摂食障害の家族相談

「摂食障害を抱えながら働く」は美談ですか?

摂食障害専門カウンセラー中村綾子によるブログ解説。自分にあった仕事の選び方

摂食障害専門カウンセラー中村綾子です。

先日、SNSである投稿を見かけました。
うつ病の話ですが、摂食障害でも同じことが言えると思います。

その投稿は、このような内容でした。

うつ病で悩んでいて、仕事中に涙が溢れてきてしまった。会議室に飛び込んで1人で泣いていたら、上司がやってきて、黙ってティッシュとお菓子を置いてそっとしておいてくれた。なんて優しい上司なんだろう

これに対してSNSでの反応は、

「優しい上司」
「理想の職場」

といった称賛の声で溢れていました。

確かに、辛い時にそっと寄り添ってもらえるのは、一見すると温かい美談に見えますよね。

しかし私は、経営者、そして「社会の現実的なルール」という視点から、少し違う疑問を感じました。

「優しさ」で治療開始・休養を遅らせていない?

今回のSNSのように、感情のコントロールができないというのは本当に大変なことです。

しかし、

仕事中に涙が止まらず業務が手につかなくなってしまう
場所を離れてしまう

というのは、厳しいようですが「すでに仕事を続けられない状態」です。

正社員であれば時間給ではないかもしれませんが、雇用主からすれば、お給料を支払っている勤務時間中に全く別のことをしている状態になりかねません。

本当にその従業員のことを想うなら、見て見ぬふりをしてお菓子を渡すのではなく、適切な《休職》や《治療》を勧めることが必要ではないでしょうか。

会社のティッシュやお菓子、誰のもの?

さらに、そのティッシュやお菓子は一体「誰のもの」でしょうか。

もし上司が自分のポケットマネーで購入したプライベートの支出であれば個人の親切ですが、もし会社の経費で購入された備品だとしたら、それを一従業員のために大量に消費して良いわけではありません。

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多くの方は、SNSのコメント欄のように「優しい上司に出会えてよかったね」という共感の視点だけでこの話を捉えます。

しかし、どんな時でも「感情的な共感」から一歩離れて、別の視点(現実的なルールや客観的な事実)で考えることは、物事を冷静に判断するためにとても必要なスキルなのです。

実はこれ、摂食障害の回復プロセスでも全く同じことが言えます。

摂食障害:回復していく人と回復が難しい人

日々カウンセリングを行う中で、順調に回復していく人と、なかなか回復が難しく長引いてしまう人がいらっしゃいます。

その違いは何かというと、理由は本当にいろいろありますが、大きな特徴の一つとして、

(1)「頑張れていること(感情)」を認めてほしいタイプ

(2)「現状(事実)」を冷静に判断するタイプ

この2つに分かれるという点です。

「自分はこんなに頑張っているのに」
「どうして分かってくれないの」

という、頑張っている自分を認めてほしいという感情(自分本位の視点)に飲み込まれてしまっているうちは、なかなか状況が変わりづらく、回復が難しくなる傾向があります。

一方で、

いま上手くいっていることも
上手くいっていないことも

一歩引いて「客観的な事実」として言葉で表現し、冷静に話し合えるお母様は、比較的早く回復されていく印象があります。

大切なお嬢様のこととなると、どうしても「感情」が先走ってしまい、「こんなに頑張っているのに!」と言いたくなる気持ちが湧くのは当然のことです。

だからこそ、あえてもう一つの視点(客観的な事実や社会のルール)を持って、一歩引いて冷静に判断していくスキルを身につけていきましょう。

感情に飲み込まれそうになった時こそ、まずは深呼吸をして。

「もう一つの視点から見たらどうだろう?」と、カウンセリングで一緒に練習していきましょう。

ご家族向け:摂食障害の回復段階を、冷静にチェックしよう

ブログでは、お母様が感情に振り回されず、いまの状況を冷静に判断するための具体的な「モノサシ」をお伝えしています。

お嬢様の回復には、「体・心・生き方」という3つの明確なステップ(段階)があります。

「いま、娘はどの段階にいるのだろう?」と一歩引いて客観的に見つめることで、今すべきことが見えてくるかもしらません。

ぜひ、こちらのブログ記事(無料)を読んで、いまの現在地を確認してみてくださいね。
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【拒食症3ステップ】体重と心が治る順番《ご家族必見》
【低体重からの回復】ぜったい知っておきたい!拒食症3ステップ。身体、心、生き方。摂食障害専門カウンセラー中村綾子が《図解》しました。入院を繰り返す前にお読みください。

*拒食症と記載していますが、過食・過食嘔吐でも基本的には同じです。
食事の乱れによって真っ先にダメージを受けていて、真っ先に回復させる必要があるのは、《身体》ですから。