらに、この時期、兄夫婦に初めての子が誕生しました。
私にとっては、はじめての甥っ子。
両親にとっては、初孫。

おめでたい出来事のはずですが、
当時の私の気分はフクザツ過ぎでした。。。

結局、数か月でこのアパートも引き払いました。。。

当時の母の本音。

つい先日、当時のひとり暮らし、母は、実際どんな気持ちだったか電話で聞いてみました。

■先日の母娘の会話

私:「あの頃のひとり暮らしで、1つでも『良かったこと』はある?」

母:「・・・・・・・ない。」

私:「どんな気持ちだった?」

母:「『大丈夫かしら、大丈夫かしら』とずーっと思っている。
目に見えないから余計心配。
表面的には、綾子と親戚がぶつかるのがないから、いいけど。。。」

母の長い沈黙のあとの回答、「ない」。
これがすべてを物語っています(笑)。

私自身が、当時を振り返っても、ひとり暮らしをしてよかったことは1つもありません。

後悔はたくさんあります。

・もっと治ることに真剣になればよかった
・一人暮らしするくらいなら豪華なホテルに泊まればよかった
・早く自立することを考えればよかった
・摂食障害よりも生活について主治医に相談すればよかった・・・etc.

最後の「主治医に相談」ですが・・・
これは難ありでした。

理由は、じっくりと話せる雰囲気ではなかったからです。

いろんな医師・カウンセラーに会ってきましたが・・・
生活のことを、事細かに聴いてくれる人、
一緒に考えてくれる人は、なかなか出会えませんでした。

そして、今の私の本音。

摂食障害に悩んでいる最中のひとり暮らしは、オススメできません

摂食障害のひとり暮らしをお勧めしない3つの理由

(1)摂食障害は家族で向き合う病気だから
(2)命のキケンが伴うから
(3)病気をシンプルに考えれば、答はおのずとわかる!

(1)摂食障害は家族で向き合う病気だから

昨日のメルマガ、読み返してみてください。
「娘さえ治ればいい」ではない、とお伝えしています。

私は、お嬢様が摂食障害だからといって、家族が悪者だとは思っていません。
どこかに摂食障害の犯人がいるのでもありません。

でも、いろんな関わりあいの中で、
家族の中で、ひずみやズレが生まれ、
家全体の苦しさが、1番弱い立場の子に表れている病気なのです。

家族のことだから、
家族の中で向き合う。

住む場所だけ変えても、解決にはならないのです。

一時的に離れたいなら、私が主治医から勧められたように「週末ホテル」がオススメです。

(2)命のキケンが伴うから

コレ、本当に軽く考えないでください。

過食嘔吐なら、いつ大量吐血するかわかりません。
過食だけなら、夜中のコンビニに向かう時、事故に遭うかもしれません。
拒食なら、水分さえ取らなくなれば、体重にかかわらずキケンです。

これらは、決して想像で書いているのではありません。
実際に私が摂食障害の頃、身をもって経験していることばかりです。

ひとり暮らしで、たった一人。
いつ何があるのか分からない、すぐにSOSを出せない、
そんな状況に追い込んでしまいがちです。

だから、摂食障害に悩んでいる間は、ご家族と同居をお勧めします。

(3)病気をシンプルに考えれば、答はおのずとわかる!

摂食障害は分からない!
そう思う時こそ、シンプルに考えてみてください。

摂食障害を、カゼや怪我に置き換えるのです。

カゼを引いて、学校・仕事を休むような状況の時、
新しい部屋探しを開始して、引っ越ししますか?

きっと、カゼ真っ最中の時、そんな発想すら浮かばないはずです。

同様に怪我をして、日常生活が不自由の時、
「ひとり暮らししよう!」と思いつきますか?

元々ひとり暮らしだった人が、実家に帰ることはあるかもしれません。
助けてもらえる場面があるからです。

摂食障害も同じです。

摂食障害発症後に、「ひとり暮らし開始」は無しです。
でも、摂食障害で困っているから「実家に戻る」はオススメします。

4月がはじまり、数日立ちましたね。

新しい環境で、心の不調が再燃する方も、
数日で学校をやめてしまった方も、
カウンセリングでは、これまで何人もお会いしています。

さらに、「4月」という節目に、自分だけが置いてきぼりになる・・・
といった気持ちで落ち込んでしまう方もたくさんいらっしゃいます。

お天気がよくて、周りがウキウキする季節だからこそ、
自分と周りのギャップを感じ、孤独感や絶望感につながってしまうかもしれません。

でも、大丈夫!
「今だけ」だからです。

摂食障害がちゃんと治れば、摂食障害が治った後の人生のほうが、
ずーーーーっと長いのです。

この先、何十年も生きていくのですから。
摂食障害から卒業した後、もっともっと充実した生活が手に入るのです^^

卒業して数年経過したクライアント様からのご報告で、実感してみてください。
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