現在、摂食障害専門カウンセラーが拒食症時代の失敗談と後悔と反省ばかりの話です。
こんにちは。
摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。
前回のブログ記事で、
【拒食症と体重】こだわりを無くすために家族ができること
をお届けしました。
今回は、体重38kgにこだわり続けてしまった私自身の拒食症時代の話をお届けします。
■摂食障害と「こだわり」シリーズ
・【拒食症/過食症】夕飯は●時までに食べなければいけない、というこだわり。
・【ご質問】摂食障害が治った後、こだわりは少なくなりましたか?
・【拒食症】私が体重38kgにこだわり続けた理由(*この記事)
拒食症の通院を始めた後に、体重減少した理由
何度も書いていますので、ここではカンタンな記載にしますが…
カナダ留学から帰国
↓
体調不良
↓
食べられない、眠れない
↓
婦人科(無月経のため)
↓
心療内科
↓
拒食症の診断
という順番で、拒食症の通院を始めました。
くわしい体重の推移は電子書籍『摂食障害太ることがコワイあなたへ』をご覧ください。
拒食症の通院をはじめてから、ますます体重が減っていきました。
理由は、診察=体重測定だったからです。
体重を測定するだけではなく、診察室での会話は
・体重を増やせるのか否か
・栄養剤を飲むか
・入院するか否か
というすべて体重に終始していました。
拒食症の通院を開始する前でも、自分でも薄々は拒食症かも…と思っていましたが、「食べたいのに食べられない状態」であり、「どうすれば、食べたいように食べられるようになるのか」を知りたかったのです。
カナダから帰国した時点ですでに痩せていましたし、6年ぶりの日本で食べたい物がいっぱいあって、どんどん食べようと意気込んでいた時期でした。
ですから、「なぜか食べられない悩み」を聴いてほしかったのに、拒食症の通院では
・体重測定
・体重を増やせるのか?
・入院するか?
といった話で、ますます体重に注目するようになってしまいました。
拒食症の通院を開始した翌月、自己最低体重・体脂肪を記録したのでした。。。
詳しくはこちら↓↓↓
拒食症の治療!?「大学院に行くなら38kg」という言葉
拒食症の通院は、我が家の引っ越しとその他の事情から、大学病院に移りました。
大学病院でも、やはり診察=体重測定でした。
診察室での話題も、やはり体重のことばかり。
そこで、目標を決めましょう!と主治医の先生は言い、「大学院に行くなら体重38㎏」と言い渡されました。
私の納得なし
私の同意なし
そもそも、「一緒に考える」「話し合う」ということは無いまま、「大学院に行くなら体重38㎏」が絶対的な基準であり、大学病院に通院している間、ずーっと繰り返し言われ続けてきました。
体重38㎏という数値が、かなり強烈にインプットされました。。。
体重38kgより少ない時は、「増やさないと大学院に行けれないけれど、38kgまで増やすのもイヤ」でした。
しかし、もっともっと辛かったのは、体重が38㎏を超える頃や、40㎏を超える頃です。
体重38kgで大学院に行けるのなら、体重38.0kgでありたい。
38㎏より、1kgどころか、0.1㎏も増えたくない。
体重38㎏に達した後は、38㎏でいいなら、もう食べたくない。食べることを頑張りたくない。
体重38kgになったのに、気力がわかない、やりたいことも出来ない、さらに体重が増えていく…。
体重38kgでいいのに、どうして40㎏になるのか、40kgを超えるのか…。
「大学院に行くなら体重38㎏」と言われ続け、鵜呑みにし続けてしまったので、より一層はげしい「体重へのこだわり」に繋がってしまったのでした。
拒食症と目標体重を決めるメリットはあるのか?
拒食症の治療において、目標体重が設定されることは多いです。
上記の私の心境は「目標体重により、一層こだわりが強くなってしまった例」です。
では目標体重を決めるメリットはあるのでしょうか?
【拒食症】目標体重のメリット(1):目指すものが分かりやすい
拒食症は心の病気ですが、回復のために何を目指せばいいのか分かりづらいことがあります。
そのため、体重という数値を「目標」に挙げると、分かりやすいメリットと言えるかもしれません。
【拒食症】目標体重のメリット(2):命を守るため
拒食症は命にかかわるキケンな病気です。
そのため、体重増加がイヤでも、ぜったいに増やさないければいけない時があります。
目標体重を設定することで、命を守ることにつながるかもしれません。
ただし、拒食症の目標体重の設定が、命がキケンな体重というよりも、「●●していい体重」といった設定がされている場合の方が多い印象です(上記の私の「大学院に行くなら体重38㎏」と同様に)。
【拒食症】目標体重のメリット(3):測定しやすい
これは体重への執着につながりかねないので、メリットデメリットの両面がありますが…
目標体重を設定すれば、体重計に乗るだけで達成率のチェックができます。
目標だから、毎回の診察で体重測定しようと促しやすくなりますし、体重計1台あればかんたんに測定できます。
【拒食症】体重は必要、でも体重だけでは生きていけない
これは当オフィスの摂食障害の方針であり、摂食障害専門カウンセラー中村綾子の考え方です。
命を守るために、体重は必要です。
女性としての身体を維持するために、体重の回復による生理の自然回復は必要です。
しかし「人」として、社会の中でやりたいことをやっていくためには、体重以外のことが不可欠です。
私が就職活動で全敗したように、摂食障害への偏見だけではなく、「履歴書の空白期間」についても、未だ良く思われないのが一般的ではないでしょうか。
ふつう体重だけを目標にせず、「どうやって生きていくか」を繰り返し話し合い、「生き方」について真剣に考えて取り組むことを、もっと優先するべきではないでしょうか。
生き方を変えれば、摂食障害の再発も無く、その後も生きていくことができます。
卒業クライアント様の「その後」のご報告をご覧ください。
「美味しく食べて笑って、落ち込んでも立ち直って、生きていきます」
カウンセリング卒業から3年後にいただいたご報告メールです。