公認心理師・中村綾子です。
『カウンセリング開業のリアル』を出版して以来、同業者カウンセラーの方によくいただく声が、
「専門が決まらないです…」
です。
私自身は、カウンセラーになりたいというより、「摂食障害の相談をやりたい」が先でした。
そのため、「専門性が決まらない悩み」は意外な感じがありましたが、実はこの悩みを抱えている開業カウンセラーの方はとても多いようです。
今回は、専門性の決め方についてお届けします。
自分の人生の「棚卸し」をしよう
カウンセラーが「専門性」を考える時、これまでの人生を振り返って「棚卸し」することをオススメします。
いつ
どこで
何をしたか
だけではなく、
家族の反応は?
その時、どう思った?
期待/不安/戸惑い/怒り/失望…etc.
といった、その時々の感情も「棚卸し」をしていくことが大切です。
次に、私だったら…という視点で、摂食障害以外の専門性を考える場合として書いてみます。
自分ひとりで悩んできたこと、相談できなかったこと
*最初の1年は、か
私の場合ですが、摂食障害以外で「ひとりで悩んできたこと、相談できなかったこと」と言えば、真っ先に留学が上がります。
上記の通り、出来事だけではなく感情の「棚卸し」こそ、カウンセリングの専門性を考える際に役立ちます。
今回は、「棚卸し」の具体的なやり方として、私の留学話を記載してみます。
留学していたのは、高校3年から大学卒業までの計6年間(1999年~2005年)です。
しかし、その前後にも悩んでいたことはたくさんありました。
留学前から最初の1年だけを挙げても、
・中学時代に、「留学したい!」と決める(自分の中では)
・両親から反対されてツライ
・交換留学で行く方法を見つける
・アルバイトでお金を貯める
・交換留学の試験を受ける
・高校の友人にはじめて留学することを伝える(すごい緊張)
・進学校に通いながら、一人だけ違う道に進む不安/疎外感
・留学開始後、ホームステイで上手くいかない
・現地の友達が出来ない以前に「合わない人たち」と合わせる努力は必要なの?と悩む
・高カロリーで低栄養の食事でどんどん太る身体…
・ホストチェンジしたものの、ベビーシッターすることを断れない
・「元気でやっている!」という以外、日本の家族には言えない葛藤
・カナダに来れば、受験情報が手に入ると思っていた期待外れ感
・進学率30%の高校って、一体…
という、ものすごく沢山のことがありました。
さらに「留学前後で悩んでいたこと」と記載した通り、「留学後」の再適応のほうが私的にはさらにつらかったです。
6年間を終えて帰国した後、
・日本を楽しみたいのに、すぐに大学院入試
・漢字が書けない、言葉が出てこないイライラ
・パッと英単語が出た時、まわりからスルーされる
・家族でゆっくりしたいのに、実家は超バタバタ
・なんで学校に行くのに、オシャレをしていくのか
・社会人になっても実家暮らしをする人たちへのナゾ
・静かすぎる講義に、やる気ダウン
・大学院生でも、集団行動?
・なぜ、「係決め」から大学院生活はスタートするのか?
・履修届は、すべて手書きって意味ある?
といったように、日本への再適応・家族の変容への適応・大学院生活へのギモン…etc.
帰国してから、摂食障害を発症したのも重なり、ずーっと辛かったです。
しかし、摂食障害の病院には行っても、「帰国して上手くいかないこと」を話せる相手は一人もいませんでした。
*当時の私は、そうしたサポートを探そうというより、拒食でフラフラ…
こうして、出来事+感情を「棚卸し」していくことで、カウンセラーとしての専門性として考えられるのは
・留学前の心理的サポート
・留学を支える家族のサポート
・留学中のトラブル対応へのサポート
・帰国後の日本語サポート
・帰国後の学校への再適応サポート
・子どもが帰国後の家族対応のサポート
などがあります。
「●●専門」と名乗るのは、名称に過ぎません。
名称を考えていくのは、もちろん大切です。
順番としては、サポートとして何ができるかをハッキリさせた後に適切な名称をつけたほうがいいかと思います。
カウンセラーとして、仕事の方向性を見直すタイミング
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