摂食障害カウンセリング
中村綾子です。
摂食障害に悩んでいる人は
診察室の中で、どんな会話をしているんだろう?
どんな話をして
どんなやり取りがあって
どう感じて
どう変わっていくんだろう?
私が摂食障害で悩んでいた時、
こうした「摂食障害治療の中身」が見えなくて
どこにも書いていなくて
雲をつかむような気分でした。
だからこそ、診察が終わったあと、ブログに書き残していたんです^^;;
さて、今回のご質問をご紹介します。
*ブログ回答は、私の個人的な経験とカウンセリング方針に基づいています。
*全ての方に当てはまるとは限りませんので、予めご了承ください。
私は摂食障害8年目でずっと通院しています。
しかしいざ主治医に話すとなると、
自分は何を悩んでいるのか分からなくなってしまいます。
ただ、毎日過食嘔吐や食べ物のことで頭がいっぱいだし
死にたいという気持ちでとても辛いです。
頼っていても治らないと思うし、
自分で行動を変えていかなければならないと思っているので、どうしてもうまく相談できません。
どうやったら自分の気持ちがわかりますか?自分の悩みを相談できますか?
ご質問をありがとうございます。
心の対策と現実的な対策、両方が大切かなぁと思います。
ホントは心が先だとは思いますが、
心の回復を待っている間にも通院はあるでしょうから、
現実的な対策・対応も一緒にお伝えしていきたいと思います。
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1.【心の対策】ホントの悩みが分からない時
2.【心の対策】頼ることはダメですか?
3. 通院前の過ごし方を変えてみよう
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1.【心の対策】ホントの悩みが分からない時
今回のご質問では、
「過食嘔吐や食べ物のことで頭がいっぱい」と記載していただきましたが、
こうした状態の方はとても多いと思います。
そして、「過食嘔吐さえなくなれば、何も悩みはない!」と
言い切る方も、時々いらっしゃいます。
でも、「心の悩みがない」と断言される方も、
心理カウンセラーである私のもとにお越しになるんですよね。
カウンセリングを受けていない方も、
このブログが症状だけに焦点を当てていないことはお分かりかと思います。
ホントは、過食嘔吐という症状が出るずっと前から
なんらかの悩みを抱えていたはずなのです。
先日、花粉症の友人との会話にもヒントがありました。
「私、花粉症ないんだぁ~」
「人によって許容量がちがうんだよね。
ある日、突然、(花粉症に)なるかもよ^^」
花粉症なしの私に、脅しのような声^^;;
でも、これって、心も同じだなぁと思いました。
心の辛さが溜まって
寂しさ・しんどさが積もり積もって
もう限界・・・という時、
はじめて過食嘔吐という症状として表れたのではないでしょうか?
認めたくないという方も多くいらっしゃいますが、
実際は、症状よりずっと前からいろんなことが積もり積もっていたはずです。
「心の許容量」があって、
それを超える量までたまってしまったから
症状としてあふれるほか無かったのです。
・・・
症状で頭がいっぱいの時、
「これ」という悩みが分からないかもしれません。
分からなくてもいいです。
見つからなくてもいいです。
それでも、考え続けることを大切にしてほしいと思います。
考え続けることも
心と向き合うことの1つですから。
2.【心の対策】頼ることはダメですか?
ご質問の中から言葉を引用すると、
「頼っていても治らない」
「自分で行動を変えていかなければ・・・」
この文章だけからの推測ですが・・・
考え方が、二者択一になっていませんか?
頼るか・頼らないか
自分でやるか。人にやってもらうか。
こうした考え方でいると、
心が辛くなってしまうのではないでしょうか?
大切なのは、両立です。
繰り返し書いていますが、
摂食障害が治るためには、治療者との出会いが不可欠です。
けれど、治療者が治してくれるわけではありません。
あなたという主人公がいて
あなたの「治りたい」という気持ちがあって
あなたの「治るための行動」があって
それをサポートしていくこと。
これが、治療者の役割ではないでしょうか?
少なくとも私のカウンセリング姿勢は、サポートにすぎません。
だから、あなたのやる気が無くなれば、
何も変化は起きないですし、
あなたがやる気いっぱいであれば、
どんどん変化が起こっていくのです。
その意味では、あなたのペースで治ることができるカウンセリングと
思っています。
サポートを受けながら
あなた自身で取り組んでいく。
この両立、見直していきませんか?
3. 通院前の過ごし方を変えてみよう
これは、現実的な対策です。
大抵の場合、精神科・心療内科の通院は
予約制だと思います。
そのため、通院日の前日の準備の仕方を変えていくことです。
今、準備なしで、通院だけ行っていませんか?
「行ったら、変わるかも!?」と期待だけを抱いて行っていませんか?
これからは、準備を変えていくことをオススメします。
(1)前回の通院から、その日までを振り返ります。
(2)気になったこと・聞きたいことを書き出します
(3)書き出したことに優先順位の番号をつけます
診察では、優先順位の高いほうから話していきます。
こうすれば、診察時間が打ち切られる場合でも、どうしても話したいことは
比較的話し安くなります。
この方法は、実際、私の摂食障害でもかなり終盤の通院で
活用してきた方法です。
(1)の書き出すためにも、日ごろから思ったこと・感じたことや
症状などを常に書き留めていました。
摂食障害の治療とは、「治してもらう」ではありません。
あなたが主体で取り組む治療に、今から変えていきましょう。