摂食障害と自己肯定感のナゾ

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

摂食障害についてよく言われる言葉。

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自己肯定感が低いから、自分を大切に出来ない。
治るには、自己肯定感が持てるようになることが必要

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私には、ちょっとナゾです。

摂食障害真っ最中の時、自己肯定感が低い、というのは納得できます。

自分なんてダメだぁー!と思うから
猛烈に食べて吐く過食嘔吐をしたり

自分なんて食べる価値がないと思って、
食べない・食べちゃいけないと拒食になったり

でも、私の中でひっかかるのが、
治るために自己肯定感を上げなければ!と
必死になってしまう人がとても多いことです。

自己肯定感って、どこにも書いてないから、
「低そう」と思っても、一体どれくらい低いのかもわからないし

「自己肯定感を上げよう」と思ったところで、
急に上がるようにも思えないし、

それなのに・・・

摂食障害を治すためには、
自己肯定感を上げなければ!と考えてしまう人がとても多いようです。

じゃあ、私の場合は、自己肯定感はどうなのかというと・・・

よくわからないです(笑)。

確かに、摂食障害真っ最中の時、
自己肯定感がとてつもなく低かったと思います。

自分なんて食べるに値しない人間なんだと本気で思っていましたし、

頑張っている人が吸っている空気を、
自分なんかが吸ってしまって申し訳ないと思っていました。

でも、摂食障害が治る過程の中で、
自己肯定感が格段にアップしたとか
自信満々になったとか、
そんな感じは全くありません。

今でも、
上手くいかないことに多いに悩んだり
考えても仕方がないことをウダウダ考え続けたり
ため息ばかりついたり

元気で明るく前向きという時間より、
ずっと長いウダウダ時間が、日常的にあるのです。

だから、疑問です。

【治るために自己肯定感って必要なの?】って。

少なくとも私の場合、摂食障害真っ最中の時と回復した後を比べれば、
否定も肯定もあんまり考えなくなった、と言えるかもしれません。

ウダウダするのは日常的であっても
ウダウダする自分が、イイとか悪いとか
生きている価値があるとか無いとか、

そーゆーことが、
どっちでもいい(笑)。

ウダウダ時間で、
ムダに時間ばかりが過ぎていくのも、
それが【自分】なのだから。

肯定もないけど、
否定もない。

そーゆーのが【自分】であって、
だから食べちゃいけないとか、
焦って詰め込むとか、
別にやらなくていいかなぁって。

食べたいから食べるし
世の中には美味しいものが沢山あるし、

摂食障害の時は、
まっとうな食生活をしてこなかった分、
ちゃんと味わって食べたいし
取り返すごとく食べ尽くしたいし(笑)。

自己肯定感が高いとか低いとか
上がったとか下がったとか
どこにも書いていないことは、
やっぱり分からないから

とりあえず、「美味しい」って笑いたいし
「やりたい」という仕事を満喫したいっていう気持ちのほうが、

今の私には、ずっとずっと大切なことなのです。

摂食障害を治すために、
自己肯定感を上げなきゃ!って必死になってきた人には、

私の考えは、物足りないかもしれません。

でも、必死になっても、全然回復していかないなら、
ちょっとは違う方向を向いてみるタイミングなのです。