【体重回復の勘違い】ふつう体重はゴールではなく、回復スタート地点

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

▲㎏まで増えないと退院させない。
●㎏にならないと、学校に行ってはいけない。

摂食障害の治療の中で、
繰り返し体重による制限が課せられることがあります。

心療内科・精神科の診察といっても、
毎回、診察室に入って、体重測定だけで終わり、という場合も少なくありません。

あまりにも繰り返し、体重の数値ばかり言われ続けると、
その数値に洗脳されてしまうデメリットがあります。

私も、大学病院精神科に通院していた時、同じようなことを経験しています。

「●kgが、大学院に行ける体重」。

何度も何度も言われ続けているうちに、
いろんな思い込みが生まれていきました。

●kgになったら、健康体のはず。
●kgまでは、増えるのは仕方なくても、それ以上は絶対増やしてはいけない。
●kgより多くなったら、「私は太っている」こと。

さらに・・・

●kgより多いのに、身体がダルイなんておかしい。
●kgになったのに、やりたいことが出来ない自分って、おかしい。
●kgを越えたのに、体重が増え続けるなんて・・・

そんなふうに、いつの間にか「●kg」が私の中で、絶対的な数値になっていきました。

あたかも、
その体重になったら、すべて上手くいくかのような錯覚さえありました。

こうした自分の摂食障害の経験から、体重の数値を繰り返し伝え続けたり、体重測定ばかりに重きを置いた治療に疑問を感じるのです。

これは、大学受験と同じではないでしょうか?

〇〇大学に受かることがゴールになってしまうと、
合格した直後、燃え尽きて、勉強への意欲を失ってしまうかもしれません。

でも、将来▲▲の仕事がしたいから、この大学に行くのがイイ!と自分で考えた場合、
大学入学が、新しいスタートになります。

体重も同じ。

体重基準は、それを越えて、初めて回復のスタート地点に立つのです。

体重基準をクリアする・しないは、議論することではありません。
むしろ、議論すればするほど、心の問題が、体重の話題にすり替わってしまうリスクが大きくなります。

体重は必要。
でも、体重だけで心が変わることはありません。

体重の基準をクリアした後、
心の回復に切り替えていくタイミングって、必ずあるのです。

今、そのタイミングに来ていませんか?