【摂食障害のご家族へ】「なんで治らないといけないの?」と言われたら。

カウンセラー中村綾子です。

もし、摂食障害のお嬢様から
「なんで、治らないといけないの?」と言われたら、、、、

なんて答えますか?

・病気なんだから、治すのが当たり前でしょ!
・食べることが、あなたにとって仕事なの!
・いつまで病気でいたいの!?
・治って、もっと友達と遊べるほうが楽しいでしょ!

こんな正論を言っていませんか?
摂食障害の回復において、多くの場合、ご家族からの正論は実は逆効果です。

今回はその理由と、私が摂食障害の患者だった立場と、現在のカウンセラーとしての立場の両方から接し方についてお届けします。

正論NG!摂食障害の接し方とは

摂食障害のお嬢様に向かって、なぜ「正論」が逆効果になるのか・・・?

それは、

言われなくても、そんなこと分かっているから

です(笑)。

ほとんどの場合、摂食障害のご本人様たちは、とてもとても優秀です。
絵にかいたような文武両道の方にも、カウンセリングでは沢山お会いしています。

優秀で、
すごく考えが深くて
ホントのホントの意味では、自分がやっている拒食・過食の行動はおかしいと気づいている・・・という時に、

・なんで食べられないの?
・なんで治ろうとしないの?
・早く治って、学校に行けたほうがいいでしょ!?

というような正論を言ってしまうと、

・ますます食べなくなってしまう
・クチを閉ざしてしまう
・食以外の症状が出始まる

などが起こる可能性があります。

だからこそ、ご家族だけで治そうとするのではなく、専門家とつながることが必要なのです。

お嬢様が専門家とつながることも大切ですが、まずはご家族から専門家とつながり、変わっていかれることが1番の近道です。
お母様のご相談は、こちら)。

摂食障害の経験者として:「太らなければいけない」という束縛

私の場合、拒食症からのスタートなので、「治る=太る」でした。
その意味で、過食の頃よりも、治ることでラクになるより、「太らされる」「太らなければいけない」という気持ちの方が強かったです。

世の中では、みーんなダイエットに悩んでいて、痩せられなくて困っているのに、私の身体(当時)は「痩せ」「痩せすぎ」という言葉で表現されて、否定される。。。

みーんなが困っている「痩せられない悩み」を、私は解決・達成してような(ヘンな)優越感に浸っている一方で、

体重が●kgにならないと学校に行ってはいけない。
(入院時は)体重が●kgに増えないと退院できない。

という体重による、いろいろなルールを言い渡されていました。
世の中では痩せることに一生懸命になっているひとが沢山いるのに、私だけ「太らなければいけない」。。。

その違いも矛盾も誰も説明してくれなくて、「太らなければいけない」「食べらなければいけない」という言葉が、頭の中を呼応するように、しみついていきました。

さらに、

そうした「染みついた言葉」は、一旦過食が始まってからも、消えることがありませんでした。

食べても食べても止まらないのに。
体重はどんどん増えているのに。

どこかで「食べなければいけない」「太らなければいけない」と言われているような、そんな気がしていました。

だから、余計に食べるのが止まらなかったのだと思います。

カウンセラーとして:「治ったほうがいいよ」と言える理由

私は、経験者カウンセラーとして、「治ったほうがいいよ」とお伝えしたいと思っています。

でも、摂食障害が治ったからといって、その後の人生がバラ色にはなりません。
摂食障害とは、単に1つの病気であり、その意味ではカゼと同じだからです。

カゼをひいて、高熱が出て、しんどい状況が治ったとしても、、、それは「熱が下がっただけ」「治っただけ」という状態です。
決して、風邪が治っただけで人生バラ色になるなんて、無いですよね(笑)!?

摂食障害が治ることも同じ。

ふつうに食べられるようになる・体型がフツーになる・生理が自然回復する・・・という状態になっても、それだけで人生バラ色ではありません。

さらに言えば、その後、ずーっと食・体型が維持できるかどうかは、あなた次第です。

それでも、私は「治ったほうがいいよ」とお伝えしたいです。

理由は、

生きていくことが、ずっとマシになるから。

すごくラクではありません。
何もかもうまくいくなんて、私はウソを言えません。

でも、摂食障害の頃と比べたら、全体の平均値が上がります。
それだけは、確かなことです。

・イライラする頻度が減る
・イライラする度合いが小さくなる
・体型への悩みが減る
・体重にイライラしなくなる
・食のストレスが激減する・・・etc.

私は、悩みや不安を持ち続けることがダメなことだとは思っていません。
でも、そうした悩みや不安があっても、フツーに生きていける状態こそ、心の体力がついた状態と言えるのではないでしょうか?

つまり、平均値が上がるとは、(もし測定できるとしたら)心の体力の平均値がアップすることなのです。

まとめ:摂食障害の接し方

摂食障害の心に響くのは、正論ではありません。
正論ばかりを振りかざすように言ってしまうご家族が多いですが、、、残念ながら多くの場合は逆効果です。

正論よりも、本気の言葉。
キレイな言葉より、ご家族のホンネ。

ご家族がホンネで接すること。
そのためにも、ご家族から摂食障害の「正しい治り方」をまずは身に着けていきましょう。

単発のオンライン相談でも、「正しい治り方」についてのご相談、承ります。
単発オンライン相談のくわしいご案内は、こちら。