摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。
お母様方とのカウンセリングをしていると、よくいただく言葉があります。
「綾子さんのお母さんは、ブログの通り、見守っていたんですか?」
「私、先生のお母様のように、どーんと構えることが出来ないんです」
「言わないようにしようと思うのに、つい『もっと食べないなさい』っと言ってしまって・・・」
まず、本当です。
【経験談】母が「食べなさい」と言わなかった理由
母は、「食」に関して、何も言いませんでした。
食べれなくても、「食べなさい!」と言われたことは、ほぼゼロです。
過食しても、「食べたかったら、食べれば」と言われました。
吐いても、ノーコメントでした。
強いて言えば、拒食症と診断された1ヶ月くらいの間は、何回か言われていたかもしれません。
でも、母があまり本気ではないことは分かっていたので、私が傷つくこともなかったんです。
母が、「言わない」に徹していたのは、決して、理論ではありません。
母が、「言わない努力」を頑張っていたわけではありません。
けれど、母には、「言わない理由」があったのです。
「言ったって、食べれるようにならない」
「無理やり口に押し込んだら、吐くだけ」
私は、赤ちゃんの頃、とてもとても吐きやすい子でした。
少食のあまり、母が赤ちゃんの私に無理やりミルクを飲ませようとすれば・・・即、嘔吐。
その経験から、母は「無理強いしたって、しょうがない!」と思っていたようです。
けれど、母が、たった1つ、言い続ける言葉がありました。
母のホンネ:ツライ気持ちに寄り添うよりも大事なこと
その言葉は、痛烈な言葉でした。
言われる度に、「分かってくれない!」と思いました。
でも、今は、その言葉こそ、必要だったと思っています。
それは・・・
『親は、いつまでも元気で生きていなんだからね!』
これを繰り返し言われたのは、大学院を辞めた2009年春。
長年の夢が途絶え、焦りから過食と不眠がひどくなった時期です。
どうやって生きていくのか、まったく決まらない中に、この言葉。
そんな母を恨み、反発ばかりしていました。
「なんで、もっと寄り添ってくれないの?」
「こんなにツライのに、なんでそんなこと言うの?」
けれど、事実なんです。
翌年、父は定年退職しました。
もしかしたら、母にとって、摂食障害はそんなに大きなことではなかったのかもしれません。
食べなくても、食べても、吐いても、別にいい。
けれど、
・生きていくこと
・生きていく方法を見つけていくこと
その2つに集約されたいたように感じています。
摂食障害:症状ゼロだけが、回復ゴールになっていませんか?
摂食障害が治ることが、ゴールになっていませんか?
治れば、すべて解決だと思っていませんか?
本当は違うんですよね。
1日3食、食べられるのはフツーです。
生理が周期的に起こるのはフツーです。
過食衝動が沸かないことも、フツーです。
それだけでは、「症状がないだけの、ただの人」です。
社会の中で生きていくには、「ただの人」にプラスアルファが必要なのです。
あなたが、あなたの「やりたい!」を叶えていくこと。
それが、あなたが「生きていく」という意味ではないでしょうか?
「やりたい!」を叶えるためには、体力が必要。
「やりたい!」を支えてくれる人と、出会うことが必要。
だからこそ、摂食障害真っ最中では、叶えることが難しいのです。
▼「やりたい!」から逆算して考えるコツは、こちらです。