検査で異常が出れば、拒食・過食を「治そう」とやる気になる?!???

摂食障害専門カウンセリング
中村綾子です。

「検査で異常が出れば、本人も治そうと気づくんじゃないか・・・」

そんなふうに期待するご家族も多いようです。

けれど・・・
多くの摂食障害の場合、「検査で異常なし」がよくあります。

だからこそ、今回は以下の3つから考えていきます。

(1)異常なし=健康体 ??

すごくガリガリに痩せている拒食症でも、
何年も続いてる過食・過食嘔吐でも、

血液検査では何も異常が見つからないことがあります。
何も異常がない人のほうが多いかもしれません。

摂食障害では、
医学的には不思議としか言いようのないことも多いようです。

ですが、異常が出ない理由の1つは、実体験としてお伝えすることが出来ます。

体が慣れてしまったから。

栄養状態が良くないことに、
体が慣れてしまったから、
数値上、「フツーの体」になってしまうのです。

私の実体験では、貧血です。

一般的に貧血はヘモグロビン値で、判断されます。
でも、正常でした。

当時、身体がとてもとても怠く、
日中でも起きているがしんどい状態でした。

ヘモグロビン値だけではなく、貯蔵鉄(フェリチン)を再検査したところ・・・

測定不可。

低すぎて、値が出なかったのです。
「ゼロかもしれない」とも言われました。

これは、たまたま内科の主治医の先生が判断し、
突っ込んだ検査をしよう、という決めたため、
はじめて判明したことでした。

もし、ヘモグロビン値だけで判断していたら、
「異常なし」で終わっていたのです。

なぜ、貯蔵鉄(フェリチン)はゼロに近いのに、
ヘモグロビン値は正常なのか???

これこそ、【体が慣れてしまっている状態】です。

■普通の場合

食べる

栄養が入る

栄養が循環する

■摂食障害の場合

不充分な食生活

栄養が足りない

身体が自分の身体の組織を壊す

壊したものから栄養を作る

命を保つ

ということが、命を守るために行われてしまいます。
だから、見た目上、「異常なし」の検査結果になってしまうのです。

そのため、検査で異常なしであっても、ホントに健康かどうかは分からないのです。

(2)摂食障害の「検査についての考え方」は、納得できますか?

先日の東京ミーティングでもお話したことですが・・・
摂食障害に関する知識・考え方は、
医師・カウンセラーの間でも、本当にバラバラです。

だからこそ、繰り返しお伝えしているのが、
【相性のいい治療者と出会うこと】が、回復のカギとなります。

検査にも同様のことが言えます。

かなり頻繁に身体の検査をしたり、
逆に、摂食障害は心の病気だから、身体は一切検査しなかったり。

病院・医師によって、
本当にバラバラの対応になっています。

何よりも大事なのは、
あなた自身が納得できているかどうか、です。

納得した治療を受けて回復につなげていくためにも、
どうか【賢い患者】になってください。

ここでも、私の実体験をお伝えします。

上記とは別の時期、私の通院先の話です。

かなり精神科一辺倒といった医師でした。

倦怠感を訴える私に、
医師はカルテをちらっと振り返り・・・
「貧血は無い」と言いました。

だから、私の倦怠感は「心」が原因だと。

しかし・・・
その検査結果は、【半年前】のものでした。。。

ここで沢山の疑問が沸きます。

・血液って、半年間ぜったいに変わらないものなの?
・貧血以外の項目は、チェックしているの?
・倦怠感は、貧血以外の理由では起こらないの?

疑問ですよねー。
今から振り返れば、ですが^^;;

当時は、疑問を抱きながらも、
そのまま、言われるがまま通院を続けてしまいました。

ホントは倦怠感なんて、いろんな理由で起こり得ることだと思います。

・食べる量が少なくてエネルギー不足
・寝不足
・低血糖
・生理前や生理中・・・etc.

「貧血なし ⇒ 身体異常なし」とは言えません。
同時に「貧血なし ⇒ 心が倦怠感の原因」とも言えません。

・・・

もし、通院先の医師の考え方に違和感があれば、
できる限り早い段階で、直接質問するのがベストです。

それとも、「ムリ!」と早くに見切りをつけて転院するのも、あなた自身の決断です。

(3)異常があったら、「治そう」につながるのか?

これは、ご家族が大きな期待を寄せてしまうところですが・・・
間違いです。

異常があっても無くても、「心の問題」は変わらない。
むしろ、異常があったほうが、なぜか安心してしまう・・・という場合もあります。

検査の数値に異常が見つかれば治そうとするのではなく、拒食・過食・過食嘔吐をしている時点で、すでに【異常】なのです!!!

・・・

熱心なご家族ほど、陥りやすい悪循環があります。
ご家族の熱心さが、悪化を招いてしまうパターンです。

「病気なんだよ!」と説得するよりも、
食べさせるよりも、
「将来、こまるよ!」と脅すよりも、

ご家族が今すぐ出来ることがあります。

約3年前に書いたブログ記事をご紹介します。

拒食症のお嬢様を持つお母様からいただきましたご質問です。
私の回答を、ブログ記事に掲載しています。

ぜひ、じっくり読んでみてください。
そして、ご自身の取り組みと照らし合わせてみてください。
きっと、大きな気づきがあるはずです。

■拒食の娘、親は何から始めたらいいですか?