摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。
今、ピアノの先生をしている人は、
以前、ピアニストで、
その前は、ピアノ教室に通う生徒だった人。
今、自動車学校の先生は、
自分で車を運転していて、
以前、自動車学校に通っていた人。
今、野球の監督をしている人は、
以前、野球選手をしていて、
その前は、野球少年だった人。
当たり前ですよね???
でも、摂食障害の治療って、不思議だと思いませんか?
ほとんどの場合、
摂食障害の「勉強」をしただけで、
治療者になっているのです。
もちろん、多くの診療科で
勉強をして、医療に携わり
様々な治療法を研究して
手術して・・・ということはあると思います。
でも、大抵の場合、「目に見えるモノ」が対象です。
臓器であったり
骨であったり
皮膚であったり・・・etc.
目に見えるからハッキリするし、
目に見えるから、ほかの人と意見交換もしやすいことと思います。
けれど・・・
摂食障害は心の病気です。
心って、実際、どこにあるのか
どんな形をしているのか
現代医学でも、きっと解明されていないことと思います。
見えないのに
分からないのに
摂食障害の経験もないのに
ホントに「分かる」のでしょうか?
私が摂食障害の頃、主治医の先生から「分かる!」と言われた時、
とても腑に落ちなくて、
とても心がざわざわしました。
分かるはずがないのに、
どうして「分かる!」と言えるんだろう?
「分かる」って言われても
何をどれだけ分かってくれたんだろう?
「分かる」って、ホントにホントに分かってくれているの!?
考えれば考えるほど
疑問が怒りに変わって
考えれば考えるほど
不信感が募って
結局、今の気持ちなんて、誰にも分かってもらえないんだ・・・
そんなふうに、もっと辛くなりました。
・・・
それから何年も経って、
摂食障害が治った後、高校時代の友人と再会しました。
その際、こんな言葉がありました。
「あやっち(私)が大変そうだなって思たけど、
何がどう大変なのか分からなかったよ」
治った後でしたが、私はこの言葉が本当にうれしかったのです。
「分からない」と正直に言ってくれたこと。
分からないけど、「大変そう」というところまでは分かってくれたこと。
こうした正直な「分からない」こそ、
心に寄り添ってもらえていると実感したのです。
・・・
今回の話題は、
決してすべての医療関係者を批判するために書いたものではありません。
けれど、摂食障害に悩んでいるあなた自身が、
治療に疑問を持つ、
その意識こそ、大切だと思うのです。
そして、摂食障害の娘さんのことを
理解しようと一生懸命になっているお母様方には、
「分かろう」とし続けていただくことも大事ですが、
「分からない」と言えるチカラも必要ではないかと思うです。
心に正直に
心に素直に
分かることと分からないこと。
言葉がけに悩むよりも、大切なことがあるのですから^^「父と娘」について取りあげる数少ない記事。